音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.33 hob-No.-22


No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
 33 22   哲学者  1 Es Adagio
       2 Es Presto
       3 Es Menuet
4 Es Presto
 名曲解説全集では補完に掲載。(→その後、もう一度、調べてみたら、掲載はなし。)ob.がなく、代わりに2本のイングリッシュホルン(eh.)を使用。ob、がないのは、唯一の交響曲か? (→その後、もう一度、調べてみたら掲載はなし。また全楽章を通じてob.がないのは唯一の曲。ob.の代わりにeh.になったと考えれば、不自然ではない。)
 イングリッシュホルン(eh,)はフィッシャー盤は、ob.よりもやや左側に位置する。ob.が抜けている分fl.もなく、背後の管の配置でhr.、が2本でも右側から、いつもより聴こえてくる。全般的にするどい音色が控えられ、柔らかい雰囲気が漂う。弱音器を付けたvn.とそれ以外の楽器の音色の対比が面白い。全楽章が全てEsでPrestoが2曲あり、通して聴いたらやや冗長な感じ。
 2010年12月26日 ディビス盤を聴取。各楽章が同じEsであること。やや冗長な感じに終始する印象は変わらず。
2011年3月24日 スコアを見ながら3者の演奏を聴取。Adagioの2つのvn.は終始、弱音器の指定がある。低弦は殆ど4分音符の伴奏に徹する。緩徐楽章が最初にあり、その後の速い楽章があるパターンは、最近だとHob-No-34.(通しNo.29)。  こちらは調性が最初から異なり、第2楽章では長調に転じて調性の対比も著しい。このため注目を記した。しかしNo.22は、テンポこそ違うが調性が同じのは、やはりランクが落ちてしまう。第2楽章、第4楽章もソナタ形式であるが、第2主題がそれほどはっきりしないのも、マイナスの要素のひとつ。
 Menuetのtrioを含めてフィッシャー盤では、弦のsoloはなし。ob.とeh.を引き立てるために敢えて、弦のsoloは採用しなかったのかもしれない。
 珍しくドラティ盤では、管楽器がはっきりと聴こえる。(それに対して、フィッシャー盤は管楽器が目立たない) またver.2としてCD最後の枚数で、第2楽章PrestoとAndante grazioso、Finale Prestoの収録がある。最初のPrestoは、eh.のパートがfl.2本に変わっただけだと思う。Andanteは全体で53小節。ソナタ形式の提示部だけで終わったのみで、規模が小さく消化不良のような感じ。調性ESでないのは救い。(As) 最初にAdagioを演奏したら、このAndanteは、どの楽章で持ってきたのか判断が難しい。偽作の可能性もあると思う。(実際には自筆楽譜が存在する)楽器編成はPrestoと同じだがhr.が休み。FinaleのPrestoも楽器編成を変えただけと思う。
  ディビス盤も同様。冗長に感じる要因として、eh.の音色がob.と比較して柔らかいためかもしれない。(温かみのある雰囲気が続いてしまう)  
 2013年3月26日 追記。ホグウッド盤を聴取。聴取しているハイドンの交響曲で唯一管楽器としてeh .が入る。この音色は今までの3者の演奏と比較して、音色が目立たず。特にMenuetのtrioは弦楽器ば伴奏で、管楽器が旋律を受け持つ。この部分でも、こじんまりと聴こえる。
  4つの楽章の中ではFinaleが一番、面白い。テンポがよく調性も細かく、変わっていて快活に進む。このFinaleの主題は、この後にもある通しNo.41 hob-No.38の主題にも類似。こちらの方は、あたかもob.協奏曲のように華やかに進む。それに対して、このNo.22に関しては管楽器の活躍は余りになく、しかもeh.の登場。 テンポは同じPrestoでも、柔らかい雰囲気が特徴。
 2015年3月20日 追記。ゴバーマン盤を聴取。
かなり遅いテンポの第一楽章。一方Presto のテンポや、ゆっりめなので、楽章の切り替えによるテンポの差が余りない。
 

2017年6月2日 ラトル  City of Birmingham Symphony Orchestra  No.26 を聴取。最近ファイの初期から中期の交響曲を通して聞いてきたため、インパクトのある印象を受けた直後だけに、どの程度の差があるのか気になるところ。モダン楽器で編成は大きい方。冒頭のAdagioのテンポは中庸。展開部と再現部の後半の繰り返しは採用せず。
 繰り返しの後半では、多少の装飾はあるがテンポや楽器の振り替へなどは余りない。提示部のほとんど全ての箇所で4分音符の刻むような旋律が登場する。提示部の最初のT46の部分。ここではこの4分音符が全く登場せず、しかも「p」の指定。ファイなら少しテンポを落として微妙なニュアンスを強調するかもしれない。一方、ラトルの演奏は通常通りの解釈。最近のファイのインパクトのある印象に感化された感動がまだ残っていて、ラトルの演奏では特に印象が少ない。
 
2018年10月6日 22番 ニコラス ウオード The Northern Chamber Orchestra を聴取。NAXOS シリーズのハイドン9番目。No.22以外にNo.29とNo.60がカップリングされている。この指揮者と演奏団体は初めての聴取。録音は1992年。ライナーノートには使用楽器については、余り書いていないようだがモダン楽器と推定。メンバーはノートでは24人と記載されている。最近のホームページを見ると弦の人数は下記の通り。

第1+第2 vn.:6、va:2、 vc.:2.Bass1

奏者の数はかなり少ない。Ob.の代わりのイングリッシュホルンは中央やや右側に位置。2名のhr.は左側。vn.は対向配置でない。
 第1楽章の冒頭で弦楽器は弱音器のpの伴奏。それに対して、主旋律のhr.は、f で登場するが2人のパートの動きが比較的良く分かる。テンポは概して中庸。展開部と再現部の繰り返しで、後半での装飾は特になし。cmb.は緩叙楽章を除いて大体入っている。
 
2019年1月2日 22番 ニコラス・クレーマー(Nicholas Kraemer)指揮のBBCフィルハーモニック(BBC Philharmonic)を聴取。下記のブログにもレビューが記載されている。事前の情報を入手しなければライブ録音であることが全く分からない。楽章間のノイズも含めて最後の拍手以外、聴こえて来ない。vn.は通常配置。hr.は左側。一方、唯一の交響曲で入る eh.は中央のやや左側。今回はオークションで入手。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-1537.html

モダン楽器で弦の奏者は中規模程度と推定。冒頭から左側2名のhr.が目だって登場。8分音符の弦の伴奏と対照的。弦はスタッカートの表記であるのも効果的。(hr.の2分音符のhr.の旋律と対比) 4つの楽章は全て同じ調性。通して聞くと少し苦しい点がありかもしれない。第1楽章の最後の1小節で唯一と思う付点のリズムがある。(このリズムは冒頭から最後の1小節前まで登場しない) 冒頭から主に8分音符の刻む旋律が終始しているので、最後を締めくくるのは、いささか意外な雰囲気になる。この旋律が次につながる第2楽章のブリッジになっていると思う。第2楽章は第1楽章と違ってシンコペーションを含む色々なリズムと旋律がある。
  元々、この曲の評価を余り高くしていなかった原因のひとつに調性の変化が少ないこと。冒頭のリズムや旋律が殆ど同じで変化が少ないことを上げていた。しかしこの演奏を聴いてみると第2楽章に向けての序奏的に最初はあると解釈すれば、合点がいくかもしれない。クレーマーの演奏は、レビューにも記載がされているように内声部のハーモニーの美しさの的を得ていると思う。

 Finaleでは冒頭のvn.からの旋律を経て、T2からhr.が登場。ちなみの冒頭のこの第1主題は、No.38のFinaleにも似ていると思う。Hr.は柔らかく演奏。目立たないがeh.の和音も華を添えていると思う。しばらくの経過を経てT12での2人のhr.は、ここでsoliとなっているが、かなり目立って登場。T2との弱音と旨く対比されている。今までこの曲の評価を余りあげることがなかった。しかしこの演奏で評価を上げることになると思う。
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 2019年1月28日 22番  N マリナー アカデミー室内管弦楽団 を聴取。イングリッシュ ホルン(eh)が入る、ハイドンの唯一の交響曲。今まで余り良い評価を上げていなかったが、最近クレーマーの演奏を聴いて見直した経緯がある。この演奏はライブだったが良い録音。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1057.html


一方 マリナーの方は1975年のスタジオ録音。ライナーノートによると再発売のCDではあるが、No.73を除いてデジタル処理がされている記録がある。
 冒頭の第1楽章は、今まで余り気づかなかったが、2つのvn.は弱音器を使用するようになっている。弱音器を含むvn.と管楽器群がどのように対比するかも興味深いところ。今まで聴いて来た中ではどちらかといえば、めったにないeh.が登場することもあり、弦楽器群が余り目立たない方だと思った。このマリナーの演奏は弦楽器が結構目立っているしかし要所では、管楽器にもバトンタッチ。
  Finaleクレーマーの演奏では、T12で2本のhr.が目立つことを記載した。マリナーの場合は通常通り。第1楽章と同様に弦楽器のパートが結構入っていて、小編成ではあるが弦の各パートの分離感が高いのが印象的。
 2019年3月12日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 22番を聴取。ドラティー、 フィッシャーなど最初の頃に聴取した演奏では、曲自体の特徴が余り分からず、評価を上げていなかった。N クラマー  BBC交響楽団の演奏を聴いて改めて面白い発見があった経緯もある。ひとつ前 No.23と比較してob.の代わりにeh.が入る唯一の曲。メルツェンドルファーの場合は、中央よりに位置するが、分かれてまでの定位感のある配置までは分からない。N マリナーの演奏を最近聴いた中で、冒頭では2つのvn.は弱音器を使用していることを記載した。 マリナーの場合は、弦楽器が主体で動くが、要所では感が曲が登場し弦と管とのバランスの良さを書いた。
 一方、メルツェンドルファーの方は、冒頭から弦の音量がかなり大きい箇所がある。管楽器とのバランスが余りよくなく、vn.の弱音器の特徴が余り分からない。
 録音はダイナミックレンジは狭い。Fianleではさらにレンジが狭くなり歪が目立つ箇所が多い。LPからの復刻だった場合、Finaleに近くなると内周歪が大きくなる可能性がある。過去に他の曲でもFinaleで特に歪が目立ったケースがあった。この曲にも当てはまる。録音の点でも評価を下げざるを得ず。なお曲の途中で別バージョンのAndante graziosoが収録されている。間に緩叙楽章が挟まるので5楽章になる。途中に入っていても違和感はない。