音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo. 87   hob-No.85   
2023年8月27日 更新 


No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
87 85 王妃 1785 4 -  -  - - (1) C ロンドソナタ形式の流れを楽しむ。
       1 Adagio-Vivace
       2 Romance
       3 Menuet e trio:Allegretto
4 Finale:Presto
通称名があり、楽譜の初版の出版のときからも、この通称名が記載をされていた一説もある。生前から、通称名が付いているのは、数は余り多くないが、作曲者も、通称名を付けることは、楽譜の売れ行きにも貢献することは、承知をしていた経緯もある。通称名の由来は、第2楽章の2つの主題による変奏曲が、いかにもロマンス風なこと。実際、当時、フランスで流行の「やさしい若いリゼット」という主題からの引用であること。流行の当時のフランス王のマリー・ アントワネットがお気に入りとか。
 Adagioの序奏を経て、Vivaceの第1主題に入る。第2主題は、きわめて、属調 の調性で登場するものの、殆ど、第1主題と同じ、あるいは、僅かに派生したものに過ぎない。単一主題のソナタ形式に近い。展開部は、かなり長く、単一主題の提示部が、逆に、様々な調で登場、展開される。途中で擬似再現を挟みながらの手法は、一般的。
 第2楽章はRomannceと明記されており、ロマンス風による、2つの主題による変奏曲。親しみやすさから、当時から人気のあった由来が理解できる。Menuetのtrioも、楽器編成が、vv.とob.の2本、fg.と各パートがうまくいかされて いる。元々のtrioの由来になる楽器の受け持ちがよく分かる。
 Finaleは、ロンドソナタ形式であるが、第2主題は、明らかに第1主題から派生した旋律で、第1楽章とともに、単一主題の構成でとらえると良い。ロンド形式で提示部の繰り返しがないこと。しかし逆に、単一主題の意識で持って聴くと、休止が少なく、流れる様に楽しめる。この流れる様に楽しめる雰囲気を、この曲の一番に推したい。
 ドラティ盤は、フィッシャー盤と大体、似通った演奏であるが、第1楽章のVivaceのテンポがフィッシャー盤と比較してやや速め。 逆に、Romanceのテンポはやや、ゆっくりめ。
 カラヤン盤は、楽器編成が大きい分、第1楽章などは、古典的なスケールの大きいのは満喫できる。しかし、Romanceなど、じっくりと落ち着いて聴くには、やや不向き。フィッシャー盤を取りたい。

(2010年1月4日追記 タグとして2010年2月17日とする)
(その1)2012年(平成24年)12月15日 バーンスタイン聴取。ここ最近、最近、入手したものを引き続き聴取。今まで聴いてきた中と同様。すなわちテンポは全体的に、ややゆっくり(特に、第1、第3楽章) 編成は、今となっては、前になるが、大編成のオケの典型。しかしながら、solo楽器の定位感は保たれている。音楽のベースには、独特の高貴な色艶を感じさせる。
(その2)
 第2楽章で、管楽器を中心として、細かい音色がある点は、これより前のコメントにも記載した。バーンスタイン盤でも同様。テンポと強弱の対比は、その1にも記載したが、このMenuetにも同様。特に、tirioの後半の繰り返しは、テンポと音色の変化に注意を払っている。
2014年1月25日 デイビス盤を聴取。概して、遅めのテンポが特徴のデイビス盤。第1楽章の序奏のAdagioは、かなり速めに対して、主部 Vivaceになると、かなりゆっくりめ。カラヤン盤などの飛ばすようなテンポ聴きなれていると、とても対照的。大編成の割りには、管楽器の音を際立たせるが、再現部のhr.などは、効果的。それに対して、第2楽章は、速めのテンポ。(これも過去の演奏に類似している手法)
 2014年(平成26年)7月9日  B.ヴァイル盤を聴取。序奏を含め全体的にかなり速めのテンポの第1楽章。デイビス盤を最初に聴いたら、このテンポにの違いにびっくりするに違いない。先日、聴取したNo..83と同じ様な演奏解釈。第1楽章は、弦楽器が主体で、逆に管楽器が目立たない。それに対して、第2楽章は、弦を適度に押さえて、その分、後半で管楽器が随所で活躍する。第3楽章 MenuetのTiroの後半で、fg.、ob..fl.のsolo楽器が弦楽器ののピチカートで演奏する。
 普段、管楽器のsoloの扱いが少ない分、この箇所で存分に目立ってくる。ヴァイル盤は古楽器のためか、弦楽器の編成数が多いにもにも関わらず、旨い味わいを出していると思った。ランクはCでよいと思うが、元々のランクAとしていた、No.83と比較すると、やはり、インパクトは減ってしまう。
 2015年(平成27年)5月3日  R.ノリントン  チューリッヒ室内管弦楽団 を聴取。No.87から引き続いて聴取。音の溶け合いがかなり多く、2つのvn.パートの配置が対向配置で分かれているのかどうか判別が難しい。(その後、次のNo.83で聴いたら、対向配置であることが判明)ゴバーマンの様に、明白な対向配置ではないようにも聴こえる。
 最初のNo.87と違って、レガートの解釈の仕方は、同じであるが、こちらの方は、2曲目ということもあり、ややインパクトが薄い。その分、第2楽章のRomanceのテンポは、Allegrettoの指示であるようだが、今まで聞いてきた中では一番速いテンポ。まさにAllegrettoの表示を守っている。第3楽章のMenuetも同じテンポなので、第2,3楽章を間を空けないで聴くと、同じテンポであることが良く分かる。
 付属のライナーノートによれば、ノリントンはテンポに関しては重要な点に言及。録音が良いのか音の溶け合いは見事。その分、残響が多いせいか、各パートで特に弦楽器が私には分かり難い。しかし違和感は全くないのが不思議。ライナーノートには、演奏者数に引き続いて、vn.パートは対向配置であることに言及している。
 2015年(平成27年)5月3日  R.ノリントン  チューリッヒ室内管弦楽団 を聴取。No.87から引き続いて聴取。音の溶け合いがかなり多く、2つのvn.パートの配置が対向配置で分かれているのかどうか判別が難しい。(その後、次のNo.83で聴いたら、対向配置であることが判明)ゴバーマンの様に、明白な対向配置ではないようにも聴こえる。
 最初のNo.87と違って、レガートの解釈の仕方は、同じであるが、こちらの方は、2曲目ということもあり、ややインパクトが薄い。その分、第2楽章のRomanceのテンポは、Allegrettoの指示であるようだが、今まで聞いてきた中では一番速いテンポ。まさにAllegrettoの表示を守っている。第3楽章のMenuetも同じテンポなので、第2,3楽章を間を空けないで聴くと、同じテンポであることが良く分かる。
 付属のライナーノートによれば、ノリントンはテンポに関しては重要な点に言及。録音が良いのか音の溶け合いは見事。その分、残響が多いせいか、各パートで特に弦楽器が私には分かり難い。しかし違和感は全くないのが不思議。ライナーノートには、演奏者数に引き続いて、vn.パートは対向配置であることに言及している。
 2015年7月18日 クイケンをNo.87から引き続いて視聴。今回から、主に視聴しているヘッドホンを変更する。弦楽器のつやの点は、少し減るようだが、音の広がりと定位感は今回の方が良い。(SONY MDR-Z700からAKG K240)
 最初に、当初のZ700と比較すると、モニター用のためか、微妙な弦楽のニュアンスは、きめ細かく聞き取れて、自分の耳に合っている。しかし、長い間の視聴でバンドとパットの間のジョイント部分に割れが発生して、装着感が欠けてきた。このため、長い間、聴くと疲れてくる。一方、後者の方は、弦を含む各パートの艶の点は、いまひとつ。しかし、タッチ音が少なく長時間の装着でも疲労が少ない。セミオープンに近いのか、音の定位感、特に左右弦楽器の広がり間が良く分かる。あわせて、管楽器の細かい配置と奥行き間が良く聞こえるのが良い。
 さて、No.85の演奏であるが、管楽器の各パート、特に2人のob.の配置が良く分かる。この曲の第1楽章は、かなり長い展開部になっている。(序奏 8、提示部 103、 展開部 101、再現部 63の合計276)展開部と再現部が、ほぼ同じ長さになっている。
クイケンの演奏は、後半部分でNo.87と異なり、繰り返しを採用。(No.87では、第1楽章の後半の繰り返しはなし)展開部が、ある意味入念に、落ちのないように聴けることになる。展開部の中間当たりで2人のob.がsolo指定で、微妙ではあるが、異なる旋律を演奏する。この違いが良く分かる。(今までこの部分での微妙な違いまでは分からなかった)提示部T62の動機が、再現部では全く省略されている。この動機は、展開部の最初に、様々に転調を繰り返して登場するが、過去のNo.45の第1主題に良く似ている。この動機は、再現部では全く登場しない分、短くコンパクトになっている。
 古楽器のためか、弦の各パートの微妙な違いが、良く分かる。元々Bという、フラット系の調性ということもあり、ヴァイル盤と同様に、やや、暗い雰囲気が漂う。時には不協和音の様な、半音同時に、下げた音がぶつかりあう。特に、finaleのT111-112の第1vn.の部分。ここでは、わずか2小節しかないが、異様な音の緊張がこのクイケン盤では良く聴き取れる。ロンドソナタ形式で、繰り返しがないので、一度、聴いたらそれで終わり。当時の聴衆は、どこまで、この一瞬の部分が分かったのかは不明だが。CDの時代では再度、チェックができるのはありがたい。
2016年7月18日 ブリュッヘンOrchestra of The Age of Enlightenment  No85を聴取。こちらもライブ録音だが、録音会場がNo.83と異なり、Vredenbrug,Utrecht,Netherlandとなっている。No.83と録音時期と会場は異なるが録音はNo.83と同様に、分離感がよく聴き取りやすい。第1楽章T62の経過部分。No.45 第1楽想の冒頭主題に類似部分だが、ついつい主旋律の第1vn.に耳が行ってしまうが、他の弦のパートも支えている。ここでも他のパートがくっきりと目だっている。この旋律は、展開部のT113から転調を繰り返して、各パートがエネルギッシュに動く、この曲の一番の聴き所の布石として重要。No.84と対照的に、録音が良くブリュッヘンの演奏は推薦できる。
 
2017年2月21日 T.ファイ No.85を聴取。Fg.のsoloを中心に管楽器が活躍する個所が多い曲のひとつ。Fg.パートはどの楽章もsoloの指定がある部分は、忠実にファイの演奏は目立たせている。
第2楽章のテンポの差を旨く表現しているのを一番のポイントとしたい。冒頭主題から管楽器を伴った第2変奏から続く第3変奏。ここまでのテンポは冒頭の主題と同様にAllegretto。第3変奏から急遽、短調になり、弦楽器のみの演奏となる。今まで聴いてきた指揮者は、ここでのテンポはAllegrettoと同じが多い。
一方、ファイの演奏は、ここでかなりテンポを落としてびっくりさせる。第2変奏まで明るい音色だったfl.などの管楽器はこの部分は全く使用せず。T44からの第2vn.(対向配置で明瞭にわかるのもメリット)から開始する短調の旋律。繰り返しと経過部を挟みT72までかなり長く続く。第4変奏の長調の冒頭主題がfl.ともに回帰してきて、明るい音色と、見事に対比されている。
2018年6月8日 85番 トン・コープマン指揮 アムステルダム・バロック管弦楽団 
を聴取。No.84では、fg.と低弦とのユニゾンについて記載をした。この曲でもユニゾンの箇所はある。Sikasi,fg.はどちらかといえば。Vn.とのユニゾンの箇所が多い。(例:第3楽章Menuet trioの部分など)
 コープマンの演奏はもちろん、この部分で1オクターブ低いfg.のsoloの音色を従事して、あくまでfg.を引き立てている。Vn.奏者が少ない中、奥のほうにいるfg.を引き立てるために、かなり音量を落とし、soloあるいは、奏者を減らしているかのような雰囲気。しかし、fg.と低弦とのユニゾンの箇所がNo.84と比べて少ない分、今ひとつ魅力に欠けると思った。
2018年8月13日 85番 バレンボイム イギリス室内管弦楽団をNo.87から引き続いて聴取。第2楽章のファイ盤で、短調でのテンポの変化を記載した。(下記の自分のブログ)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-681.html

バレンボイム盤では、テンポの変化は、まったくなし。元々、この楽章の冒頭からテンポや少し遅め。第3変奏でのテンポを通常通り、一定に保っている分、長調と短調の差が素直に味わえる。

2018年11月7日 85番 バリー・ワーズワース カペラ・イストロポリタナ を聴取。No.92とNo.103とのカップリング。第1楽章の序奏は通常だが、主部はやや遅めのテンポ。第2楽章 変奏曲の繰り返しはなし。テンポはゆっくりめだが微妙に変化。Menuet trioの後半 T55から2本のhr.の長い和音が持続する。
 Finaleの中間部当たりで、シンコペーションの動機がT118から登場する。第1楽章も、No.45の第1楽章と同じ様な下降動機を伴うシンコペーションの部分が登場するが、共通した手法。2つのvn.パートがぶつかる箇所で、緊張する部分ではあるが、この演奏ではそれほど目立たず。

2019年5月7日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 85番を聴取。メルツェンドルファーとしての特徴とは限らないが。ハイドンの休止符の利用について書いてみたい。休止符を効果的に利用するかどうかは興味深い。この第1楽章は序奏から適宜、休止符が入る。主題自体も短い休止符が入っていて、アクセントになっている。
 一方、第2楽章は、冒頭から8小節に渡って休止符がない。その後も一部はあるものの、大半は休止符ない。展開部のT148からの3小節。第1vn.は8分の休止符があるが、第1vn.以下はその間も、4分音符で引いている。曲の最後まで一部は休止の部分はある。しかし大半は流れるように進んでいく。曲の流れと休止符の位置づけについて、少し興味を持った。なお録音に関して。Finaleの中ほどからLPの回転数にあわせた一定音のゴミの類のような雑音が時折入る。レンジは普通だが録音の点でランクが落ちる。
2019年6月18日 85番 N マリナー を聴取。第1楽章 T12から始まる第1主題。簡潔かつ印象的な動機。第2主題は同じ旋律を属調に殆ど変えただけなので、この楽章を通して、第1楽章の第1主題は終始、支配される。第1、2vnのT12から提示される動機は、短い4小節単位だが、スラーで書かれている。それに対して低弦はスラーではない刻む様な対旋律。この2つの音程と音色が異なった動機が、対比されるのが聴き所のひとつ。T14-15のスラーを第1,2vn.でスラーでないために、低弦の対旋律と第1,2vn.の2つは、少し似たような雰囲気になっている。
 確か、C ディビスビ No.96 第2楽章の冒頭部分。2回に分けて録音がある。旧盤では冒頭の旋律は、なめらかなスラーで、他の指揮者と同様に演奏していた。新盤ではスタッカートの様に、刻むように演奏していたのと同様な解釈。この後、No.92と聴取するので、どの様に演奏するのか楽しみになってきた。
 2019年12月4日 85番 ニコラウス・アーノンクール ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス を聴取。アーノンクールは、繰り返しをホグウッドを同様に守っている。この第1楽章は、私には初めての経験だが冒頭の序奏の11小節の序奏を、繰り返している。すなわち展開部に入る前に、提示部の最後で冒頭の序奏から再度、繰り返しを採用。通常は、T12からの第1主題から繰り返すのが今までの経験だった。
 序奏が繰り返すことにより独特な雰囲気がある。序奏は、あくまで1回のみの登場で、最初に登場することもあり、印象がどうしても少なくなってしまう。一方、アーノンクールの場合は繰り返しになる。序奏は、付点の動機が最初から入っている。この付点の動機は、主部では殆ど登場しないようだ。このため、逆に、旋律的で持続音を伴う主部の動機との対比が印象的。
2021年1月2日 H V  カラヤン ベルリンフィル 85番を聴取。No.83から引き続く。管楽器のhr.の和音の補強に関して余り、音がはっきりしない点を記載した。この第2楽章の終わり部分にも類似箇所があるが、同様に目立たない。第3楽章のTrioの部分。随所で管楽器が活躍する中、hr.の持続音が長い箇所がある。第2楽章よりも音域は高いものの、とても長い小節の間、2名のhr.奏者が切れることなく演奏する。(まるでベートーベン 第5ピアノ協奏曲の第2楽章と第3楽章のブリッジ部分に似ている雰囲気)
 弦楽器はこの箇所はピチカートで得てして管楽器のsoloの箇所が引き立つ部分。hr.はあくまで持続音であるが、聞きたい箇所ではある。しかし余り目立たないのが残念。No.83にも共通するが、弱音の箇所では弦楽器と管楽器の音色のバランスはそこそこある。しかし録音によるのか強奏のTuittiの箇所では、厚みのある弦楽器に押されてる管楽器の音色が気になるところ。