音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.80 hob-No.78


2024年1月17日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
80 78 1782 c 4 -  -  - - (1) C 第2楽章の前打音を含む主題と丁寧、かつ、しっとりとした雰囲気。
       1 d Vivace
       2 B Adagio
       3 d Menuet&trio
4 d Finale,Presto

短調の交響曲は全体を通して少ないが、これ以降には、d調は作曲されていないので最後の曲となる。最初こそd‐molだが、直ぐに長調に転じており、長調の部分がむしろ多い。展開部は第2主題を中心に転調を繰り返すが、動機の展開よりも、両性と音色の対比に重点をおく。
 AdagioはBの調性であるが、両主題が印象的で低弦を中心とした対位法の扱いが、丁寧でうっとりとした雰囲気。第1主題の前打音の扱いの効果による影響か? 第2主題が2つのvnで提示された直後、低弦+木管の音色の対比が良い。ここから終結部にかけての細かい動きが聴き所となる。展開部は比較的短いが、2つの主題が丁寧に展開され、調性の変化にも富む。楽器の音色はsoloの箇所は思ったより少ないがその分、細かい。これから後の交響曲シリーズとかと異なり、分かりやすい構成ながらも、丁寧に、しっとりと聴かせてくれる聴き応えのある緩徐楽章の一つ。
 フィッシャー盤ではFinaleの提示部を中心としたでvn.の細かい演奏方法の違いが分かり面白い。この当たりは、小編成による効果が大きいと思う。Prestoのテンポではあるが、随所にややゆっくりした箇所もあり、ユーモアの雰囲気もあるが、展開部を中心に変化が大きい。全体を聴き通すと、終楽章の第2楽章の主題の美しさと展開がポイント。
 ドラティ盤は、緩徐楽章の提示部での繰り返しがないため、演奏時間は短い(演奏時間はフィッシャーの8:55に対して、6:52) 第2楽章の細かい楽器の音色が分かりにくく、対比がはっきりしない。フィッシャー盤を勧める。

(2010年1月4日追記 タグとして2010年2月12日とする)
2010年(平成22年)2月6日  NHK FM番組 「吉田秀和 ハイドンその生涯と音楽 No. 23」の番組で、オルフェウス室内管絃楽団の演奏を聴取。聴取に先立ち、この曲の紹介の中では、長い間エステルハージ公爵のための作曲を続けてきた中で、最後に近い部類の1曲であることに触れられている。
 編成はフィッシャーよりも大きいよう。第1楽章では、展開部を中心とした、めまぐるしい転調やテンポの変化が聴き所と思っている。フィッシャー盤よりも大きな起伏が見られない。その他の楽章についても、これといった特徴がないと思った。
2014年1月3日 デイビス盤を聴取。全体的にテンポが遅めの分、両端楽章は、短調の緊張感が、今までの2人と比べて、少ないと思う。聴き所のポイントとして、第1楽章の展開部を上げた。緊張感からすれば、一つ前のNo.77の方が、短いながらも、3曲を通して聴くと、むしろ、こちらを取りたい。Finaleの最後では、長調に転じて管楽器を含めて華やかに終わる。この辺りも、イギリス向けの聴衆を意識したした表れと思う。
 この3日間でデイビス盤を3曲通して聴取をした。真ん中の77番が、親しみやすさを一番のポイントとすることもあり、3曲の中のランクでは、Cに下げるか?
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2016年5月16日 ダントーネ/アッカデーミア・ビザンティーナNo.78を聴取。単発で先行発売はされているが、DECCAからの古楽器による初のハイドン全集のセットとして、今回は購入。このセットは、ホグウッドは、過去の聴取記で書いている。F.ブリュッヘンのCDは、まだ私は持っていなかったので今後、少しずつ書いていきたい。
この演奏についての感想は、ハイドン音盤倉庫に、DECCAの全集企画の宣伝方法も含めて、やり取りがされている。
http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-1402.html#cm
小編成だが、近接音が比較的多く、分離感が良く分かる録音。第2vn.は右側に位置。第1楽章は、初めてこの音源を聴くこともあって、特徴が良く分からない。しかし2楽章以降、va. vc.. bass.がユニゾンで、vn.のパートに対抗するように分離感がよく分かる。たとえばT21‐24の部分など。一方、木管楽器は、第1楽章では、soloの部分も少ないこともあって、それほど目立たなかった。第2楽章では対照的に、木管楽器でのsoloの部分は丁寧に目立たせている。T48からva.とユニゾンでfg.が入るが。ここでは、va.は控えめになり、fg.が活躍。Hr.も、場合によっては、f指定を忠実に守り随所で和音で支えている。
  後半のMenuetでは、繰り返しを忠実に守る。ラトルの演奏でも随所にあったが、繰り返しの部分は、各パートで随所に装飾があって、飽きさせない。Menuetの再現部で、後半の最後に近い部分のフェルマータのT24個所。ここではvn.の即興が入っている。ホグウッドは、ここまでの即興はなかったと思う。
Finaleは調性の異なった単一主題の変奏曲と私は解釈している。単一の主題が、流れるように、飽きさせないで行くかがポイントになると思う。各パート、特に弦のvc.が、bass.と分離して、細かく支えているところなどは、じっくり聴いてみるとよく分かる。」このため飽きさせない。演奏スタイルは、ホグウッドに類似しているかもしれない。ホグウッド以上にテンポと強弱を微妙に変えているところは、独自のスタイルと思った。少しこの音源に慣れないと、この曲の良さが分からないかもしれない。元々、この曲のランクはBとしてが、この演奏でも評価はこのままとしたい。
 2019年5月2日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 78番を聴取。一般にハイドンの短調の交響曲は対位法の箇所が多く、休符を適宜活用している。No.76-7は長調の曲で、流れるような雰囲気もある。この2曲とは対照的な点もあるが。同じ調性で疾風怒濤期のNo.52は、fl.を欠いている。Finaleも短調の箇所が多い。それに対してNo.78の方は、後年のNo.95と同様にfl.が入り長調の箇所も多い。Finaleの最後も長調で締めくくる。同じ指揮者と奏者で作曲順から聴き通していることもあり、過去の同じ調性の交響曲とも比較する面白さがある。No.52では低弦のvc.とbass.の分離について効果的と記載をした。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1142.html

この効果的なコメントは、この交響曲に限らずNo.76-77にもある。No.78にも当てはまる。No.76-77ほど低弦の分離の箇所は余りない。しかし過去の手法と同様に弱音の部分を中心に、vc.の高音域の音色をTuittiとは対比させているのが効果的。Finaleの下記のt96-97の箇所など。
 No.52はFinaleに進むに従い、内周歪のためか次第にレンジ狭く、歪が大きくなる点を記載した。一方、こちらの方は録音は良好。ここまで聴き通していく中、録音による影響はもちろん大きいと思う。Soloの箇所で音源の不安定、違和感などがなければ、緩叙楽章の微妙なニュアンスなどがメルツェンドルファーの特徴だと思っている。
 2023年11月4日 78番 R グッドマン ハノーヴァバンド Roy Goodman The Hanover band を聴取。No.76、No.77と比較して、強弱の音量の差の箇所がやや少ないような曲なのか? 音量のレンジを生かした特徴は、No.78の方は余り目立たないと感じる。
 
 2024年1月8日 No.78を聴取。No.45から引き続く。疾風怒涛期の頃の作曲スタイルと異なるので、楽器の音色や強弱の対比に加わる。様々な仕掛けは共通するが、ある意味、分かりやすさも表にある。ライナーノート「ハンスギュンタ・、磯山 雅 訳」記載があるが、「美しく華やかでさほど長すぎない」のコメントも記載あり。管楽器の各パートの定位感
割合によくわかる。しかしhr.の音が余り前面に出てこない。第1楽章 T37からの和音も不明瞭。少し前のNo.81も記載たが、vn.は対向配置でない。No.81同様、2つのvn.パート
殆ど同じ音を弾かない。その分、vn.の掛け合うのが不明瞭になる。