音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNO.5


No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
 5 41     D 1757-60    3  -  1  - 早くも低弦独自の旋律 (1)     
       1  D Presto
       2  d Andante
       3  D Tempo di menuetto
                
 Prestoの第1楽章は、2つの主題の対比が良く、提示部でも少しずつ展開がされているので充実感がある。特に第2主題の経過部にかけては、低弦独自の動きと細かい対旋律、音の強弱がすばらしい。同じDの調性でも、第1番と比較して楽器の使い方にも発展が見られると思う。スコアを見ながら、もう一度フィッシャー盤をチェックしてみる。第1楽章の低弦の独自の動きは、vc.とcb.の分離はさすがにない。しかしva.とvc.が所々であるが独自の動きがあるのをさらに確認。
 圧巻は、Andanteの第2楽章。弱音器を付けたvn.が常時旋律を引いている。しかし対位法は十分で低弦の独自の動きも加わって聴き応えがある。第2vn.以下の低弦は、全く同じ音符で終始をする。また第1vn.以上の高い音域までは行かない。このため逆に第1vn.には、低音から高音域までカンタービレ風の謡うように常に旋律が伴う。テンポは殆ど変わらないが、装飾音を含めた音符の細かい動きがある。第1vn.の演奏者は3-4人程度だったと思うが。それでも、この旋律を遅いテンポで謡うように引くには当時は、かなりの力量が必要であったと思う。それに対してドラティ盤は第3楽章のmenuettoの展開部では弦のsoloはなし。ドラティ盤はhr.の音がやや大きいが、持続音が効果的でアクセントがある演奏。
 なお中間部のhr.の箇所を詳細にチェックしてみると、なんと9小節も、連続して息継ぎなしに吹く指定になっていた。hr.自体は、他のパートと同じppの指定であった。この箇所では、va.とvc.は同じ補強的な4分音符で終始し、それに対して第1.2vn.は3連附で細かい動きになる。hr.は和音として単に支えているのだが、ppで一定の音量で補強するは、かなり大変だったのではないか? 演奏の中でsoloやsoliの指定がないものの演奏家にとっては、かなり技量を要すると思った。
ドラティ盤は、hr.の聴かせ所と解釈して目立つように演奏したのかもしれない。
 
第3楽章はMenuetの形式でなくテンポがMenuetの意味合い。楽章数は少ないが、各楽章の楽器の扱い方や音色の対比が従来よりも明らかに差がある。このためBランクとしたい。
 2010年11月29日 ディビス盤を聴取。第2楽章は、フィッシャー盤やドラティ盤よりもかなり、遅いテンポで演奏している。楽器編成では管楽器が休み、弦のみでの演奏。音量はほぼ一定であるが、d の調性に終始することが多いものの微妙な音程、音色の変化などは何度聴いても意外な面がある。両端の楽章が明るいD調と対照的。Andanteの楽章のみはディビスの方が、テンポがゆったりで細かい音まで良く分かる。全体としてはフィッシャーを推薦するが、Andanteのみはディビスを推薦したい。
 2013年1月27日 追記。ホグウッド盤を聴取。ホグウッド盤を継続して聴取を重ねてきたためかもしれないが、どの楽章にもcmb.が入っている様だ。 2013年11月3日 追加。その後、他の曲を含めて聴き直した結果、cmb.は入らず。元々、少人数の編成なので細かい弦のパートの動きは明白。従来の3者の演奏でも明白であったが。ホグウッド盤では特に、弦の音の跳躍が聴き所。かなり速いテンポで、2オクターブにも渡って2つのvn.が同じ旋律を引く箇所がある。このあたりは、当時の楽団の演奏技術の高さを示すものだと思う。
 第2楽章では、デイビス盤だったかもしれないが、cmb.は弱音ペダル?をここでも使用。弦楽器のみで繰り返しがない簡素な形式である。しかしながら、見事に凝縮した雰囲気をかもし出すような感じ。最初に聴き始めた、hob-No.-1とこの曲とは、同じ頃であるが、作曲された詳しい時期は特定でできていない。しかしわずか3曲前のhob-No.-1と比較してみて、(同じD調、楽器編成と楽章数も同じ)これほど最初期の時代でも、大きな違いがあると思う1曲。ホグウッド盤では、さらにこの点を意識させた。ランクがBであると改めて認識。
 2015年2月18日  ゴバーマン盤を聴取。Presto T23からの第2主題が短調で登場する部分。第1vn.が第2主題を弾く中、va.第2vn.対旋律を引き、低弦が第2主題を呼応する部分。ここでは各パートが良く聴こえる。 
 2017年5月27日 T ファイ No.4 を聴取。第1楽章でシンコペーションの動機について記載をした。ここでも余り目立たないが一部、共通した動機がT14からT16に渡って登場。この動機自体は、さほど目立たない。しかし短い展開部のT44からのd-dur?からの緊張したシンコペーションの旋律につながる。



No.1では第2主題の存在感が余りなく、単なる経過的主題であったと思う。一方、No.4は、第1主題とは明らかに対比をさせ、リズムと調性も異なる。ファイの演奏では、T23の部分では、冒頭からのテンポを急速に落として、あたかもAdagioのように独自の雰囲気を出す。この対比は今までにない解釈。
 またシンコペーションのリズムは、第2楽章の低弦にも登場する。この曲でも重要な部分ではないかと思う。下記のサイト the web kanzakiにも言及されている。

http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-4

 No.1から引き続いて聴き通すと楽器編成、楽章数、調が共通で同じ頃の時期に作曲されていたにも関わらず、極端な違いがある。初期の交響曲の順番は、No.1に引き続いて、このNo.4からNo.5.No.10へと続く。No.1,4,10はすべてD調。3番目のNo.5はA調で、それぞれ調性は類似関係に近いと思う。No.1に続いてNo.5を持って来た理由のひとつには、最初のNo.1と同じ調性で、曲の違いを対比させるためではないかと思った
 

2018年2月19日 パトリック・ガロワ(Patrick Gallois)指揮のシンフォニア・フィンランディア No.4を聴取。テンポは、No.2ほど、ゆっくりめではなく、 キーワードの レガートの特徴は少ない方だと思う。しかし冒頭の第1主題の出だしが独特。過去に聞いた演奏は冒頭から切れ目のない、流れるような旋律を特徴としている。ガロワの演奏では、一瞬ではあるが、4分音符の後に切れ目がある。他の類似箇所でも同じ解釈。
 第2楽章は弦楽器のみだが、cmb.のアルページョ風の伴奏が効果的。テンポが思ったより速めなのは意外。クレジットでは指揮者に追加してcmb.の奏者名が記載されている。
 Finaleで通常は、hr.はTuittiの箇所では目立たない。中間部当たりで、8小節の持続音がある箇所。ここではhr.が目立っているのも意外。
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 2019年2月13日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 4番を聴取。ハイドンの交響曲でもっとも多いD-dur でNo.1から2曲目。No.1と比較して同じ3楽章でありながらも、低弦を含めた独自の動きや様々な旋律が登場する。 第2楽章は聴き始めて初めてvn.で弱音器の使用がある。メルツェンドルファーでは、どちらかといえば第1vn.の音量は弱音器がありながらも大きめな音量。興味深いのは、低弦の音色。Va.以下の低弦は弱音器は使用しない。冒頭からスタッカートの指示がある。vc.あるいは、bassのパートは、ピチカートで引いているように独特な切れ味のある音色。T33からは低弦はスラーを伴い通常に引いている。