音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNO.1−10まで
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No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
1 1 1757 D 3 (1) 2 B 記念すべき第1曲。クレッシェンド効果
楽章の構成 調性 リ*1 最初の作品でスタートとなる第1番。ハイドンの交響曲で一番多い調D-durで始まる。聴き所は、やはり出だしの第1主題。ハイドン自身は最初期から晩年までクレッシェンドの記号はあるが、第1楽章の出だしからの使用は少ない方と思う。この効果は大きい。第1主題が提示後、属調で第2主題が提示はされるが、これといった展開も少なく直ぐに経過部に入る。展開部は提示部と比べて短く、展開というより再現部への経過の雰囲気(いわゆる小ソナタ形式)第2楽章のAndanteは、チェンバロ(以下 cmb.の省略)の動きが目立つ。第3楽章は簡潔なソナタ形式小ソナタ形式。第2主題は簡潔だが第1主題との対比が少ない。
 ドラティ盤では、フィッシャー盤以上にクレッションドの効果が大きい。特に展開部最後の部分で弱音から、強音に移る部分ではフィッシャー盤以上にダイナミックに聴こえる
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月22日とする)
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2010年11月23日 ディビス盤を聴取。小編成のライブ録音。今後のこの録音でも共通した事項であると思うが、全体的には比較的、テンポがゆったり。現代楽器を主に使用している。小ソナタ形式を忠実に守る解釈と演奏スタイルに終始。
 cmb.は端の方の位置でなく中央寄り。その音は緩徐楽章では、かなり目立つ。第3楽章では、フィッシャー盤では、soloの扱いが目立つところが多い。しかし、この演奏ではドラティ盤と同じ様に、soloではない。
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Hob-No-1のディビス盤をスコアを見ながら再度、聴取。今回は2回目。最初は気づかなかったが、第1楽章の最初のT8(小節)の終始が短い。本来は、4分休止であるが実際には短すぎる。提示部が繰り返され、後の方は、他の演奏と同じ休符の長さを確保している。
 再現部でも、第1主題がほぼ同じ様に再現し終始するがやはり同じ。冒頭のみ、やはり休止が早い。演奏の解釈からすると、冒頭のみが短い休止は理解がしにくい。となると残るはCD録音の際の編集ミスが考えられる。だがこの部分の編集ミスは大きいと思う。
 ディビス盤は37枚。わざわざこの多くの枚数セットを購入する場合、購入対象は全曲をくまなく聴きたい人であろう。そうでないと選曲集を購入する。全集を聴きたい場合、最初から聴きたいケースが多い。実際、私も最初に聴いた。最初の1枚でしかも冒頭の編集ミスは悪影響。逆に途中なら軽微。

(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月24日とする)
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2011年12月24日 追記。音楽の友 社 最新名曲解説全集で、この第1番は、曲の紹介として掲載されている。初期の交響曲は、作曲年代が現在では特定できないが、昔から第1番とされているこの曲が、最初期の交響曲の一つとして掲載されたのであろう。
 この部分の執筆者は、作曲年代を確定する上で参考文献としている、中野博詞氏。解説内容は、氏の細かい点までにわたる分析的な表現。この中では第1楽章の提示部を概観するとき、「ハイドンが、いかに未熟なソナタ形式から出発したかが明白となる。」と記載がしてある。
確かに、この第1楽章の提示部は、わずか40小節で序奏がない。これに対して、少し後のhob‐No‐25と比較をしてみる。通しNoでは、No12。初期の頃に作曲された1曲ではある。C調と、調は異なるが、楽器編成はNo1と同じ。
 しかしこちらは序奏がついている。提示部の長さは序奏を除くと62小節。No1の約2倍の流さ。しかも、こちらの第2主題は、この第1番の第2主題の旋律に共通点が多い。しかし、No.25の第2主題は長く、コデッタ(小結尾部)も充実している。
 改めて、最初期の交響曲の中だけを比較しみても、ハイドンの最初のソナタ形式が未熟なものから、充実して行ったのかが分かると思った。
参考文献として、「交響曲の生涯」石多正男著 東京書籍を見る。この中で、第6章 ハイドン、モーツァルト初期 1760年年代前半 前半 第1節  ハイドンの出発点に第1番の掲載がある。この解説では、主に、第1楽章の提示部の譜面が掲載されている。冒頭のクレッシェンドや、曲中の随所に聴かれる強弱の変化を聴くと、直ぐにマンハイム楽派の特徴があると、記載されている。しかしハイドンは当時、同じオーストリアであっても、離れているマンハイムには立ち寄っていない。ハイドン自身はあるとき、「作曲の基礎をイタリアのポラポラから学んだ」と語ったと伝えられている。イタリアにも無論、立ち寄ってはおらず、ウイーンにいながら、ヨーロッパ各地の交響曲を模範として行ったと記述がある。この点にも合点は行く。(青年時代、モルツイン侯爵に仕えるまでに、ハイドンは、当時ウイーンに滞在していた、イタリアの作曲家 ポラポラから学んだことは伝記にも記載がされている。)
 なお、第2主題らしき部分の経過が少ない点、展開部の短い点については、言及されていない。この本では、ハイドンのNo.1に引き続いて1764年にモーツァルトがロンドンで作曲した第1番についても記述がある。
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2013年1月14日 追記。交響曲の全曲録音はできなかったが、ホグウッド盤を入手。通奏低音のcmb.は使用されず。事前におおよそは分かっていたが、編成は第1vn.は2から4名程度か。(後日、調査予定)

 2013年2月11日追記 ホグウッド盤に同封されているライナーノート(英文)を見てみる。これによると1767年までの作曲は、13から16人の奏者(ホグウッド盤の監修者 websterによる)で演奏したと記載があった。これによれば、Trp.2名とtimp.1名が除いた、標準編成では13名。13名の奏者を分けるとすれば以下の様に考えられる。 第1vn.:2、第2vn.:2、va:1、vc.1、cb.:1 弦パート 小計:7  fg1 ob.2、hr.2、fl:1 管楽器パート 小計6 弦パート+管パート合計 13名。
ただし、fl.は臨時の可能性がある。その場合は12名となり、vn.パートが1から2名が追加となったか?。

2013年2月13日追記 当サイトのリンクにもある、「毎日クラッシック」の中で、ホグウッド盤の演奏者の記述がある。このサイトでは、hob-No.-20の部分で、演奏者の人数が記載してある。それによると上記において、私が記載した人数とは異なっている。(hob-No.-1と 20とは状況が異なるかもしれないが )これによれば以下の通りとなっている。

第1vn.:4、第2vn.:4、va:1、vc.1、cb.:1 弦パート 小計:10  管パートの記載はなし。しかしob.:2.hr.:2、fg.1はおそらく必須だと思うので、管パート小計5. 弦パート+管パート 合計15となる。ライナーノートの13から16名の範囲内ではある。
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 第1楽章のAllegloは意外に速いテンポ。編成が少ないので各パートの音がよく分かる。管楽器と弦楽器とのバランスが、購入前から気になったが違和感なし。エステルハージ楽団で初演をされたときは、おそらく第1vn.は2から4名程度であったと推定。このため当時の音の再現を言う点では、期待が持てる。第1楽章は短いながらもコンパクトにまとまっているのが特徴。速めのテンポがプラスになるか。
 第2楽章のAndanteは、Allegloのテンポに対して、ゆっくりめで対照的。弦楽器は、この曲では弱音器を使用せず。管楽器が全く休みなので第1楽章で管楽器が活躍していたのが、全くないため音色の対比がはっきりわかる。しかし、弦楽器での音の強弱は、余りないか?フィッシャー盤と違って、弦楽器で弱音の部分を中心にsoloの採用はしていないようだ。
第3楽章のテンポも中庸。この1曲のみを通しての感想では録音が鮮明で、各パートの細かい音が聴けるのが大きな特徴と思った印象が一番。

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2015年2月16日 Hob-No-1のマックス ゴバーマン ヴィーン国立歌劇場管弦楽団の盤を聴取。録音は1960年前後。テンポはドラティ盤に類似した中庸。ドラティ盤の男性的なダイナミックなものをベースにしているが、しゃれた雰囲気が特徴。楽器編成では、cmb.が常時入っている。
 特徴的なのは第2vn.の配置で右側に位置。初めて聴いたとき、この配置がわからなくて第1楽章の冒頭に引き続き、次のT2(2小節目)で一瞬、再生が遅れたかと思った。よくよく見ると、第2vn.が2度低く、第1vn.とは1小節遅れて、冒頭と同じ音程で登場している。第2vn.の動きが鮮明に聴こえるので、私の好みに合う。ヴァイル盤も第2vn.は右側だが古楽器。一方のゴバーマン盤はモダン楽器でプルト数も多いようだ。その分、管楽器は控えめになっている。
 第2楽章は一転、弦楽器のみ。各パートの弦を中心とした細かい動きが良く分かる。オーソドックスなドラティ盤とは、解釈に仕方が少し異なるようだ。かといってフィッシャー盤の様に、小編成で音の強弱、特にsoloを利用しての陰影にひどく富むものでもない。デイビス盤の様に、ライブ録音の特徴を活かしてcmb.を含めた細かい音まで聴かすものでなし。
 なおゴバーマンの演奏経歴などや過去の録音などについては、ハイドン音盤倉庫の下記の部分に詳しく執筆されている。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-925.html

上記はLPの批評であるが、ゴバーマンの主な経歴を中心に記述。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-979.htm
一方、もう一つの上記のリンクは、 CD-Rの方で主に録音の方法などを含めての記述。

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2017年5月25日 T ファイ No.1 を聴取。下記の2つのサイトにレビューが記載されている。

Micha クラシックとリュートの楽しみ
http://micha072.blog.fc2.com/blog-entry-240.html

ハイドン音盤倉庫
http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-833.html

第1楽章の爆走的なテンポは既に、この時点で把握をしているので注意深く聞く。第2楽章の繰り返しを忠実に採用し後半の部分は、さすがにsoloの箇所はないが、装飾、テンポ旋律を変えているのは衆知のとおり。
 一番、印象に残るのは第1楽章の2つのvn.パートのリズム感と各パートの音の分離感。対向配置を生かして特に第2vn.の動きがよく分かる。恐ろしいほどの速いテンポで(すべて繰り返しを採用してもわずか4:11の演奏時間)だが、スコアに書いていない意外な発見があるのがファイの特徴。この楽章もそのひとつ。
 シンコペーションのリズムは、しばしば初期の交響曲から登場する。このNo.1の第1楽章で早くもこの部分があるのは初めて知る。(T15の部分の第2vn.とva.の部分。普段は、この箇所では第1vn.に埋もれてしまい聞き取りにくい。しかしファイの演奏は、対向配置を生かして、このT15の旋律をくっきりと目立たせる。この旋律は一瞬だが短い展開部の最後の部分T54で2つのvn.パートで盛り上がって演奏される。ただし、さすがに再現部では短く終わることのためかT15の旋律は登場しない。
No.1は小さな宝石箱のたとえがある。たしかに最初期のひとつの曲で一度、聴いただけでは特に爆発的なテンポで圧倒され特徴が分かりにくい。しかし、注意深く聴いていると思いの他、意外な発見がある。最初の第1曲でも十分に堪能できる。


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2018年2月11日 パトリック・ガロワ(Patrick Gallois)指揮のシンフォニア・フィンランディア No.1を聴取。ファイ盤のザロモンセットの残りが残っているが最近、初期の交響曲の聴取が少ない。いったん少し元に戻りハイドン音盤倉庫で 評価の高かったCDを入手。下記のアドレスにレビューが記載されている。この中では、レガートがキーワードになっている。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-696.html

楽器はモダンで編成は中規模。第2vn.は右側に位置。cmb.は中央の左側の少し奥の方へ位置。No.1を聴いた限り全ての楽章にcmb.が入っている。レガートのキーワードの様に、ファイやドラティのダイナミック、強弱、テンポの強調など、全く無縁に近い対照的な解釈。近接音が少ないながらも、適度な距離感があって聴きやすい録音。展開部と再現部も、楽譜の解釈通りに繰り返しを採用。

 レガートの典型的な箇所として、第2楽章のT14の部分ここでは2部音符でfのユニゾンになっている。大半の指揮者は冒頭から p が続いたので、T14のユニゾンのfを採用する。しかしガロアの場合はpで通す。その後T22で続く部分で初めて f となる。この楽章は、初期交響曲の典型で、楽器編成は弦楽器のみ。その分、弦の各パートの細かい動きと音色がポイントになる。先ほど記載をしたT14の部分では、cmb.がアルページョで引く。繰り返しの部分でも微妙に旋律を変えている。さらに興味深いことに、再現部の類似箇所では、この2分音符でテンポを少し落としている。
 ことにcmb.がアルペジョ風に適宜、しつこくなく入っているのが特徴的。デイビス盤で緩叙楽章を中心にcmb.が入っているがこちらのガロワ盤は、少し控えめな雰囲気。しかしこの控えめさが逆にレガートな雰囲気に寄与しているように思う。
No.1は「ちいさな宝石箱」のたとえの様に、トータルの小節数と演奏時間はとても短い。この短い中でも各主題を含む細かな動機の提示と展開がされる。ドラティ、ファイとは対照的なキーワード、レガートにより出だしからインパクトを与えてくれた印象。
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2019年2月9日 1番 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 を聴取。新譜で全集を先日購入。奏者の経歴などについては、 HMV のサイトに、かなり詳しくこのCDについて記載されている。商品が到着した後(33枚組み) ごく一部のCDからテスト的に聴取する。録音に古いもの、あるいは曲によってかなり差があるように感じる。(1960年代の録音データしか記載、がないようだ)
録音はダイナミックレンジが狭く不鮮明なところがある。音の定位感が時折不安定。このCDは、hobの番号順番となっていて、1〜5番が1枚に収録。裏側の英文の注釈によると下記のように記載がされていた。音源が不明なので、詳しいデータがないのが残念。

Digitally remastererd from vinyl.
Orginal tapes missing and cannot be found.
1969-1972 MHS

 最初の第1番から聴取する。冒頭の第1楽章は、テンポは中庸。vn.は通常配置。管楽器は、中央よりかなり奥側。hr.は右側に並んで位置。cmb.は入っていないようだ。提示部及び展開部と再現部の繰り返しは採用。初期の交響曲では概してhr.は和声を強調することが多い。この演奏でもhr.は殆ど控えめになっている。
 Finaleは、テンポはゆっくりめ。フィッシャーなどは、弱奏 の部分は弦がsoloで引く部分もあるが通常。
 冒頭で録音に関して差があることを記載した。この第1番に関しては、時折に音の揺らぎがあるが、それほど目立たない。分離感が良好でダイナミックレンジは広いほう。しかし管楽器の奥行き感がやや不足気味。全ての録音を取りまとめたライナーノートはない。しかし各CDの裏面には、各楽章のプレタイムは丁寧に記載されている。
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2019年7月13日 1番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ を聴取。ホームページのリニューアルのため最近聴取できず。N マリナー盤がひとまず終了したので、ここ最近ある程度、まとめて収集した中から、アントニーニ 盤を入手。現在7集まで発売されているようだ。
その内、数枚を既に入手している。作曲順番からできれば、通して聞きたい個人的なこだわりがある。しかし、全曲に向けての少しずつの発売で、しかも作曲年代順でない。ハイドン以外の作品も関連して収録されていること。ハイドンの複数の曲がCD1枚にまとめてテーマの様な感じで暫時、発売されている。このため、できるだけ発売順から聴取することとした。しかし、同じCDの中でも、聴取していく順番は、作曲順番とする。第1集は、No.1以外にNo.39と49が収録されている。この中から、最初にNo.1からスタートする。
 このシリーズに関しては、既にハイドン音盤倉庫の下記のブログに、高い評価として記載されている。

https://haydnrecarchive.blog.fc2.com/blog-entry-1239.html

 古楽器で切れの良い、くっきりとアクセントが良いのが特徴の記述もある。事前にある程度、この当たりの情報を収集した上で、聴取を開始する。(もし事前に収集がない場合、自分なりに戸惑うことが先立ってしまい、レビューが書きにくい)
1番は、ハイドン自身が、交響曲の第1番として、作曲したとは限らない。しかし晩年のハイドン目録でも、No.6から8と同様にNo.1はリストに入っている。このため、ハイドンの最初期の交響曲でも、ハイドン自身、気にっていて記憶に残っている曲のひとつと思われる。実際、短い演奏時間ではあるが、特に第1楽章は、コンパクトながら、「小さな宝石箱」のたとえ通り様々な仕掛けがある。(以下関連ブログ) 後年、様々な箇所で登場するシンコペーションにリズムが、第1楽章から登場するのも、特徴のひとつ。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-119.html

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-120.html


アントニーニの場合は、古楽器の特徴を生かして切れの良い、リズム感が特徴だと、思う。冒頭の第1楽章の第1vn.の動機。ここでは、スタッカートやスラーでない通常の奏法。T3の2分音符のやや長い音域は、アーノンクールやノリントンなどと同様に、僅かに、柔らかいクレッチェンドなどで強弱をつけている。しか、あくまで、スラーの動機に挟まれて、柔らかいニュアンスをT3前後で保っている。しかしその後、T4後半から第2vn.は、16分音符でトレモロになっている。直前のスラーとの対比がかなり目立つ。冒頭から、弦楽器のリズム感、アクセント、音色や奏法などが、とても細かく変化している。この部分の細かい変化ひとつをとっても、今までの指揮者では、表現できなかった特徴だと思った。

 このCD自体は、最近の廉価が多い中では、価格は高い方になる。しかし、ブックレットやライナーノートが、かなり充実している。聞いた直後から、オケの配置は自分なりに直ぐにわかる。ライナーノートに指揮者を含む、奏者全体の写真がある。これを見ると、vn.の対向配置を含め、楽器の概観が良くわかるのもありがたい。奏者の中で、fg.とbass.がそれぞれ1名の記載になっている。この写真でも1名しか登場していない。この当たりの情報ひとつをとってみても、正規版でCD音源以外に、見て楽しむ面白みがある。表装に関しても、「LA PASSIONE」のタイトルに呼応したかのように、興味深い写真が随所に掲載されているのも価値が高いと思う。
フィッシャーの全集版では、表装に関してはCD1枚ごとに、印刷している白黒の写真(主に過去の絵からの流用だと思うが)とは大差がある。(この当たりは、やはり値段の差になるのかもしれない) 今後1巻ずつ、取り揃えていく場合、CDを立てかけて並べていくと、様々な色が並ぶこともあり楽しみではある。
 ネットの時代となると、書籍も当てはまるが、戸棚に並べて保管する機会が減ってくる。確かにクラッシックCDを自分なりに買い足していくと、書籍やLPほどではないにしても、保管に場所をとってしまう。整理を旨くしないと、重複して購入する可能性もある。効率よく保管する必要がある中、シリーズを並べていく機会は減ってきている。
  2032年が完成の目標のようだ。ハイドン以外にCDには、常に他の作品も収録されている。このペースだと2032年までに、想定される発売枚数は40枚以上になるかもしれない。このペースで並べていくと、その幅は約40cm以上になる。(実際5巻でも、まとめてみるとその幅は約5cm)2032年に発売が完成した場合、背幅が描く模様は、どの様になるのか楽しみだ。

Alleglo D
2 Andante G
3 Allegro molto D
リ*1 展開部+再現部のリピートがありか、無しかの有無(大半の演奏は、提示部のリピートありのため省略)


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
2 37 1757/58 C 4 (1) 2 (2) (有) 必要 C 小編成でしっとりの第3楽章。音色の変化
楽章の構成 調性 リ*1 4楽章で構成されるが第2楽章以外は、主調のCで統一されている。第2楽章のメヌエットも主調だが、トリオは短調で弦楽器のソロ(solo)が入る。音色の変化が楽しめる。第1と第4楽章が同じ調性で、しかもPresto。全曲を通して聴くと、演奏時間が短いこともあり、全体の印象は散漫になる。
 しかし圧巻は第3楽章のAndante。cmb.を含む弦楽器のみで演奏されるが、しっとりとした小ソナタ。弱音の使い方や楽器の音色の変化がこの頃からも、既に楽しめる。メヌエットを含む他の3楽章は、テンポや音色の変化が余りないのと対象的。
 ドラティ盤は、timp.とtrp.は入っていない。テェンバロの音がやや大きめに入っているが第2楽章では、これが逆に花を添えている。なお第2楽章のtrioでは弦楽器のソロはない。このため音色の変化が今ひとつ。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月23日とする)
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2010年11月26日 ディビス盤を聴取。
ドラティ盤と同様に、楽器編成はtrp.とtimp.が入っていない。Allegloの楽章は比較的ゆったり。展開部と再現部は繰り返しあり。cmb.はドラティ盤と同じ様に目立つ。第1番でも同様であったが、中央の奥に位置。第3楽章のAndanteはフィッシャー盤と同様にAndanteよりも、ややゆったり目。それに対して、最終楽章のPrestoはフィッシャーよりもゆっくり。また弦のsoloがない。やはりフィッシャーを採りたい。
 なお井上 太郎 著「ハイドン106の交響曲を聴く」によると、作曲年代は1757-1759と記載。1758年の筆写譜から確定されたとのこと。そうなると、エルテルハージ候より前のモルツィン時代の作品となる。
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2011年7月20日Hob-No-37をスコアを見ながら再度、聴取。timp.とtrp.がフィッシャー盤ではセットで入る。その分、hr.は休み。第3楽章のAndanteの楽器編成は、弦楽器のみは通常、この頃に採用されるスタイル。この後に続く 通しNo.2(hob―No.2)の第3楽章で9小節のhr.の和音があるのとは対照的。
 ドラティ盤はのcmb.が入っている点は前記した。スコアを見ると単なる通奏低音でなく装飾が、かなりある。hr.のパートは、trp.と同じ箇所が多い。元々のこのパートは旋律を重視せず、和音も長く鳴らさない。旋律からして、trp.の方が効果的と思う。Andanteは後半はドラティ盤は繰り返しを採用。一番最後の低弦の旋律は同じでない。繰り返しの後半は消えるように旨く表現をしている。Finaleはのhr.の旋律は、trp.と異なっている。第1楽章と違って、単なるリズムの補強ではなく、楽器の一員として加わっている。この当たりの違いは、スコアを注意深く見て再度、認識する。
 デイビス盤は、第3楽章のcmb.はストップ音を使用。ドラティ盤以上に、装飾を多用。しかし、しつこくない。
3者の演奏を聴き通してみて、trp.とtimp.が入らない方が細かい所まで聴き取れる。フィッシャー盤よりも、ドラティあるいはデイビス盤の方を薦めたい。なおhob.の順番通りに聴いて行くと通しNo.は37となり、作曲年代は、かなり後になってしまう。その場合だと曲の構成や雰囲気はなどは多少、物足りなさを感じるかもしれない。これに対してデイビス盤は、ほぼ作曲順番通りなので、このもの足りなさは感じさせない。

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2013年1月18日 追記。ホグウッド盤を聴取。デイビス盤と違ってNo.32の次に収録。CDだと3枚目。trp.とtimp.が入っていないので、室内楽の雰囲気で楽しめる。古楽器のスタイルなので、hob-No.-1と同様に弦楽器の音色の変化に好みが分かれるところ。

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2015年2月17日  ゴバーマン盤を聴取。Trp.とtimp.が入っているが、控えめ。第1楽章の第1主題は、ハイドンの特徴の一つでも、ある、単一動機からなるもの。各パート特に、第2vn.が細かく聴こえる分この動機が変形あるいは再現されながら、いたるところで、プレストのテンポで散りばめられる。プレストのテンポ指定ではあるが。ゴバーマン盤では、それほど速いテンポを取らず細かく聴かせる。
 第3楽章のAndanteは、陰影深くテンポをやや落として演奏。finaleは、やはり、ややゆっくり目。管楽器が控えめな分ob.のユニゾンなどの効果は余り期待できず。
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2019年2月10日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 37番を聴取。打楽器群のtrp.とtimp.は、やや右側に入る。録音状況はNo.1と大きくはない雰囲気。弦の奏者の数は中規模程度と推定。No.1と異なり第2楽章ではあるがMenuetが入る。Menuet及びtrioはテンポが遅め。特にTrioは短調の調性とも相まって、かなりテンポを落とし音量はそれほど差がない。第3楽章のAndante。後半の展開部と再現部の繰り返しはなし。Finaleは遅めのテンポ。後半の繰り返しは採用。再現部T72でhr.と第2vn.が入る箇所がある。提示部の類似箇所は、この部分はhr.は入っていない。第1vn.の動機を受けて エコーがかかったような部分になると思う。弱奏が続く部分でhr.と第2vn.は弱奏を引き継ぐように、旨く演奏していると思った。
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2019年8月5日 37番 ヘルムート ミュラー=ブリュール ケルン室内管弦楽団 を聴取。ブリュールの追加で聴取していく中で2枚目。1枚目はNo.32-34だったが、今回はCD14番目で、 No.37-40の4曲が収録されている。No.37は、これらの4曲の中では、もっとも最初期のひとつの曲。ひとつ前の30番代では、cmb.が最初から緩叙楽章を含め全て入っている。cmb.は中央に位置。
 C調はNo.32.33にも共通している。No.37の方は、同じC調でも打楽器群は、少し控えめ。第4楽章のFinaleでメルツェンドルファーの場合、trp.がやや遅れてエコーがかかっている独特な雰囲気を記載した。(下記のブログ) ブリュールの場合は通常通り。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1077.html

Presto C
2 Menuet C
3 Andante
4 Presto C


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
3
18
1757/59 3 (1) 2 必要 C menuetの最後のコーダで締めくくり
楽章の構成 調性 リ*1 3楽章で構成される例は多いが、最後はメヌエットで終わるのは数が少ない。3楽章が全て同じGで終始のため調性の変化が少ない。最初のAndante moderatoは小ソナタ風かあるいは教会ソナタか? 中間の第2楽章がAllegloなので、第1楽章は時間の長い第2楽章の序曲風にも聞える。中期から後期がAllegroやPrestoで終わること。それに対してmenuetで3楽章で終わることもあり、全曲を聴き通しても物足りなさがある。menuetの最後に比較的長いコーダがあるので、最後に少しはすがすがしい気分に終わる。
  ドラティ盤はcmb.の音が大きめなのは第37番と同様、ゆっくりとしたテンポでの第1楽章と第3楽章trioでは、cemb.は花を添えている。第1楽章はフィッシャー盤と比較してかなり長い。このため単一の第1楽章として楽しめる。
  スコアを見ながらフィッシャー盤を聴き直す。スコアの版によるかもしれないが、第1と第2楽章が入れ替っている。Menuetの最後は、第1楽章の主題が回帰される手法は今後も時々、採用される。しかしこの頃よりテスト的かもしれないが、早くも試みているのは、いかにも若いハイドンの意気込みを感じさせる。
 また第3楽章でsoloで演奏する箇所を確認。trioの部分では、初期・中期にかけては、かなりsoloを多用している。この点は了解はしているが。trioは一般に弱音の箇所が多いが、「f」の箇所でもsoloのまま。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月23日とする)
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2010年11月27日 ディビス盤を聴取。全てを聴き通してみて、各楽章のテンポが全て異なるものの同じGの調性で終始。各楽章の特徴も大きなものも余りないので、Cランクのままとしたい。ただ第3楽章のtrioは、短調なので主調とは異なる。
 Menuetの最後の部分のcodaは、第1楽章への回帰を思わせるのは、何回か聴いて判明。(第1楽章の主題とmenuetの主題との関連性は余りないと思うので)この手法は、後のHob−No.-32(ホルン信号)でも採用された。この手法の前段として、考えられたか?この点などは、何回か聴いてみないと見落としてしまう。
 その後、手持ちのスコアをながらHob−No.-18第1楽章Andanteをチェック。フィッシャー盤ではcmb.が入っていないがディビス盤では入っている。第1‐2vn.を中心とした付点音符の独特のリズムがこの楽章の中心となるであろう。これを際立てるためには他の楽器は、できるだけ終始、目立たない役割を好む。これに伴い、cmb.は控えめの方が良いと思う。
 一方、もう一度フィッシャー盤を再度、比較のため聴き直してみた。va.以下の低弦が弱奏の部分を中心に、ピチカートで演奏しているのではないかと思った。スコアの最初の1小節目の低弦はピチカートの指示の記載はなく、スタッカートのみの記載になっている。特にT7当たりではっきりと聴こえる。しかし、もしピチカートで引いていたらvn.との音色の対比にプラスになっていると思う。

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2013年1月19日 追記。ホグウッド盤を聴取。
No.1から聴き通している中での3曲め。(通し順番で聴いているため、CDの収録順番とは前後する)。3曲通している中で共通していることは、やはり細かいパートの音色。弦楽器と管楽器のバランスに違和感がない。もし古楽器でなかったら、管楽器の音色は負けてしまう。しかし少人数の弦楽器でも管楽器とのバランスが良い。当時の編成はおそらく、この演奏は大差がないと思うので、改めて各楽器の音のバランスの良さを認識した次第。
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2019年2月11日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 18番を聴取。3曲目になるが、こちらは3楽章でFinale がtempo di Menuetto で第1楽章を少し回帰させる短いcodaがある。No.1と37では、どちらかといえば、Ob.のユニゾンが聞き取り難かった。しかしこちらの方は録音がさらに鮮明なのか、ob.のユニゾンの箇所が細かく分かり、管楽器と弦楽器のバランスが良い。
 N マリナーの演奏でも少し触れたが、どの旋律を重視するかによって、曲の雰囲気や流れの理解が変わってくる。この曲はとても短く繰り返しの箇所が多いので、それほど、どの旋律を強調させるかは余り重要視されないかもしれない。ob.のユニゾンにも触れたように、主旋律とはかなり異なり対旋律でもない動機については、特に初期の交響曲では余り重視しなくてもよいと思う。その分、冒頭を中心とした主題と、その後に展開していく旋律を表に出し、必要に応じて伴奏となる旋律は控えめでよい。
 メルツェンドルファー では、このスタイルをこの曲では、少なくとも通している。Finaleは少ない箇所ではあるが、管楽器にもsoloに近い動きがある。この部分では、しっかりと表に出し弦楽器は控えめになっている。この当たりのバランスは、作曲年代や、個人の好みもあって微妙なことではあるが。少なくともこの演奏を聴く限り、ob.のユニゾンの扱い方は、ゆっくり目のテンポも相まって自分の好みに合っている。
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2019年10月28日 18番  Kevin Mallon K マロン Toronto Chamber Ochestraを聴取。ごく初期の交響曲のひとつ。3楽章の同じ調で、最後はTempo di Menuet ながら短いcodaに近いもので終わること。第1、2楽章の再現部も、はっきり登場しないなど、No.15のように独創的な面がある一つと推定。
 No.107の時にマロン盤の奏者の数に触れた。また、この時の映像ではhr.は、中央よりのやや左側に位置していた。ごく初期の曲は、hr.はどちらかといえば、補強的な役割が多い。このため、概して旋律としての独自の動きは少なく、Tuittiの補強の役割で控えめでよいと思っている。第2楽章 Allegro moltoの最初の部分。第1楽章のゆったりとしたテンポと異なり、全ての楽器が最初から速いテンポで登場する。T6でhr.が2つのパートでリズムのある動機を演奏する箇所がある。この部分でもあくまで控えめに演奏している。


Andante Mmoderato G
2 Allegro molto G
3 Tempo di menuet G


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
1757-59 C 3 (1) 2 D リピートなしの楽章あり。
楽章の構成 調性 リ*1 第1楽章提示部のリピートがないのは珍しい。また展開部と再現部のリピートもなし。第2楽章は無窮動的な主題で展開も少ない。Prestoでは、va.以下の低弦楽器が独自の動きが目立つ。(これまでの3曲までは、独自の動きが目立たない方であった。) Cの調性は祝典的な方であり、初期の頃からもtrp.とtimp.を伴うケースが多いがこの曲はなし。このため、やや、こじんまりと聴こえる。
 スコアを見ながらドラティ盤を再度の聴取。第1楽章の提示部のリピートはない以外に、どの楽章にも反復記号がない。(井上著にも記載)第1楽章の終わりに近いところでドラティ盤は、かなりの盛り上がりを見せるが、スコアでは特に強弱の指示はない。しかしエネルギッシュな終わり方。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月24日とする)
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2010年11月28日 ディビス盤を聴取。井上 太郎著「ハイドン106の交響曲を聴く」によると、各楽章の反復記号がない点などからバロック的と記載がされている。この表現は的を得ていると思う。Prestoは2つの調性の異なる主題が交互に現れている。後年になって2つの主題によるロンド形式などがあるが、その走りではないかと推測。前述の井上著の本にもこの点に言及。
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もう少しこの箇所を(No.2第1楽章のcoda)中心にスコアでチェックしてみた。再現部の後、第1ー2主題が再現する。その後の結尾部では、提示部と異なり第1主題が再度、短いながらも回帰がされる部分に相当する。(強弱の指定はなし。)しかし楽章終始の6小節前で一旦、「p」の指定箇所がある。僅か3小節の「p」の箇所との対比が絶妙で、その後の「f」で第1楽章を締めくくる。エネルギッシュで終わる印象の背後には、作曲者にはなかった一部なかった強弱記号の箇所がある。しかしその背後には、拡大された短いながらのcodaの影響だと思った。ドラティはこの部分を旨く演奏に反映しているのではないか。
 第2楽章は第1−2vn.が常に同じ音符で進行する。
 第3楽章はロンド形式の走りであることが再度、認識する。フィッシャー、ディビス盤と比較してテンポがPresto以上に速い。しかし繰り返しがないロンドの流れる様な切れの良さを味わうのならこれ位、速い方が良いと思った。ドラティ盤を勧める。

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2013年1月21日 追記。ホグウッド盤を聴取。今まで、cmb.はこの演奏で入っていないと思っていた。しかし注意深く聴いてみると緩徐楽章が2声で構成されることから、cmb.は不可欠であったと記述。cmb.は低弦と同じ旋律で演奏しているようだ。中野著「ハイドン交響曲」では、Finale Prestoは、今まで聴いてきた中と同様に、かなり速い。
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2015年2月18日  ゴバーマン盤を聴取。Alleglonoの指示であるが、テンポは、ゆくりめ。ドラティ盤では、codaにかけてエネルギッシュに終了するが、ゴバーマンでは通常に終わる。第2楽章のAndanteでは弦楽器のみ。cmb.が装飾音を一部伴い参加。
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2018年2月17日 パトリック・ガロワ(Patrick Gallois)指揮のシンフォニア・フィンランディア No.2を聴取。ごく初期の交響曲のひとつで、全集以外だと、まずは注目されない曲のひとつ。井上著「ハイドン 106の交響曲を聴く」の中で、第1楽章はこの時期としては珍しく、反復記号がない記載がある。繰り返しがなくても193小節ある。通して聴くと旋律の中にも、調性の変化や強弱の変化が随所にある。繰り返しがないので注意深く聴く必要がある。
  第1番で レガートをキーワードとして記載をしたが、この第1楽章はその典型。冒頭の第1主題も、スッタカートの記載があるが、ガロワは、余りアクセントをつけない。そもそもテンポ自体がかなりゆっくり目。4:12に対して、ホグウッドは3:08。小結尾に近いT55あたりで通常は、f の指定で、盛り上がりを見せるがガロワの場合は、 f でない。短い楽章であるが、対位法的な旋律が随所にある。特にT178当たりから、これまで登場していた各旋律が、終結に向かってエネルギッシュに向かう。ドラテイ、フィッシャー、ホグウッドを聞き比べてみたが、このT178当たりは、それほどエネルギッシュに向かわない。ガロワでも同様。もしT ファイがこの曲を指揮していたら、恐らく最後の方のT178からの弦のパートが異なる部分でバスパートを中心に f の盛り上がりを見せたに違いない。

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2019年2月12日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 12番を聴取。P ガロワのこの曲では、第1楽章で流れるような特徴を主に過去に記載した。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-881.html

 メルツェンドルファーの場合も、どちらかといえば流れるようにガロワと共通した解釈。第2楽章はホグウッドではcmb.がはいっているが、ここでは過去3曲と同様に入っていない。Finaleで遅めのテンポでob.のユニゾンの効果をNo.18で記載した。ここでも同じように効果的。

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2019年8月4日 34番 ヘルムート ミュラー=ブリュール ケルン室内管弦楽団を聴取。d-molの緩叙楽章から始まるが、実質、D-durの交響曲の位置づけと考える。第1楽章から第1楽章の、テンポと音色の対比が一番の聴き所。第2楽章 T24から16分音符のトレモロになる箇所がある。 元々この第2楽章の冒頭から、16分音符の刻む様な旋律は最初からあったが、この箇所から、高音域で第1,2vn.で、エネリュギッシュに展開、盛り上がっていく。ここまでは冒頭からの緩叙楽章をの雰囲気が中心だったので対照的。T32から1オクターブ下降する装飾音を含む旋律。フィッシャー盤では、この箇所をポルタティメント風に引いていた。ブリュール盤は、他の指揮者と同様に通常通り。


Alleglo C
2 Andante G
3 Finale,Presto C


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
5 1757-60 D 3 (!) 2 必要 B 早くも低弦独自の旋律
楽章の構成 調性 リ*1  Prestoの第1楽章は、2つの主題の対比が良く、提示部でも少しずつ展開がされているので充実感がある。特に第2主題の経過部にかけては、低弦独自の動きと細かい対旋律、音の強弱がすばらしい。同じDの調性でも、第1番と比較して楽器の使い方にも発展が見られると思う。スコアを見ながらもう一度フィッシャー盤をチェックしてみる。第1楽章の低弦の独自の動きは、vc.とcb.の分離はさすがにない。しかしva.とvc.が所々であるが独自の動きがあるのをさらに確認。
 圧巻はAndanteの第2楽章。弱音器を付けたvn.が常時旋律を引いている。しかし対位法は十分で低弦の独自の動きも加わって聴き応えがある。第2vn.以下の低弦は、全く同じ音符で終始をする。また第1vn.以上の高い音域までは行かない。このため逆に第1vn.には、低音から高音域までカンタービレ風の謡うように常に旋律が伴う。テンポは殆ど変わらないが、装飾音を含めた音符の細かい動きがある。第1vn.の演奏者は3-4人程度だったと思うが。それでも、この旋律を遅いテンポで謡うように引くには当時は、かなりの力量が必要であったと思う。それに対してドラティ盤は第3楽章のmenuettoの展開部では弦のsoloはなし。ドラティ盤はhr.の音がやや大きいが、持続音が効果的でアクセントがある演奏。
 なお中間部のhr.の箇所を詳細にチェックしてみると、なんと9小節も、連続して息継ぎなしに吹く指定になっていた。hr.自体は、他のパートと同じppの指定であった。この箇所では、va.とvc.は同じ補強的な4分音符で終始し、それに対して第1.2vn.は3連附で細かい動きになる。hr.は和音として単に支えているのだが、ppで一定の音量で補強するは、かなり大変だったのではないか? 演奏の中でsoloやsoliの指定がないものの演奏家にとっては、かなり技量を要すると思った。
ドラティ盤は、hr.の聴かせ所と解釈して目立つように演奏したのかもしれない。
 
第3楽章はMenuetの形式でなくテンポがMenuetの意味合い。楽章数は少ないが、各楽章の楽器の扱い方や音色の対比が従来よりも明らかに差がある。このためBランクとしたい。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月25日とする)
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2010年11月29日 ディビス盤を聴取。第2楽章は、フィッシャー盤やドラティ盤よりもかなり、遅いテンポで演奏している。楽器編成では管楽器が休み、弦のみでの演奏。音量はほぼ一定であるが、d の調性に終始することが多いものの微妙な音程、音色の変化などは何度聴いても意外な面がある。両端の楽章が明るいD調と対照的。Andanteの楽章のみはディビスの方が、テンポがゆったりで細かい音まで良く分かる。全体としてはフィッシャーを推薦するが、Andanteのみはディビスを推薦したい。

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2013年1月27日 追記。ホグウッド盤を聴取。ホグウッド盤を継続して聴取を重ねてきたためかもしれないが、どの楽章にもcmb.が入っている様だ。 2013年11月3日 追加。その後、他の曲を含めて聴き直した結果、cmb.は入らず。元々、少人数の編成なので細かい弦のパートの動きは明白。従来の3者の演奏でも明白であったが。ホグウッド盤では特に、弦の音の跳躍が聴き所。かなり速いテンポで、2オクターブにも渡って2つのvn.が同じ旋律を引く箇所がある。このあたりは、当時の楽団の演奏技術の高さを示すものだと思う。
 第2楽章では、デイビス盤だったかもしれないが、cmb.は弱音ペダル?をここでも使用。弦楽器のみで繰り返しがない簡素な形式である。しかしながら、見事に凝縮した雰囲気をかもし出すような感じ。最初に聴き始めた、hob-No.-1とこの曲とは、同じ頃であるが、作曲された詳しい時期は特定でできていない。しかしわずか3曲前のhob-No.-1と比較してみて、(同じD調、楽器編成と楽章数も同じ)これほど最初期の時代でも、大きな違いがあると思う1曲。ホグウッド盤では、さらにこの点を意識させた。ランクがBであると改めて認識。

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2015年2月18日  ゴバーマン盤を聴取。Presto T23からの第2主題が短調で登場する部分。第1vn.が第2主題を弾く中、va.第2vn.対旋律を引き、低弦が第2主題を呼応する部分。ここでは各パートが良く聴こえる。 
 
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2017年5月27日 T ファイ No.4 を聴取。第1楽章でシンコペーションの動機について記載をした。ここでも余り目立たないが一部、共通した動機がT14からT16に渡って登場。この動機自体は、さほど目立たない。しかし短い展開部のT44からのd-dur?からの緊張したシンコペーションの旋律につながる。



No.1では第2主題の存在感が余りなく、単なる経過的主題であったと思う。一方、No.4は、第1主題とは明らかに対比をさせ、リズムと調性も異なる。ファイの演奏では、T23の部分では、冒頭からのテンポを急速に落として、あたかもAdagioのように独自の雰囲気を出す。この対比は今までにない解釈。
 またシンコペーションのリズムは、第2楽章の低弦にも登場する。この曲でも重要な部分ではないかと思う。下記のサイト the web kanzakiにも言及されている。

http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-4

 No.1から引き続いて聴き通すと楽器編成、楽章数、調が共通で同じ頃の時期に作曲されていたにも関わらず、極端な違いがある。初期の交響曲の順番は、No.1に引き続いて、このNo.4からNo.5.No.10へと続く。No.1,4,10はすべてD調。3番目のNo.5はA調で、それぞれ調性は類似関係に近いと思う。No.1に続いてNo.5を持って来た理由のひとつには、最初のNo.1と同じ調性で、曲の違いを対比させるためではないかと思った
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2017年12月23日 G Herbig staatstskapelle berlin NO.4を聴取。録音は1974年 VEB Deutsche Schallplatten Berlin となっている。ザロモンセットの一部の曲の録音は1977年で聴取記録にも記載をしているが、こちらは初期の交響曲で録音も少し前になるようだ。近接音がやや多く、弦楽器を多く取り入れた録音はロンドンセットと同じ雰囲気。第2vn.は左側に位置。テンポが中庸なのも共通点。ファイの演奏では、第1楽章でT44当たりでのシンコペーションを含むテンポの変化について記載をした。こちらの方は特に目立たない。Cmb.が緩叙楽章を除いて、最初から入っている。
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2018年2月19日 パトリック・ガロワ(Patrick Gallois)指揮のシンフォニア・フィンランディア No.4を聴取。テンポは、No.2ほど、ゆっくりめではなく、 キーワードの レガートの特徴は少ない方だと思う。しかし冒頭の第1主題の出だしが独特。過去に聞いた演奏は冒頭から切れ目のない、流れるような旋律を特徴としている。ガロワの演奏では、一瞬ではあるが、4分音符の後に切れ目がある。他の類似箇所でも同じ解釈。
 第2楽章は弦楽器のみだが、cmb.のアルページョ風の伴奏が効果的。テンポが思ったより速めなのは意外。クレジットでは指揮者に追加してcmb.の奏者名が記載されている。
 Finaleで通常は、hr.はTuittiの箇所では目立たない。中間部当たりで、8小節の持続音がある箇所。ここではhr.が目立っているのも意外。
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2019年2月13日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 4番を聴取。ハイドンの交響曲でもっとも多いD-dur でNo.1から2曲目。No.1と比較して同じ3楽章でありながらも、低弦を含めた独自の動きや様々な旋律が登場する。 第2楽章は聴き始めて初めてvn.で弱音器の使用がある。メルツェンドルファーでは、どちらかといえば第1vn.の音量は弱音器がありながらも大きめな音量。興味深いのは、低弦の音色。Va.以下の低弦は弱音器は使用しない。冒頭からスタッカートの指示がある。vc.あるいは、bassのパートは、ピチカートで引いているように独特な切れ味のある音色。T33からは低弦はスラーを伴い通常に引いている。

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2019年7月29日4番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ を聴取。No.64から引き続いて聴取。作曲順番ではないので、疾風怒濤期の交響曲から年代が、かなり遡ることになる。第2楽章は全て、弦楽器のみで短調で通している。2つのvn.は弱音器を使用し、殆ど同じ音量で終始する。第2楽章の冒頭で第2vn.が16分音符ずれる装飾も、対向配置を生かしてよくわかる。
 第3楽章のFinaleもスコアでは、ソナタ形式でTenpo di Menuet  の指定がある。この指定を守ると一般の通常のやや、速いテンポのFinaleよりもやや遅めになることが多い。しかしアントニーニの場合は、速めのテンポが特徴的。最初期の交響曲のひとつで、特徴がつかみ難いことが多い中、各楽章同士で、Tenpoと音色の変化は旨く表現していると思った。
Presto D
2 Andante
3 Tempo di menuetto D


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
6 27 1757-60 G 3 (1) 2 C sicilianoのピチカート
楽章の構成 調性 リ*1 上行和音のでCの比較的聴きやすい旋律は、後に作曲された交響曲の動きにも類似。(直ぐには思い出せないが、中期の序奏付の交響曲。第1主題だと思う。*1 
  第2楽章は、低弦のピチカートの扱い方が効果的。今までにはない使用方法。これは、後にも頻繁に利用される手段であるが、この頃よりも見られるのは、興味深い。sicilianoの表示通りの雰囲気。
 ドラティ盤では、sicilianoの低弦ピチカートがcmb.に装飾されて、しっとりとした雰囲気。今回の聴取記録はメインにフィッシャー盤を持ってきている。しかしここまで聴いてきた限り、緩徐楽章に関してはcmb.の装飾効果で、ドラティ盤に軍配が上がると思う。
 
 *1(追記)その後、通して聴いた来ている中で、この主題は、No.25の第1楽章と判明する。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月26日とする)
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2010年11月29日 ディビス盤を聴取。
AllegloとPrestoの展開部と再現部は繰り返しあり。cmb.がAllegloではドラティ並に、かなり大きめ。再現部では第1主題がかなり拡大されて規模が、提示部よりやや大きくなっている。
cmb.の扱いは、Andanteになる逆に控えめ。Cmb.の装飾効果は印象的な分、やはりドラティ盤を薦めたい。(オブリガート風の即興的な旋律が効果的)
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 2011年2月6日 Hob-No-27をスコアを見ながら再度、ドラティ盤を聴取。第1楽章の第2主題(第1vnの影に隠れて、やや、はっきりとはしないが)の部分では、第1−2vn.の掛け合い箇所がある。ここではva.が常に寄り添う。(va.が単独に近い旋律を受け持つのは、聴き初めての用法か?)
 第2楽章のsicilianoで、cmb.はbass.のピチカートに合わせてか、音色を変えている。(ストップ奏法?)この部分のva.vc.は常にピチカートで終始。その分、高音域で常に第1vn.が謡うように旋律を引いている。中期の頃より緩徐楽章は、vn.は弱音器を付けて引くことが多いが、早くも採用。
 圧巻は第3楽章。ドラティ盤はテンポが速いので、ついついさらりと聴き流してしまいそうだ。曲自体も短いし主題も一つで3部形式。良く聴いて見ると、小結尾部で第1−2vn.が1オクターブの上行音を引く、この部分は32分音符になっている。Prestoの速度指定で、3/8拍子。32分音符で引くのは、当時としてはかなりの技量を必要としたと思う。提示部は2回だが、再現部はこの部分は3回。上行音の箇所がもう一つ増えて、終わり方も力強い。
 フィッシャー盤は、第2楽章はドラティ盤よりもテンポがややゆっくり。cmb.の効果は大きいが、低弦の支えるピチカート奏法がメインを思うが、この当たりは好みのよるところだろう。Finaleはフィッシャー盤よりテンポは遅い。
 一方、ディビス盤は、第2楽章では、cmb.は目立たないのでなく休んでいると思った。Finaleのテンポはフィッシャー盤と同じゆっくりめ。Andanteのcmb.の採用やFinaleのテンポの小気味良さからもドラティ盤を薦めたい。再度、聴き直してみて、ランクはBであると思った。
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2013年1月28日 追記。ホグウッド盤を聴取。 Allegloの冒頭は、クレッシェンド風に強弱ををつけている。第2楽章のsicilianoはcmb.が入らず。低弦のピチカートを生かすためか?
 第3楽章は、音の跳躍が聴きどころ。しかしひとつ前のhob-No.-4と比較すると、音の跳躍は、やや不足。調性は同じシャープ系で類似をしているが、全体を聴き通してみても、No.4に引け目はとらない。ランクはBとしてもよい感想は同様。

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2015年2月18日  ゴバーマン盤を聴取。Andante:siciliano では、cmb,がストップ音で参加。

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2017年3月1日T.ファイ No.27を聴取。No.26.27.42の3曲セットの1枚から、作曲順にNo.26から聴取。自分なりの作曲順番の通し番号だと、No.6〜8シリーズよりも前の6番目。エステルハージ副楽長よりも前の時代。Cmb.が最初から入っている。No.40の第1楽章の冒頭を最初に聴いたときの印象によく似ている。すなわち f で上行する圧倒的な旋律から開始する。序奏もなくいきなり聴取者にインパクトを与えてくるような雰囲気。T1の第1vn.を中心とする旋律はもちろん、主役を担う。しかしそれ以外に、第2vn.の16分音楽音符のトレモロにも注目。この刻むような鋭い持続的な緊張感は、第1vn.を支えるように、15小節にも渡って続く。(さすがに低弦は8分音符となるが)

2小節の経過的な部分を挟んで、経過動機あるいは第2主題と思われるシンコペーション風にT18から続くスラーを4分音符の柔らかい部分の雰囲気が急遽登場。冒頭の圧倒的なものと明瞭な対比が続く。ファイの演奏は、冒頭の第2vn.のトレモロが切れ味がよいのでこの対比が良い。T99からの第2主題?は短調風の暗い雰囲気が伴うが、この当たりの部分は、後年のNo.46. 第1楽章 T48の部分を予兆させる。
 Finaleは112小節で全てを繰り返してもファイの演奏で2:20とすぐに終わってしまう。Prestoのテンポを守りエネルギッシュに終わる。第1.2vn.が音程を少し話して上行していく旋律は、16から32分音符にさらに細かくなり一気に終わる。初期の交響曲ではあるが、スコアの背後に隠れている旋律の面白さを、現代の楽器と解釈で表出させてくれる演奏で、No.40と供に評価を上げたい。
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2019年2月14日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 14番を聴取。過去のファイ盤では第2vn.の16分音符の切れの良い旋律を記載した。こちらは対向配置でないため不明瞭。(譜面あり)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-789.html

 冒頭の第1主題は第1vn.が中心ではあるが、管楽器のob.とhr.が入っている。メルツェンドルファーでは冒頭からob.が手前に強調されて入っている。あたかもNo.38のob.協奏曲に近いような感じ。ここまで聴取した曲に関しては、旋律を重視したバランスが適度な点を記載した。しかしこの曲に関しては、伴奏に回るような立場のob.も常に前面に強調されている。録音によるかもしれないが、弦楽器の音量も不足気味。同じ管楽器のhr.もob.と同じ動きの箇所がある。しかしhr.はあくまで常に伴奏に徹している。Finaleもやはりob.が前面に押し出した演奏。録音のバランスが悪い印象に終始。(No.18ではob.が自然な雰囲気で録音できていたので残念)

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2019年9月15日 27番Bela Dorahos B ドラホシュ Nicolaus Esterhazy Sinfonia  を聴取。ホームページの不具合から、しばらく聴取が途絶える。旧パソコンでインストールしていた、各ソフトの中で、PDF閲覧関係も変更。再インストールする。
 ウオード盤は、NAXOS全集の追加購入で終了。ドラホシュ盤で、No.27、28、31などが残っている。残りはマロン盤の3枚が、今後、聴取の予定となる。Naxosのライナーノートには、このオケの写真が掲載されていないため、奏者の数が不明。cmb.は適宜入っている。この曲は、ごく初期のこともあり、冒頭からすべて入っている。繰り返しも全て採用。繰り返しの後半は、緩叙楽章を中心に、cmb.は装飾が適宜入る。
 メルツエンドルファーの全集では、この曲に関しては、録音がとても悪く、特に管楽器のob.が全面に出てしまい、あたかもob.協奏曲のような印象だった。こちらの方は、録音は通常通りで違和感は全くない。vn.の奏者が7名に対して管楽器は2名ずつだが、弦楽器と管楽器のバランスも良好。Tuittiでの弦楽器と管楽器の奥行き感も問題ない。T ファイ盤では、冒頭から対向配置を生かして、第2vn.の16分音符の切れの良さを記載した。(下記のブログ)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-789.html

ドラホシュ盤では通常通り。第2楽章のAndante Siciliano のテンポは、思ったより少し速め。Va,以下の低弦は、すべてピチカートで管楽器も休む。2つのvn.も、第2vn.は、第1vn.よりも、音域が高くなる箇所がほとんどなく、伴奏に徹している。対向配置でないため、2つのvn.が一体となるが、第2vn.は音量を常に控えているのもよい印象。

Alleglo molto G
2 Andante:siciliano C
3 Presto G
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1


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
7 10 1758-60 D 3 (1) 2 必要 C 合奏協奏曲の形式が初めて登場
楽章の構成 調性 リ*1 旧の番号では、6-8番 朝、昼、夕べよりも後になっているが、実際の作曲順は6-8番の3部作よりも前になっている。今回、合奏協奏曲風では初めての登場となる。3部作と比べて楽器の種類が少ないこともあり、soloの部分は第1.3楽章のみに留まる。
 最初に通し番号1番から44番までのを概観するに、この中でも大まかに3つの時代に大別されるのではないかと思った。真ん中の第2期に旧7‐9番の3部作が入り、大まかには3部作が一応メインとなる。その前は、3部作にいたるまでの道程。それ以降は、3部作を受けての、さらなる発展と解釈する考え方である。その意味で最初の合奏協奏曲とし取り入れた点を最大のポイントとしたい。
 ドラティ盤はAllegloのsoloの扱いが控えめ。合奏協奏曲のスタイルが聞えにくい点から、フィッシャー盤を勧めたい。

(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月27日とする)
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2010年11月30日 ディビス盤を聴取。第1楽章のAllegloは、テンポでは、かなり遅め。ドラティと同じぐらい。
 また合奏協奏曲あるいは、協奏交響曲の先駆けであると、フィッシャー盤では記載をしたsoloの扱いも期待をしていた。しかしsoloの扱いは全くないので少々、落胆する。全体的にイタリア風の様式で、初期のモーツァルトの初期から中期の音楽の雰囲気の点は、この後のNo.20とも類似。
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2011年1月22日、スコアを見ながら、再度、フィッシャー盤を聴取。聴き所ポイントを合奏協奏曲の形式が初めて登場と記載をした。しかし手持ちのスコアでは、各弦のsoloの扱いが記載されていない。
 合奏協奏曲、協奏交響曲と交響曲との違いを、分けることは実際には難しいと思う。指揮者(演奏家)の解釈の近いにもよるかもしれないが。ドラティ、フィッシャー盤では、soloの扱いがない。このため合奏協奏曲と断定するのは、早計かもしれない。 
 スコアでフィッシャー盤の各弦のsoloの箇所を見てみると、原則として強弱の「p」の箇所が多い。しかし全てがその箇所とも当てはまらない。しかしながら、個人的にはフィッシャー盤でのsoloの登場は、とても的を得ていると思う。特に第1楽章の提示部では、第1主題の提示の後、経過部の所で、soloが始めて登場するが実にスムーズの印象。この後に続くのHob−No.-6〜8シリーズに共通する点がある。これ一つをとってみても、先駆的に作曲をしたのではないかと、再度、認識した次第。
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2013年2月1日 追記。ホグウッド盤を聴取。第1楽章の経過部の部分では、soloで引いていないので、合奏協奏曲の雰囲気は感じられない。第1楽章の第1と第2vn.のパートを見ていると、同じ箇所で、4つの音程がある。単純に考えれば、それぞれ最低各パートは4人の奏者が必要だったのか?
 Andanteは弦楽器のみの編成であるが、各パートは思ったほか細かい動き。ついつい、第1vn.ばかりに耳が入ってしまうが、第2vn.とva.も適宜、同じ旋律だったり、音程を少し変えての演奏などがある。今までの3者の演奏よりも、細かく聴き取れる。
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2015年2月20日  ゴバーマン盤を聴取。通し番号順で聴いてきた中で、各パート、特に、第2vn.の細かい旋律と対比が際立った聴き所に初めて遭遇。
 第1楽章の合奏協奏曲風の掛け合いは、フィッシャー盤の様なものは余り楽しめない。第2楽章Andanteは、弦楽器のみの編成。冒頭の旋律は、第2vn.とva.がT6まで、同じ旋律を演奏。このときに、va.が第2vn.よりも1オクターブ低く演奏するがvn.とva.の対比が良く分かる。T7で初めて、第1vn.が、持続音から、旋律を引き始めるタイミングが絶妙。緩除楽章でのゴバーマンの良さが、初めて開花した様な雰囲気を保っている。
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2017年5月27日 T ファイ No.10を聴取。ひとつ前のNo.5で、コンチェルトグロッソ風の特徴を記載した。フィッシャーの演奏では第1楽章の第2主題の部分で、soloの部分が入り、この特徴につながっている。しかしファイの演奏は、No.5と同様に、soloの部分でない。
 ファイの特徴はいろいろあるが、その中のひとつに各パートの分離感と「きびきび」としたリズムの切れがある。リズムの切れとしての例として、冒頭の第1主題。T23までの第2主題が登場するまで、4分音符を中心とした「きびきび」としたリズム感が続く。T1の第2vn.のスッタカートからのリズム感がT2の低弦に引き継がれながら、ダイナミックに進んでいく。
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2017年12月23日 G Herbig No.10を聴取。No.4にも記載をしたが、弦楽器を中心とした録音で管楽器は聞き取り難くい。この録音も同様で、第1楽章の冒頭の第1主題もob.とhr.の音が分かり難い。しかし展開部の冒頭のT38の部分。ここでは、この楽章で唯一といって言いと思うが、ob.が目立たせている。
 Finale Presto も、2本のob.は、各パートで分かれている旋律も受け持つ箇所がある。しかしユニゾンの箇所を含めて余り目立たない。
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2018年6月17日 パトリック・ガロワ(Patrick Gallois)指揮のシンフォニア・フィンランディア 10番を聴取。このCDはNo.9−12の4曲が収録されている。2018年 2月にもNo.1〜5を聴取しているが、その続きに当たる。ハイドン 音盤倉庫にも、お勧めCDとして掲載(下記のアドレス)

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-1610.html

レガートの柔らかさが特徴のひとつと以前、記載をした。ここでも同様。たとえば 第2楽章 Andante冒頭の部分。ここでは、主に、第2vn.とvaで主題が提示される。第1vn.は旋律を引かないので伴奏に徹する。このため主題は、第2vn.とva.が引き立て役になるが、左側の第2vn.と右側 やや奥のvaとが、旨く適度に広がっている。この楽章は弦楽器とcmb.のみなので、逆に弦のパートの分離感と一体感がポイントになる。中期頃以降に緩叙楽章で用いられる弱音器が、この部分ではない分、音色が聴き所となる。さらに注目するところは、cmb.の部分で、bassパートとは別にアルペジョ風に引いているが、違和感がないのが良い。Cmb.は随所で華やかに伴奏に徹する。特に、提示部の最後の部分T41では、冒頭の主題とのブリッジする部分が美しい。左右のvn.が、時にはTuittiで同じ旋律を引くとき、広がり感が心地よい。この楽章で展開部と再現部の繰り返しがないのが少し残念。
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2019年2月15日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 10番を聴取。No.6〜8に類似した協奏交響曲に類似した手法で第1楽章は書いてある。フィッシャー盤など一部の箇所で、この特徴を生かしsoloで引くことがある。しかしフィッシャー以外は今のところ、soloでなく通常で引いていることが多い。メルツェンドルファーも同様。No.27でob.録音に関して目立ち過ぎる点を記載した。この曲では、No.27ほどではないが。しかしNo.1などと比較して、かなり目立っている。
 第2楽章では冒頭からP ガロワ 盤では繰り返しを採用しないが、ここでも同様。テープのヒス音のような短い雑音が時折入る。録音の点でも少し残念。
Alleglo D
2 Andante G
3 Presto D



No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
8 20 1758-60 C 4 (1) 2 2 B cantabileの第2violinの動き
楽章の構成 調性 リ*1 Cの調性と楽器編成が追加になることもあり、この当時の典型的な音色。一番印象に残るのは、第2楽章Andante cantabileの第2バイオリンの細かい動き。主旋律は第1vn.であるが、対旋律として、細かい動きの音色は、モーツァルトの初期から中期の作品を聴いている雰囲気になる。低弦は、同じ旋律が多いが、ピチカートを多様するなど音色にも工夫がある。第2楽章提示部の最後の方でvc.を含む短い旋律で引く箇所などは聴き所のひとつ。Cantabileでvn.が中心に活躍する中、弦各声部が僅かに引いているのが対比的。ピチカートの残響もプラス。(ただし手元にスコアなし)
 一方、第1楽章のAllegloは3部形式だが、中間部では短調になり、主部と再現部とは対照的な音色である。短いながらもcodaがあり、3部形式でも最後は聴き応えがある。
 ドラティ盤は、Menuetのtrioを中心に弦のsoloの扱いは殆ど聞えない。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月28日とする)
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2010年12月2日 ディビス盤を聴取。timp..とtrp.が初めて楽器編成で登場。Alleglo にはmoltoの指示記号がある。このmoltoの指示に従うかの様に、堂々と快活な雰囲気。提示部でも時には短調に流れる箇所もあり。展開部もこの頃にしては、調性は元より、音の強弱にも気が払われている。その分、再現部では、音色の対比が印象的。
 Menuetでは主部とtrioではvn.のsoloがある。フィッシャー盤と比較して、soloの扱いは、余り目立たない。ライブ録音の影響かもしれないが。
 通しNo.2(Hob−No.-37)と比較して、同じC調ではあるが、楽器編成、楽章が増えるなど大きな差がある。それ以上に、どの箇所を取っても最初の頃と比較して、飛躍な点が多い。明るく親しみやすい作風を心がけている走りでもある。
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スコアをみながら、もう一度、ドラティ盤を聴取。第1楽章を聴いた限りでは、モーツァルトの初期交響曲の印象を拭えない。フィッシャー盤でも同じであるが。va.とvc.との分離が殆ど見受けらない。逆に第1.第2vn.が重視され、お互いの掛け合いが重視される。
2012年2月28日 追記 スコアを見ながら、再度、デイビス盤を聴取。聴き所で第2楽章を記載したが、第2vn.の細かい動き以外もある。得てして第1vn.に聴き勝ちである。しかし低弦もピチカートで支えている。一部の箇所は、弓で弾いている。

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2013年2月2日 追記。ホグウッド盤を聴取。
timpは入っていない。ひとつ前のhob-No.-10と同じ様に、緩徐楽章の弦の各パートの細かい動きが特徴。低弦はピチカートを多用。
2013年2月13日 追記。
ホグウッド盤の演奏者については、下記の「毎日クラシック」のサイトで、演奏者の記載がある。これに関しての演奏者の比較は、通しNo.1(hob-No.-1)を参照。
http://gospels.cocolog-nifty.com/classic/2012/12/10620-3902.html
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2015年2月20日  ゴバーマン盤を聴取。No.10に引き続いて聴取。一番の聴き所は、Andante cantableだが、第2vn.の細かい動きが目立ちすぎて、逆に第1vn.の謡う様な、旋律が目立たない。(この楽章では、第2vn.は、ほとんど8分音符でずっと演奏し続ける)
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2019年2月16日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 20番を聴取。少し前のNo.27でob.の極端な目立ちすぎな点を記載した。打楽器が入り調性が異なるが、この点は今後も気になっていた。しかしこの曲に関しては、全く問題がなくTuittiでも弦楽器と管楽器、打楽器のバランスはとても良好。この曲は打楽器群が入る。それに対して第2楽章では、弦楽器のみで第2vn.の4分音符の独自の動きなど、様々な箇所での聴き応えがある。緩叙楽章ではこの曲に関しては、提示部はもとより、展開部と再現部の後半も忠実に守っている。ここまで聴いた限り繰り返しに関しては、臨機応変に対応している雰囲気
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2019年11月1日 20番  Kevin Mallon K マロン Toronto Chamber Ochestraを聴取。初期の交響曲でNo.20を含むレビューに「毎日クラッシック」がある。下記のNo.20に関しては、hr.の音域を含む詳しいことが記載されている。それらの中でマロン盤に関して、複数の演奏の中で、繰り返しを全て採用しながらも、第1楽章に関しては、一番テンポが速いと記載されていた。(以下のアドレス)

http://gospels.cocolog-nifty.com/classic/2012/12/10620-c178.html

 私も複数の演奏をNo.20に関して聞いてきたが、テンポに関して、確か速いがそれほど違和感はない。マロン盤は、このCDに関してはNo.18からNo.21までは、1枚のCDで収録されている。もともと、初期のこの頃の曲に関しては、作曲順番通りに聴取しようとしても、自筆楽譜が存在しなことも多いことも相まって、確定しないことが多い。No.18から21に関しても同様で、作曲順番で聞くのも難しい。作風スタイルがある程度、類似していることから、hob番号順に聞いても余り支障がないと思っている。
 しかしNo.19から引き続いて聴取すると、明らかに冒頭から作曲の雰囲気が大きく変わったことが、私なりによくわかる。上記のブログにも「そしてこの第20番を聴くと、森の小道を歩いてきて急に広場に出てきたときのような「広がり」を感じないではいられない」と記述がある。このブログでは弦楽器の奏者の数が、ホッグウッドでは 4:4:1:1:1と記載されている。ホッグウッドは元々、古楽器でマロン盤と同様。しかしマロン盤はNo.106のところでも記載したが、低弦でva.とvc.は2名になっている。奏者はその分多くなるが、ホッグウッドばんと同様に、弦の各パートは透明感がある。No.19からと異なり、この曲で打楽器群が打楽器群は入るが、あくまで旋律の補強的な役割。打楽器群は中央寄り。
 No.19にも記載したが、微妙な強弱をつけているのは、このNo.20でも同様。第1楽章T44の部分。得てして第1vn.の動きに注目しがちだが、伴奏する第2vn.の動きも対等。このあたりから微妙に転調していく部分もうまく表現していると思った。

Alleglo molto C
2 Andante cantable G
3 Menuet C
4 Presto C


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
9 17 1760-61 F 3 (!) 2 必要 D Alleglo 展開部でのカノン風の扱い方
楽章の構成 調性 リ*1 Allegloの第1楽章は、比較的展開部が長く、カノン風の扱い方に興味がある。第2楽章の短調は、しっとり。しかし、前の第20番と比較すると、細かい動きや音色の変化が少ない。
 ドラティは、第3楽章のテンポがゆったりとした雰囲気。
1月13日、スコアを見直しながらの再度、聴取。提示部は第2主題がはっきりしない中で、属調の経過部が長いのは、この頃ある典型的なスタイル。比較的展開部が長い点をスコアでチェック。55小節の提示部に対して、展開部は、57小節とこの頃としてはかなり長いことが判明。
 (2019年12月27日追記 タグとして2010年11月29日とする)
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2010年12月5日 ディビス盤を聴取。初期の頃の典型の曲。改めて、聴き通しても、同じ印象。cmb.は、ドラティ盤と同じぐらいに大きめ。第2楽章は、この盤を特徴とするように、テンポはゆっくり。第3楽章も同様。
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スコアを見ると、ob.のパートが記載なし。しかし演奏ではかなりユニゾンあり。この違いは今ひとつ、分からない点が多い。
ob.の旋律は、vn等の他の楽器常にユニゾンでもなさそう。かといって、もしob.のsoloが1箇所でもあれば、恐らく楽譜に何らしかの明記がされていると思う。しかしディビス盤の演奏でもsolo演奏はなし。参照しているスコアは恐らく旧全集で、ob.パートが欠落していたもの。スコアの版によっては、ob.パートがあるらしい。

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2013年2月3日 追記。ホグウッド盤を聴取。
今まで3者の演奏を聴いてきた中で、ob.のパートがはっきりしないと思っていた。この演奏では、小編成でもあり、細かく聴き取れる。パートの位置づけとしては、これまで聴いていた通りで、soli.の部分は少ない。
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2015年2月20日  ゴバーマン盤を聴取。No.10に引き続いて聴取。第1楽章のT17から2つのvn.の掛け合いが聴き所の一つである。各パートは分かれて旨く聴かれるが、元々ランクを低く評価していることもあり、特徴が少ない。
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2019年2月17日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 20番を聴取。録音によるでき、不出来に差はあるが、この曲に関しては良い。終楽章は概してテンポは遅めだが、この曲も同様。全ての繰り返しを採用してもこの演奏でも3:08。 曲全体で大きな特徴は余りない方に属すると思うが。再現部の終わりT93でcodaに向けて一旦、終始をする部分。ここでは少しずつテンポを落として間を取っている。他の指揮者も採用することが多いが、メルツェンドルファーでも丁寧に実施。元々finaleのテンポが遅いのも相まって、この後に続く第1主題の明るい華やかさと旨く対比されると思った。打楽器群が入らず、管楽器と弦楽器のバランスがポイントのひとつとなる。ob.のユニゾンも適宜で、Tuittiの部分ではob.が補強的ながらも明白に聴き取れる。それに対してTuittiでなく、弦が中心の部分にob.は入らないが強弱の対比は良好。
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2019年10月24日 17番  Kevin Mallon K マロン Toronto Chamber Ochestraを聴取。作曲年代は異なるが同じ調のNo.40と比較してみると面白い。No.40は、T ファイの 強弱のあるリズム感とテンポの対比がとても印象的。またメルテンドルファーの全集でも、No.40は、割合に印象に残っていた。(下記のブログ)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1101.html

T ファイはこの曲を録音したかどうかは不明だが、もしこの曲を録音したのなら、No.40と同様に、冒頭からvn.の左右対向配置を生かして、主題が登場va.以下の低弦は、vn.に負けないように、迫力あるリズム感で表現したかもしれない。
 これに対して マロンの場合は、小編成を生かした規模の柔らかい表現が多い。T5でいったん p になるが、冒頭からの対比も印象的。


 
Alleglo F
2 Andante ma non troppo
3 Alleglo molto F


No
Hob.
No.
通称名 作曲年 調性 楽章数 楽器編成 ランク 聴きどころ、ポイント
fl fg hr trp timp cemb
10 19 1757-59 D 3 (1) 2 D 第1楽章、第2楽章を中心としたvn.の掛け合い。
楽章の構成 調性 リ*1 第1楽章Allegloは、割合にはっきりした主題。経過部で第1vn.と第2vn.が掛け合うところは面白い。第2楽章は緩徐楽章の短調。低弦がvn.と掛け合うようなところは美しい。しかし全般的に聴き通すと、ここという特徴はなし。
 ドラティ盤は第1楽章のテンポは、フィッシャー盤と比較して速め。hr.の音もはっきりしていて各パートが珍しくフィッシャー盤よりもはっきりと聴こえる。D調の明るい雰囲気も相まって楽しく聴くことが出来る。第2楽章のAndanteも、第1楽章との対比がはっきりしている。ドラティ盤の方を勧めたい。
 第1楽章hr.の活躍ぶりは、打楽器的。この手法は初めての登場と思う。hr.は同じ音程の箇所が多いこと。16部音符の箇所が少ないながらもあり、これが効果的になっている。それに対してNo.17は、この様なhr.の動きは見られないので対照的。
(2019年12月27日追記 タグとして2010年11月30日とする)
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2010年12月5日 ディビス盤を聴取。曲自体の魅力は乏しい。No.17の先ほどの交響曲について、調性をそのままD調に移しただけの印象。
 ディビス盤は37枚のCDからなっている。作曲の順番に収録されているが、この様な分け方(編集方法)について、ジャケットを見てみた。4枚目までのHob−No.-32までが、Early symphonies の英語表記になっている。一方、Hob−No.-15から28までは、The first symphonies written for prince esterhazy の記載になる。このCDを含む一連の交響曲はエステルハージ侯爵の前に分類されている。 
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2011年7月23日 Hob-No-19 をスコアを見ながら再度、聴取。フィッシャー盤は概してテンポが速いが、このAllegloに関しては、遅め。ドラティ盤は第1楽章は速めのテンポが、第2楽章では一転してゆっくりめ。第3楽章の51小節から第2vn.が低い音域で強調して引いているのは意外な音色。
 一方、ディビス盤は全体的にテンポは遅めなのは共通した点。第2楽章は、短調で弦楽器のみの使用。vn.は、まだ弱音器の使用はなし。前回と比べても、残念ながらランクはDのまま。

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2013年2月9日 追記。ホグウッド盤を聴取。第1楽章、第2楽章を中心としたvn.の掛け合いをこの曲の特徴と記載をした。ホグウッド盤では、小編成でもあり、この部分が細かく聴き取れる。展示部だった旋律が、再現部では、微妙に異なる。
 ホグウッド盤では、第2楽章の展開部と再現部の繰り返しは省略。
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2018年4月28日 ハンス・ロスバウト指揮のバーデン=バーデン南西ドイツ放送交響楽団のNo.19を聴取。ハイドン音盤倉庫にも、一部ではあるがレビューされている。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-1666.html

CDは7枚組みであるが交響曲も含まれている。作曲順番から通して聴くため、今回はNo.19からスタート。1961年のモノラル録音。録音時期が古いこともあり、ダイナミックレンジもやや狭い。 モノラルのため音の広がりが分からない。
 自分なりの曲のランキングでも低い評価をしていることもあり、曲自体の印象が余りない曲のひとつ。井上著 ハイドン106の交響曲を聴く でも「凡作」と一蹴されているが私も同じ感想。
 第1楽章のvn.パートも掛け合いが聴き所であるが、モノ録音のため、掛け合いが分からない。No.17と異なり、hr.独自の動きがあるが、余り目立たない。(録音による影響も多いようだ) 第1楽章の提示部の繰り返しは行うが、展開部と再現部の繰り返しはなし。第2楽章も全て繰り返しがない。全体的に、これといった特徴は余り見出せない印象。
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2019年2月18日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 19番を聴取。まとめて作曲された初期の一連の曲のひとつ。それぞれ共通した特徴があると思う。大半は3楽章で、中間部は疾風怒濤時代と異なり弦楽器のみを使用。必要に応じて、vn.は弱音器やピチカートが使用される。このNo.20はひとつ前のNo.17と同様に弦楽器で弦楽器のみ。57小節しかなく繰り返しをすべてしても、メルツェンドルファーでも3:54 しかない。
 シンコペーション風のリズムが提示部の後半、T13から登場する。この旋律は展開部と再現部にも登場するので役割が高い。この部分では、第1vn.とva.以外に対旋律である下降する旋律も登場する。特に第2vn.の音色は、やや低い音域で第1vn.に消されて姉妹勝ち。対向配置であるが、メルツェンドルファーでは対等に聴こえる。ハイドンの魅力のひとつに、各パートの分離感と一体感の対比がある。この部分が典型のひとつ。録音も良好。

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2019年10月29日 19番  Kevin Mallon K マロン Toronto Chamber Ochestraを聴取。井上著では「凡作」の一つと一蹴されているが、確かに曲の魅力としては少ない方。メルテンドルファーの演奏で、弦楽器のみで演奏される第2楽章の提示分のT1の部分。(下記のブログに譜面あり)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1085.html

 メルテンドルファーの場合は、各パートが対等に演奏していると記載した。マロンの場合は通常通り。ただし類似箇所で提示部と再現部では、この旋律に微妙に強弱をつけている。

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2020年4月1日 19番 ジョヴァンニ・アントニーニ カンマ―オーケストラバーゼル を聴取。第5集の最後の曲。最も多い調性のDで最初期の頃の一つ。弦のキレの良さは今まで同様。ここでは奏者の数について記載をしたい。一つ前の  クラウスの作品は、hr.が4人でその前のハイドンの後期の交響曲と同様に弦の数は多かった。これに対して、こちらの方は初期の作品ということもあり奏者の数を減らしている。ライナーノートによると弦の奏者は以下の通り。5:4:3:2:1


ここで注目するのは、bass.が1名。さらにfg.が1名になっている。低弦が少なくなり、特にfg.が1名となっている。しかしながら、fg.を含めて低弦の音量は厚みが十分l。下記のFinaleの箇所でも(弦楽器のみ記載だが) fg.が明白に入っている。(展開部で低弦での独自の動きの箇所)


このシリーズでジャケット写真の解説については、以下のブログに掲載されている。これによると、イタリヤ ローマ ボルゲーゼ 美術館とのこと。
https://runchibi0808.blog.fc2.com/blog-entry-213.html#cm

Alleglo molto D
2 Andante d
3 Presto D