音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.42 hob-No.-26


No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
42 26 Lamentatione  1767 4 -  -  - - (1) B 3楽章で終わるのが惜しい
       1 Alleglo assai con spirito
       2 F Adagio
       3 Menuet e trio
 最新名曲解説全集では、補完の最初の曲として掲載。第1楽章の第2主題や第2楽章の主題が、ラメンタチオの旋律に基づいていることや、筆写譜にラメンタチオーネの記述があることからこの通称名が付いたらしい。dが主調として終始することや、楽器編成もob.hr.のみ。No. 39と同じ様に モーツァルトのkv190の雰囲気で第1主題や構成等は、さらに、こちらの方が似ている。
 Adagioは2部形式に近い。朗々ob.が歌う中で、vn.の分散的な旋律が伴うのはバロック的な、やや前のスタイル。どの楽章をとっても遜色はないが、終楽章がないのは惜しい。
 Menuetにも独自のcodaがなく、まだこの後に続く雰囲気。恐らく、終楽章はあったのだが、何らかの理由で削除されたか?フィッシャー盤は、cmb.は入っていない様だ。 全曲がそろっていたらAランクだが。
 ドラティ盤は全般的にテンポがゆっくり。特に第1楽章が目立つ。それに対して、フィッシャー盤は、速めのテンポだが短調の暗い雰囲気はフィッシャーの方が良く出ていると思う。
 2011年1月9日 ディビス盤を聴取。第1楽章のテンポはドラティ盤ほどではないが、やはり遅め。第2楽章ではcmb.が独自の動きがある。しかし、1楽章の「たたみかける」テンポのフィッシャー盤には適わない。
 2011年5月27日スコアを見ながら3者の演奏を聴取。改めて、第1楽章のテンポを確認する。Alleglo assai con spirito の指示であるが、フィッシャー盤は、やはりPrestoの速いテンポ。しかし、このテンポで通していて、d-molの調整とも相まって、きびきびしたテンポで進む。曲の由来となった、ラメンタチオーネの第2主題は、手持ちのスコアでは、choraleの指示になっていた。(ob+第2vn.) 
 なお、名曲解説全集ではFinaleは元々なかったと記載。それに対して、No.49と連続して演奏することを意図しているとも考えられる。 下記のハイドン研究室のホームページによるhttp://www.masque-music.com/haydn/haydn1b.htm
私には、やはりFinaleが欠如したと考えたい。
 一方ドラティ盤は、テンポが全体的にゆっくりと記載をした。特に第1楽章は、顕著であるが、Allegroどころか、Andanteに近いテンポ。フィッシャー盤とのテンポの差がこれほど激しいのは、今まで聴き通して来た中で一番の差である。フィッシャー盤では、Menuetの冒頭のvn.の奏法が鋭い緊張感を伴っていた。それに対して、ドラティでは通常通り。
 ディビス盤では、収録に関して、この曲の前が、hob−No.-49になっている。この順番に記載するためか、No.26とNo.49はセットになっていることを意識。ライブ録音のためか、ドラティ盤以上に第2楽章を中心に細かい所が聴こえる。やはりテンポは、どの楽章をとっても中間。3人の指揮者の解釈、特にテンポに関しては、顕著に異なる。この典型的な交響曲の一つとして取り上げたい。
 2013年5月5日 追記。ホグウッド盤を聴取。
フィッシャー盤の、きびきびとしたテンポは、短調の交響曲では、顕著で聴きごたえが多いが、この曲にも当てはまる。これに対して、ホグウッド盤のテンポは平均的。
 この当時としては、珍しく第1楽章の後半の繰り返しがない。第1楽章は、提示部44小節、展開部36小節、再現部52小節。展開部が再現部とほぼ同じ長さ。さらに再現部は、提示部以上に長くcodaの類が拡大されて終わる。また提示部ではhr.がそれほど目だっていないが、展開部から再現部になるとhr.が結構活躍する。ホグウッド盤は、できるだけ忠実に繰り返しを守っているので、この点が大きく目立つ。
 第2楽章の一部にも、ラメンタチオの旋律が管楽器で聴かれるが、第1vn.ではないパートのため聞き取りやすい。ここでもhr.は、前半は全く登場しないが後半は活躍。楽器の使い方にも意外な発見がある。
 2015年4月18日 追記。ゴバーマン盤を聴取。第1楽章は、思ったより遅めのテンポ。第2楽章のlコラールの記載がある主題は、ob.と第2vn.が受け持つ。ここでのユニゾンの効果がが今ひとつ。たたみかける悲壮感の漂う雰囲気はフィッシャー盤に軍配が上がる。
 2016年6月2日 ブリュッヘンOrchestra of The Age of Enlightenment を聴取。古楽器であるが、ホグウッドよりも編成が大きいと思う。第1楽章のテンポは、ホグウッドよりもゆっくり目。第2楽章のラメンタチオの旋律は、ob.と第2vn.が受け持つ。ブリュッヘンは、第2vn.はかなり控えていてob.を目立たせている。他の演奏家にも共通すると思うが、この楽章のT57までは、hr.は登場しない。T58から急に雰囲気が変わったように全体に厚みがある様にhr.が登場するのは、ブリュッヘンでも効果的。
 第3楽章のMenuetの後半の繰り返しについて。Finale終楽章の思わせる雰囲気。通常のMenuetは、Trioを挟んで前半と後半は、ほぼ同じ演奏スタイル。しかしブリュッヘンは後半のMenuetの登場から長い休止を挟んで、かなりゆっくり目のテンポで登場。Menuetの最後はppで終了する。最後のFinaleに向けて、ゆっくりしたテンポで前半の雰囲気と大きく頃なる解釈は初めて聞く。しかし全体的にブリュッヘンならではの個性や特徴は余りないと思った。
 

2016年12月29日 T ピノック No.26を聴取。No.38から聞き通してみると共通点があることが分かる。冒頭のシンコペーションのリズムは、No.26は冒頭主題としても形成される。No.38 第1楽章の冒頭主題も低弦は、このシンコペーションのリズムがある。しかしNo.38は、この旋律は余り重視はされていないようだ。一方No.26は、この冒頭の主題が鍵となる。第2主題の旋律は、第2vn.とob.から登場するが、提示部では余り目立たない。しかし展示部の44小節の内、小結尾部をあわせると27小節にも渡る。再現部では51小節の内、終結までに33小節を占める重要な動機。ピノックの第2vn.の配置は右側で鮮明に聞こえる。特にT35の第2vn.の旋律は、他のパート以上の鮮明に聞かせてくれる。
 
2017年3月2日T.ファイ No.26を聴取。No.27から続いて聴取すると、時代が少し経過するがNo.26と楽器編成は同じ。ファイの管楽器で特にhr.は必要に応じてリズムや和音を大きく目立たせる。第1楽章の冒頭からのhr.はもちろん目立つが通常よりもやや、長い間吹いているように感じる。その後、T5でhr.が再度、音程を変えて演奏する。しかし僅か1小節で終始する。冒頭の長い和音とT5の短い和音の長さが対照的。
T17からのコラールの旋律で、ピノックなどは第2vn.とob.の音を目立たせる。これに対してファイの演奏では目立たせない。No.26のインパクトのある演奏に感化されたのとは、対照的にやや特徴が少ないと感じる。
 20171126日  R レッパード The Scottish Chamber Orchesta No.26を聴取。録音?または発売日が1966年となっている。No.101104と比較して、音源がやや近く聴こえる。cmb.は入らず。第3楽章、弦楽器のバリオラージュ奏法も余り目立たず。各楽章の反復は採用しないが、Finaleのみは繰り返しあり。
 2019年1月3日 26番 ニコラス・クレーマー(Nicholas Kraemer)指揮のBBCフィルハーモニック(BBC Philharmonic)を聴取。シンコペーションの冒頭主題から聴き所である曲のひとつ。今まで聴いて来てきた指揮者は、Tuittiの冒頭から力強いリズムで圧倒させる。クレーマーも同様であるが、いきなり強奏で登場することなく、クレッショエンドで強弱をつけている。管楽器の持続音に合わせたかの様だ。冒頭の主題が一般には単なる塊のような雰囲気だが、この起伏に富んだ演奏はさらに、大きな塊がある雰囲気。強弱のつけ方で、曲の聴き所が大きく変わることは意外な発見のひとつ。

 


第3楽章のMenuetの中でTrioの中間に近い部分。ここでも一瞬、休止を挟むことで旋律が生き生きとした雰囲気。 ファイの演奏でも同様な解釈があるが、こちらの方はライブ録音でありながら、即興的な臨場感が漂っている雰囲気。
 楽器の点でも注目に値する。通常はcmb.が終始、登場することが多い。ひとつ前のNo.22もcmb.が入っていた。こちらの方は、第1、2楽章にオルガン(org.)が入っている。第1、2楽章は逆にcmb.が入っていない。org.は右側でcmb.と同じ位置の雰囲気。最初に再生したときは普段、耳慣れない音なのでCDの再生ミスかとも思っていた。しかし注意深く聴いてみると、org.であることが分かる。
 名曲解説全集でも確か、この演奏は教会で演奏することを想定していたと記載がしてあった。となるとorg.が入っても不思議ではない。マンテェスターにある New Broading House Studio 7の録音会場に、org.が常設してあるとは思わない。恐らく小型のタイプで演奏していたと思う。org.のパートは主に細かい旋律の動きよりも持続音が多い。しかし楽器の使い方は自然な雰囲気。曲調によっては音色も変えている。
もしこの曲のFinaleで、第1楽章と同じ短調の暗いコラール風の旋律が書かれていたら、第3楽章で休んだorg.が再度Finaleで登場したと思う。ライブ録音なのでorg.奏者が休み、その後cmb.奏者が受け持つ光景などに興味も沸く。
 2019年3月21日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 26番を聴取。冒頭のシンコペーションのリズムは、手持ちのランドン版のスコアでは、vn.パートは、分かれて記載がされている。D音なので、開放弦と非開放弦で奏するのとは異なるかもしれないが。(もしそのような指定なら番号が記載されているかも)冒頭から、ここでもob.が強調され、弦のシンコペーションの旋律が押されている。

T17からコラールの第2主題。ここでは第2vn.とob.が ffで記載がある。今までの指揮者は、この主題が余り目立たないで第1vn.の8分音符が目立っている。しかしメルツェンドルファーでは、第2vn.以上にob.が主役となっている。再現部でも同様。第2,3楽章もob.が前面に出ている。録音は普通。最近 クレーマー BBC交響楽団の好演で org.が入るなど、興味のある点を指摘した。しかしメルツェンドルファーの場合は印象が少ない。