音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.84   hob-No.82
2023年9月5日 更新 



No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
86 84 1786 Es 4 -  -  - - (1) b Finaleの自由な形式を堪能。
       1 Es Largo-Alleglo
       2 b Andante
       3 Es Menuet、allegretto
4 Es Vivace
最新名曲解説全集では、パリ交響曲6曲の中として唯一、掲載がされていない。序奏と主部の関連がないが対比は美しい。第1楽章のテンポはAllegloであるが、フィッシャー盤はAleglletoぐらいの速いテンポに聴こえる。提示部の後に、恐らく属調 で再度、第1主題が提示されるスタイルが、この当たりから定番となる。また、第2主題の登場に際して第1主題の再現と思わせながら、突如、第2主題が急に現れる。この現われ方は、過去に今まであったかもしれないが、fl.とfg.のそれぞれの音色から、急に第2主題が登場するのは珍しい。展開部は、第1主題の転調、擬似再現などの音色の変化とともに、目まぐるしい。
 Andanteは、ひとつあるいは、2つの主題によるロンド風の変奏曲。曲の後半までは弦が主体で動き、管は殆ど目立たない。弦の演奏も低弦が独自で謡う箇所も多く、vn.との対比が美しい。最後の方までは、管がsoloの役割を殆ど持っていなかったが、突如、カデンッツア風になり、管のsoloが始まるのが印象的。それまで、管が抑えていたのが、一気に目立つ。フィッシャー盤はテンポがやはり速め。しかし、曲の後半で、管のカデンツア風の登場あたりから、急にテンポがゆっくりになる、テンポの変化がcodaに向けてのアクセントになっている。
 Vivaceはソナタ形式であるが、再現部の後半は、かなり拡大されてテンポも大きな変化。流れる様な変化を楽しむことに終始する。ソナタ形式を基本としている様だが、時間的にも長い。再現部がはっきりしなく、曲の流れが、初めて聴いただけでは、分かりにくい。逆に、流れるような自由な形式を堪能したい。特に、再現部からは、音色と様々なテンポで楽しむ所が一番の聴き所だと思った。
 一度、聴いただけでは、曲の流れがつかみにくい所があり、余り印象に残りにくいかもしれない。(第2楽章のロンド風の構造やFinale)特にFinaleは、流れる様に進んで行き、時間的にも長い方になると思う。しかし、何回か聴き直すと意外な発見が見出せる曲。通しNo. 71(hob‐No. 67)の様に、何回か聴いている内に味がある作品と思う。名曲解説全集に掲載されていないのが惜しい。No. 82からだと、残りまでは23曲ある。その中でEs調の曲は、これを含めると、4曲ある。(hob.No. ,91,99,103)ハイドンの交響曲では、曲の主調が緩徐楽章を除いて殆ど一定である。逆に1曲ごとに、調性の統一から、調性と曲の雰囲気がマッチしていると思う。その中でこの後の残りの3曲は、どちらかと言えば、ダイナミックさや技巧的な雰囲気が今後の流れになって行く様な感じ。逆にこの曲では、Esの調としての流れる雰囲気で終わるともに、引き立って行く。
 ドラティ盤は、全体的にテンポがゆっくり。特に第1楽章のAllegloのテンポは、落ち着いて聴ける。soloの扱い部分が全体的に少ないこと。これに伴い、sokoの聴き所にとらわれることが余り必要ない。フィッシャー盤は第1、2楽章のテンポが速すぎて、落ち着いて聴きにくい。それに対して、ドラティ盤は、ゆったりとして聴きやすい。
 これに対して、カラヤン指揮のテンポは、ドラティ盤とフィッシャー盤の中間。特に、第3楽章のMenuetは、ゆったりとしたテンポで楽器編成が大きく、ゴージャスに聴こえる。フィッシャー、ドラティ、カラヤンの中では、ドラティの演奏を取りたい。

(2010年1月4日追記 タグとして2010年2月16日とする)
2010年4月17日 NHK FM放送の番組「吉田秀和 ハイドンその生涯と音楽 28回」にてブリュッヘン指揮  18世紀オーケストラの演奏を聴取。演奏の紹介に先立ち、繰り返しの有無や当時の楽器の音色等についての話がある。アーノンクールの演奏は、当時の演奏スタイルを堅実の守るために、展開部と再現までの繰り返しをしている。このため、繰り返しが多く、曲によっては、30分を超過する超過するケースがある。当時は、繰り返しが多いのは、聴衆は納得していたかもしれないが、現代では冗長な面がゆがめない点に触れている。この点には賛成したい。
 もう一点は、調性と楽器の音色の関係。この曲がEs調で、やや落ちついている雰囲気になり、響きがやや「くすんで」いる点の話。当時の楽器を使用し、ピッチも恐らく当時の様に、現代とは低くなっていると思う。この影響なのか、第1楽章のAdagioの序奏では、それほどの「くすんだ」印象はないものの、第1主題に、はっきり現れる。「くすんだ」音色の好みは個人の観点により左右はされる。上記、フィッシャー、ドラティ、カラヤンの楽器は、いずれも、現代の楽器で、この「くすんだ」音色が出てこない。Es調の堂々とした明るい雰囲気を堪能できる。調性と音色の対比について、興味が大いに持てた演奏だった。
 vn.は左右に広がる対向配置で、特に第2vn.の細かい音は、はっきり分かる。しかし「くすんだ」音色のためか、対向配置の効果が他の曲と比べて余りないと思った。
2012年(平成24年)12月3日のNo.83にバーンスタイン盤を引き続き聴取。聴いたNo.83は序奏はなかったが、こちらは序奏がある。No.83のテンポと比較して、ややゆっくり目のテンポは意外。ひとつ前のNo.83と同じ録音条件に近いが、古い録音であっても、管楽器のパートひとつをとっても、ob.奏者2人の違いが分りやすい。前のNo.83とも共通点かもしれないが、緩徐楽章では、カラヤン盤などの違って、大編成でありながらも、細かい繊細な音色を重視する点は注目に価する。特に、この楽章では、強弱の対照や、テンポの変化、各楽器に音色の違いなどが印象的。codaに向けて、遅めのテンポに集約して行く流れは、この後に続く。第3楽章のテンポや強弱と対照的。
2012年(平成24年)12月3日のNo.83にバーンスタイン盤を引き続き聴取。聴いたNo.83は序奏はなかったが、こちらは序奏がある。No.83のテンポと比較して、ややゆっくり目のテンポは意外。ひとつ前のNo.83と同じ録音条件に近いが、古い録音であっても、管楽器のパートひとつをとっても、ob.奏者2人の違いが分りやすい。前のNo.83とも共通点かもしれないが、緩徐楽章では、カラヤン盤などの違って、大編成でありながらも、細かい繊細な音色を重視する点は注目に価する。特に、この楽章では、強弱の対照や、テンポの変化、各楽器に音色の違いなどが印象的。codaに向けて、遅めのテンポに集約して行く流れは、この後に続く。第3楽章のテンポや強弱と対照的。
2014年1月13日 デイビス盤を聴取。第1楽章は思ったより、速いテンポ。第2楽章の管楽器のカデンツアの部分。デイビス盤では、管楽器が目立ち、ライブ録音とも相まって、音色が対比されて良い。
 自分の体調か、再生機器の不調によるのか、finaleの録音で、弦楽器のアンサンブルに不鮮明な箇所がある。録音がやや落ちることもあって、デイビス盤は薦めず。
2014年(平成26年)8月10日  B.ヴァイル盤を聴取。古楽器を使用いていると思うが、アーノンクール盤と違って、ES調の落ち着いた音色の特徴は余り感じない。対向配置で、第2vn.の対比的な旋律の特徴が余りないと思う。
 第2楽章で、低弦、特に、vc.が時折、bsss.と分離して独自の旋律を受け持つ箇所が多い。ヴァイル盤では、細かいニュアンスが聴き取れる。何名かの演奏を聴き比べていて、全4楽章の中で、一番の聴き所は、緩除楽章の細かい音色と、あらためて認識した次第
2015年(平成27年)5月16日  R.ノリントン  チューリッヒ室内管弦楽団 を聴取。ノリントン独特のレガート奏法が存分に満喫できる第1楽章。序奏の後の第1主題の動機の一つT23の僅か1小節の中に、スラーとスタッカートの箇所が第1vn.に混在。この部分の対比がノリントンの演奏では、明白に聴き取れる。この動機を含む楽章全体が、転調、変形され、各パートで受け渡せされながら至る所で展開する。
 一転、第2楽章では、第1楽章まで余り活躍していなかったの低弦の独自の動きがある。人間の聴覚の影響かもしれないが、第1楽章は、殆ど目立たなかった低弦パートが存分に活躍。ノリントンの演奏は、録音がよいためか、vc.とbass.の僅かな分離の箇所も明白に入っている。
 最後のFinaleは、曲の流れが複雑で捉え難い。あくまで流れを楽しむように聴衆は、任せればよい。従来までは、どちらかといえば通好みの曲であったかもしれない。ノリントンの演奏では通好みの中で、録音の良さも相まって、作曲者の伝えたい微妙なニュアンスを旨く捉えている。編成が少ない分の影響も大きく、No.87、85、83と通して聴いてきた中で、独自の特徴。
 この後、残りの2曲は打楽器群が入っていく。打楽器群が入らない演奏を占めくくるのにふさわしい。
 2015年7月20日 クイケン盤をNo.83に引き続いて聴取。
第1楽章のTuttiが中心と違って、第2楽章は、低弦を中心に活躍するのが特徴。チェンバロがはいっているが、この楽章では微妙な装飾を追加で、目立っている。違和感は全くなし。Finaleの後半の繰り返しはなし。
2016年7月17日 ブリュッヘンOrchestra of The Age of Enlightenment  No84を聴取。No.83と異なり、ライブ録音でも会場が異なる。No.83と比較して、音の分離感が不足し、特に管楽器が余り目立たない。第2,4楽章を中心に、管楽器のsoloの個所が多いが、弦楽器に圧倒されて聞こえ難い。ES調ということもあり、落ち着いた音色に支配され、ブリュッヘンなりの特徴が余り見られないと思った。
 録音会場を自分なりに調べていたら、The Cite de la Musique (City of Music)は、2006年に竣工し、2400人の収容人数。ただし、この録音は1996年なので、それより前のホールに仕様と思われる。


2017年2月19日 T.ファイ No.84を聴取。パリセット6曲の内、打楽器群が入らないのは、一つ前のNo.87を含めて4曲。打楽器群についてもし記載する場合、この後になる。一方、ファイ盤で管楽器については、余り書いていなかった。この曲では主にhr.についてを中心に書いてみたい。
第1楽章の主部の冒頭から始まる主題にHr.は主に和音のパートが多いが、T28の個所の様に、他の管楽器に負けない爆裂したリズムを刻む。続く第2楽章。最初は弦楽器のみで提示されていくが、中期以降のスタイルの様に、次第に管楽器が加わる。hr.のパートも主に和音を受け持つ個所が多いが、一部ではあるが効果的に登場。単一主題による変奏曲で流れて行く。このため、主題が流れていく中で、冒頭の主旋律が一定に目立つように、どの指揮者も演奏する。主旋律のパートはメインは弦楽器、しかも低弦が多いのが特徴だが、hr.を含む管楽器も受け持つ。このT57からの部分で冒頭の主題は、fg.を含む低弦と第2ob.が受け持つ。一方hr.を除く他のパートは装飾的な旋律を受け持つ。hr.は、低弦に類似した旋律を各パートで分かれて演奏。この部分が特に強調されて音に厚みを与えている。
 Finaleの流れる雰囲気が主体で締めくくるのは、No.87と同様。こちらは 単一主題ではないが、hr.も他のパートに負けないように厚みで演奏。作曲者は展開部と再現部の繰り返しの指定がある。しかし、ファイの演奏は、繰り返しを採用していない。T271からcodaに向かってさらにテンポを速めて一騎に終わるが、盛り上がりがすばらしい。このCDにもファイの略歴がライナーノートに記載されている。下記のアドレスのハイドン音盤倉庫にも訳文がある。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-158.html

2018年6月7日 84番 トン・コープマン指揮 アムステルダム・バロック管弦楽団 
を聴取。フラット系の調性というこもあり、落ち着いた音色。fl.を中心とした音色の特徴は、ひとつ前のNo.83で記載をした。今回はfl.以外について触れてみたい。全4楽章の内、第2楽章のAndanteが一番、自分が好きな楽章。作曲者はAndanteのみしか記載していないが、Cantabile の表記はない。しかし旋律や雰囲気からして、あってもよいと思う曲。中期の曲でNo.47の雰囲気に似ていると思う。しかし作曲年代が下がり、弱音器のvn.は余り採用されず、その分、管楽器や必要に応じて打楽器群が入ってくる。この84番では打楽器群はもともとないが。
 冒頭の主題が弦のみのユニゾンで提示されるが、vc.とBassの存在も大きい。中期の頃は、vc.とbassの分離は少ないが、ここでは必要に応じて分離。この録音ではBassは、右側にvc.と分かれて録音されている。オクターブで進行する低弦のパートと分離が、この録音でも良く分かる。第2変奏のT23など。低弦は主旋律を演奏する箇所もあるが、独自の動きも時折ある。
 ハイドンは「fg.に関してvc.やBassの奏者を少し減らしてもfg.は必要な楽器」といったことがあるらしい。この時期になるとfg.はsoloを含む独自の動きの箇所もある。しかしそれに加えて、Tuittiでのfg。を含めた低弦の独自の動きが必要。第3変奏T45から低弦+fg.の旋律は、聴き所のポイントの一つ。コープマンの演奏はvn.や管楽器のパートに埋もれることなく、低弦+fg.の旋律が引き立つ。この後に続くT56からのhr.の旋律は、それほど目立たない。この部分でファイは、hr.を引き立てていたのとは対照的。(下記のブログに記載)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-683.html

ライナーノートによると、弦の奏者数は下記の通り。

5:2:2:2:1
2018年8月12日 84番 バレンボイム イギリス室内管弦楽団をNo.87から引き続いて聴取。概して緩叙楽章の柔らかい表現が特徴のひとつ。第2楽章でファイ盤などt56のhr.の主題の強調について記載をした。(下記の自分のブログ)


http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-683.html

 バレンボイムでは、このT56分では、低弦とhr.に冒頭の主題が回帰してくるが、強調は特になし。しかし、少し前T55からpの指定を忠実に守り、T56からのfとの対比が印象的。最後のcodaの部分も、自然にテンポを少し落として終わるのも良い。
2018年9月30日 ベーラ・ドラホシュ  ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア No.84を聴取。第2楽章の第3変奏の部分。fg.を含む低弦の厚みなどについて、T コープマンの演奏で記載をした。


http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-923.html

 ドラホシュの場合は、それほど目立たず。また、T ファイの場合、時にはT57-58の箇所で、ここぞという時にhr.を爆発させる。ドラホシュの場合は通常通り。No.64から聴き通すと、細かい表現は同じスタイルだと思うが。Tuittiでの厚みのある曲が増えているのでその分、今ひとつの雰囲気。
 2019年5月6日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 84番を聴取。パリセットは作曲順番がhob 番号とは数年の間で異なる。打楽器群の入るNo.82とNo.86は他の4曲よりも後になる。今回は、たまたまCDの収録順番もありNo.84から最初に聞く。
メルツェンドルファーの場合、緩叙楽章が特に聴き所のポイントになると思う。第2楽章の弦楽器の主題は、調性と拍子こそ違うがNo.47 にも少し、類似していると思う。No.47の方はfl.は入らず、va.は低弦と殆ど同じ動き。しかしこちらの方はflが入り、低弦も2つのパートに分かれている箇所が多い。そもそも出だしから、2つのvn.とva.はユニゾンだが、低弦は既に少し遅れて登場する。最初の遅れは部分はそれほど、余り気づき難い。しかしその後、低弦の独自の動きの箇所が多い。緩叙楽章での低弦の厚みは比較的良好。録音は平均的だが、Finaleに近くにあるにつれて歪が少し目立つ。
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2019年12月5日 84番 ニコラウス・アーノンクール ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス を聴取。弦を中心としたアゴーギクの独特さはアーノンクールの特徴のひとつ。T3の部分での 「f」の部分でもかなり強調。強調する直前に、一瞬、弱める部分もうまく対比させている。


調性、拍子などは異なるが、No.47の出だしと類似している雰囲気。(下記のブログに譜面あり)弱音で弦楽器のみで登場し、少し遅れて、低弦が追従するような部分など。管楽器を含めたsoloの箇所。2つの調性の異なる展開などは、No.84の方が、やはり変化に富んではいる。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1040.html

 このCDの録音は、ライブのような雰囲気と記載をした。この辺りは T ファイ 盤にも共通していると思う。指揮者の息使いはもとより、譜面をめくるような、かすかな音が入っている。ステージの前よりあるいは中央寄りではなく、指揮者の傍で聞いている雰囲気。その分、管楽器の奥行き感は、やや不足気味。しかし弦楽器の奏者の位置までが特定できそうな録音。マーラーの交響曲などで、弦の奏者を半分に減らす指定がある。もしハイドンの交響曲でも、スコアによる作曲者の指示、あるいは、指揮者の判断で奏者を減らすと、録音による差が興味深い。
2020年12月18日 N マリナー 84番を聴取。N マリナーのハイドンは、どの箇所を聴いても印象に残る。このNo.84が残る最期の曲だと思う。かつてはLPでハイドンの交響曲20ネイムシンホニーがLP10枚組で発売された。気になっていたが購入せず。(調べてみたら1980年PHILIPSから発売) その後、同じレーベルで分売されながら発売。さらにLPに追加された曲を含め29ネイムシンフォニーがCDで発売された。その後、中古ではあるがこの29ネイムを入手済み。しかし29ネイムに漏れる録音数曲も、同レーベルから分売されていた。その中でNo.86、87.99、102はレビュー済み。しかしパリセットの中のNo.84のみが残っていた。このたびパリセットの6曲2枚組をようやく購入した。No.84が最後の曲となる見込み。

 Nマリナーは他界されたが、モダン楽器でありながらも、各パートがくっきりとしているのが印象。No.73のレビューの中でfl.(この曲ではNo.84とも同様に奏者が1名)でも弦にパートに埋もれることもなく印象的なことを記載した。この曲でも同様に管楽器を中心に弦のパートに埋もれることは少ない解釈。(以下はNo.73のレビュー)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1194.html

 マリナーはハイドンの全曲を録音していない。29ネイム以外のNo.84を含め5曲を加えると都合34曲になる。。(2020年12月27日追加修正 29ネイムシンフォニーシリーズの中で2曲はR レッパードの録音。このため都合32曲に訂正する) 106曲の内の約1/3を録音していることになる。モルティン時代のごく初期の作曲分を除くと約2/5は録音していることになる。どの曲も作曲年代が偏ることも余りないので(といってもザロモンセットが多いが)作曲順番に聴取をすると、ハイドンの作曲年代のスタイルが変わってくるのが、同じ指揮者なのでよくわかる。全集盤ではないものの、恐らく奏者の数は配置は同じだと思うので、初期から後期までの各曲の特徴を比較しやすい。

 No.84は、後者の2つの主題が展開していくタイプ。曲の最初は弦楽器のみで開始する手法は、しばしばみられる。No.47の場合などは、大半が全ての弦のパートのユニゾンあるいは、vn.と低弦が同じ箇所が多い。しかし作曲年代を経るに従い各パートが分かれvc.とbass.も必要に応じて、分かれる箇所など音色の変化が大きくなっている。この楽章の出だしでも、低弦は少し遅れて登場する。またT9からは第1vn.とva.はユニゾンでありながら、第2vn.とvc.+bass.は少し遅れて展開していく手法など、より細かい作曲スタイルになっていると思う。マリナーのvn.の配置は全て左側。Vn.は対向配置でない。しかしこの楽章に限っては、第1vn.とva.が分かれている分、対向配置でないが逆に音色の対比がある雰囲気。変奏の途中t56~58でhr.が活躍する箇所がある。下記の T ファイのレビューに譜面あり。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-683.html

ファイの場合は、ここぞとばかりにこの箇所でhr.を強調させている。しかしマリナーの場合は、弱奏のまま、あくまで和音の補強の様な雰囲気。
 パリセットの6曲は、弦楽器のsoloの箇所は少ない。特にvn.はさらに少なく。通常は、この曲ではvn.のsoloの箇所がないと思っていた。最初のNo.73の後半にも記載したが、必要に応じてsoloを採用している箇所もあった。このNo.84も同じ様にFinaleの終わりに近い部分。この頃の特徴の一つ。Finaleは終わりそうで終わらない箇所で引っ張っていく中で、T216からT221は、第1vn.がsoloになっている。

 このNo.84でもって一応、現時点で発売されているN マリナーのハイドンの交響曲は終了となる。録音は1971年頃から1991年頃まで約20年にわたっている。同じレーベルで指揮者と奏者は同じ。約20年の歳月がこの間、経過している。しかし録音は大半が同じ様に統一されていると思う。Vn.は前にも記述したように対向配置でない。Vc.は中央のやや右側。Bass.はさらに右側に分かれて分離間が分かる。No.60の弱音器を外す間合いなを取り入れるなど丁寧な編集だと思う。指揮者や奏者が時折、演奏中に楽器から発する音以外も僅かだが聞えてくる。この音をどの程度、取り入れるのか? あるいはカットするのかは指揮者、編集者、レーベル自体の判断にも左右される。マリナーの場合は僅かだが、この音は入っているが、私にはセッション録音の典型の一つとして許容できる。
 残念ながら本人は他界され、ハイドンの残りの録音を聴くことはできない。全曲の録音はかなわなかったが、20ネイムの交響曲代表されるように残っている。ドラティ、デイビス、フィッシャーの3者は同じ奏者で全曲が達成され、作曲順番に聞き通すことができる。そのような中で全曲はかなわなかった中ではあるが、改めてマリナーの良さを認識した。


2021年1月4日 H V  カラヤン ベルリンフィル 84番を聴取。6曲のパリセットの中では、ネイムがついていなく、どちらかと言えば地味な方の存在かもしれない。最新名曲解説全集でもパリセット6曲の中でこの曲の掲載はなかった。レビューでは最近、N マリナーのモダン楽器でも各パートの明晰さを記載した。
同じモダン楽器でも奏者の多いこのCDでは、逆に緩徐楽章で奏者の多い点を生かしての特徴を書いてみたい。弱奏の部分でも奏者が多いので、低弦を含めて弦の厚みがある。第2変奏のT21の部分。第2vn.ととT喪にvc.がユニゾンで少し遅れて動機を演奏する。T24で低弦はさらにbass.を含めて下降していく部分。bass.の厚みが多い聴き所。なお、私のCDのみかもしれないが、この曲のFinaleの最後の方に、「プチプチ」というような、雑音が僅かに入っている。