音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.38 hob-No.-39


No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
38 49  1765 4 -  -  - - (1) C 4本のhr,は特に活躍せず。
       1 Alleglo assai
       2 Es Andante
       3 Menuet
4 Alleglo di molto
gの調性にも共通するが モーツァルトのkv190 小ト短調の交響曲の雰囲気に類似。(特に第1楽章) 編成は4本のhr.であるが、soloとしての活躍は殆ど見られないのは 物足りない。
 井上著で悲劇的で「たたみかける」第1楽章の要因として、第1楽章の譜面が例示されている。それによると14小節の第1主題の中で休止符が入っている。これによって、たたみかける印象が効果的になっているとのこと。実際、休止効果は十分にある。
 管楽器はhr.以外は、fl.だがob.のやや冷たい印象がMenuetの主部では弦のユニゾンで生かされている。trioの音色と対照的。フィッシャー盤では、Menuetではob.とともにvn.のsoloとして僅かに聴かれる。数年先で第2期の短調シリーズと比べると迫力、構成などはまだ及ばない雰囲気。
 ドラティ盤は全般的にテンポがゆっくり。cmb.の音が大きすぎて耳障り。音のつくりがやや平面的に思った。

「追記」 10月3日、「名曲の楽しみ 吉田秀和」の番組にて、トレバー・ピノック指揮イングリッシュコンサートの演奏を聴取。フィッシャー盤と比較してテンポは比較的ゆっくり。cmb.を使用しているがドラティ盤と比較して控えめ。第2vnは右側に位置。(対向配置)弦楽器の編成がドラティほどではないが比較的多い様だ。第1楽章で、たたみかける情熱的な演奏とは大きく異なるし物足りない。第3楽章のMenuet提示部でもob.のユニゾンが余り目立たない。Finaleも第1楽章と同様な、たたみかける厳しい雰囲気は伝わっていない。あらためてフィッシャー盤の良さが引き立った感想。
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 2010年12月29日 ディビス盤を聴取。第1楽章のたたみかける印象はあるが、フィッシャー盤には及ばない。井上著では、4本のhr.が効果的になっている理由として、G管とB管が2本づつ効果的に広がって演奏していると記載がしてあった。hr. の広がりはフィッシャー盤と比較して余り効果的でない。やはりフィッシャー盤を取りたい。
 2011年4月1日 スコアを見ながら3者の演奏を聴取。g−molの調性とfl.を含まない編成が効果的に現れている例。4小節の主題の後に休止があると前記した。休止の間は1小節近くにも渡る。休止は最初は全ての楽器が休止をとる。しかしその後は、旋律を受け持つ第1、2vn.は休止があるものの、低弦は休止しない。その分、逆に曲の流れが途切れることもなく緊張が増してくるのが効果的。第1楽章は弦が中心ではあるが、ob.がユニゾンでない箇所も多い。それに対して4本のhr.(調性が異なる2本づつ)は和音で支える箇所が多い。しかし4本を同時に演奏する箇所は殆どない。第2楽章は管楽器は休み。しかし第3楽章になると、Menuetの主部とtrioではob.の独壇場になる。また4本のhr.の内、B管2本のhr.のsoliもある。
 Finaleの構成は提示部32小節、展開部38小節、再現部25小節。長い提示部では転調が激しい。一方再現部は極度に圧縮されている。繰り返しがあっても、なくても駆け抜けるように厳しく終わる。
 Menuetの主部では、ob.のsoliの指定はスコアではないものの、フィッシャー盤では第1、2vn.は、soloの様に音量を落としてob.を引き立てている。ob.の音色は第1楽章とともに冷たい印象が際立っている。
 フィッシャー盤が一番の、お勧めポイントとしているのはテンポである。第1楽章は、Alleglo asssai の指定であるが、かなり速い。またFinaleもAllegloの指定であるがPrestoに近い。このテンポの速さが、きびきびと引き締まった効果を上げている。もしHob-No-の順番通りに聴き通していたら、一つ前の38番は、C調で第3-4楽章は、ob.が大活躍。同じ楽器のob.が、この曲ではそれほど目立たないが、短調の音色と対象的に聴こえると思う。ランクは当初はCとしたがフィッシャー盤に限っては、ランクはBに上げても良いかもしれない。
 ドラティ盤は第1楽章のテンポは指定通り。後半の繰り返しはなし。FinaleのテンポもAllegloを守る。
 ディビス盤は、テンポに関してはドラティ盤とほぼ同じ。Menuetの主部では、ob.と弦の音量が如何にも「ユニゾン」と言う感じ。バランスが取れている。
 2013年4月13日 追記。ホグウッド盤を聴取。第1楽章のフィッシャー盤のテンポを一番のすばらしさをが根底にあるためか、ついつい最初の出だしのテンポが気になる。このホグウッド盤では標準的なテンポで、フィッシャー盤ほどほど速くない。
 Finaleの冒頭は通常の大きさ。それに対してフィッシャー盤は、たたみかける速いテンポと「f」の勢い。これが対比されるためか、やはりフィッシャー盤を推薦したい。
 4本のhr.が特に活躍をせずとポイントには記載をした。調性が異なるのが2本づつ。全曲を通して転調が多く、これに応じてhr.は使い分けている箇所が多いこと。(第3楽章がその典型的な例で、主部は短調hr trioは、長調のhr.と明確に使い分けている)また第3楽章のtrio以外は、hr.は和音を補強する役割が多いこと。これらの点より4本のhr.奏者の活躍が少ないのは、やむ得ない。元々の調性が短調によるためであろう。
 2016年6月25日 ブリュッヘンOrchestra of The Age of Enlightenment  No39を聴取。第1楽章のテンポは比較的速め。pとfの微妙なニュアンスを強調するためか、1小節内にもpとfの強弱をつけている。第2楽章は管楽器は一切登場なし。第3楽章でob.がユニゾンで登場する冒頭は、どの指揮者も、ob.を目立たせているがブリュッヘンも同様。Finaleでも展開部 f と f に挟まれた部分の p の表現など(T57当たり)など独自の解釈。
 2016年12月24日 T ピノック No.39を聴取  全集のCDは2枚目で、ホーボーケン番号の若い順番から収録されている。作曲順番から聞き始めているのでNo.39が最初となる。(以下、備忘録的になるが今回の収録されている一連の曲で作曲順番に並べると下記の通りとなる。
39、38,26,35、41,42、43,58、59、65、44,46、47,45、48,51、50,49
Hob No.64が収録されていないが、この曲はもう少し後でされた可能性もあるので、1765−頃〜1773年当たりの一連の曲は、大体網羅されている。

 異なる調が2本ずつの4本のhr.が特徴の一つ。この録音では左右に分けられて収録されているようだ。No.6-8と違って転調が多く各パートのsoloが少ない。その分ユニゾンやTuituiの迫力などがポイントの一つになっている。
T7の部分は第1vn.の高い音域の旋律が得てして目立ちがち。残りの第2vn.のパートは冒頭の8分音符の刻むリズムを引き継ぎ、大切なポイントと思う。他の演奏と違ってピノックの場合は、第2vn.が右側に位置していて第1vn.のパートに負けないように演奏。Tuittiやユニゾンの効果がいたるところで生かされる。No.6-8と違って弦楽器を中心とした各パートが鋭く対立し効果的。
 この効果はfinaleも同様。冒頭の第1主題で、第1vn.の下降旋律が目だってしまう。ピノックの演奏は第2vn.とva.のトレモロの旋律も鋭く対立。第1楽章と同様に、楽章全体を通して8分音符を中心とした一定のリズムを終始、通すことが聴き所のひとつ。ピノック盤では、この特徴を良く捉えている。以前FM放送で、この演奏を聴いてきたが一度で終わっており、ラジカセによる聴取だった。あらためてCDでじっくりと聴いて見ると、この演奏は良いと思った
 2019年3月17日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 39番を聴取。作曲順番に聴いていくとNo.31に引き続く。4人hr.奏者が入るのは、ある意味、関連していることが良く分かる。No.31と異なり各パートのsoloの箇所は殆どない分、Tuittiの箇所が多い。管楽器とのバランスがその分、気になるところである。メルツェンドルファーの一連の録音では、この管楽器とのバランスが悪い印象が多かった。 
  しかしこの曲に関しては、管楽器とのバランスがとても良好。弦楽器の各パートのTuittiの箇所では、2つのvn.パートばかりが目立たず、va.以下の低弦もvn.と旨くバランスが取れている。第3楽章 Menuetでもob.は控えめ。Trioでも主旋律を受け持つhr.を引き立て良好。
 しかし使用しているオリジナル音源が各楽章で異なるのか、Finaleでは極端に録音が悪くなる。録音レベルが少し下がりダイナミックレンジも狭くなる。各楽章の録音の差が著しい。Finaleで、短調の切れ味のある締めくくりを
 2019年7月14日 39番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ を聴取。第1集の収録順番で1番目に位置。第1vn.から聞き始めると、作曲年代が下がり作曲スタイルも少し変わる。管楽器のユニゾンの箇所が少し増える。この曲は4本のhr.が入るが、録音では左右に2本ずつ、少し離れているようだ。刻む様なリズムとアクセントは、No.1と同様。 元々が短調が基本にあり、前打音を含む、たたみかけるような勢いと休止が効果的な曲。CDのタイトルテーマが  LA Passione に関して。英語のライナーノートではPASSIONN になっているので、「情熱」などの意味合いであろう。
少し前の記述にもどるが、 アントニーニ自身、10歳のときにゴバーマンのLPを聞いて、ハイドンが気に入った記述がある。まだ、ドラティ盤が発売される前のことになるが興味深い。
 情熱のテーマということもあり、冒頭から古楽器を生かしたリズム感と音色は、特徴的。No.1にも記載したが、曲の間が全て、同じ様なリズムや雰囲気ではない。時には、スラーなどを挟む、柔らかい動機や音色が入ることで、アントニーニ対比が効果的。たとえば、第4楽章の展開部T48の部分。提示部から大半が落差のある音程と刻む様な激しいトレモロ旋律が閉めている。T48では、第2vn.が16分音符のトレモロで刻む様な緊張感を維持。その直後T49では一瞬ではあるが、第1vn.のみが8部音符でスラーで柔らかく下降していく部分。P とf の対比はもちろんだが、古楽器を生かして音色のコントラストが印象的。T48はhr.が2本。T50ではhr.がさらに2本加わり4本になる。第1vn.では余りhr.が目立たなかったが。この部分ではT50で2本がさらに追加となった4本のhr.も効果的