音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.76 hob-No.74   
2023年7月29日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
76 74 1780 Es 4 -  -  - - (1) C 休止と音色の変化を重視。Finaleの流れるような印象と対照的。
       1 Es Vivacs assai
       2 B Adagio cantabile
       3 Es Menuet&trio、allegretto
4 Es Finale、Alleglo assai
第1主題は主和音からなり、主題の中にも休止を挟む。第2主題も休止を挟む。休止を利用して、強弱のアクセントを付ける手法は、以前から採用されていたが、この交響曲では目立つ。しかし主題自体が比較的単純。展開部は両主題が扱われ、かなり長い。再現部でも第2主題が展開されながら休止箇所が多くなって提示部と異なる。第1主題は、後のNo.89に類似しているが、こちらの方は、楽章全体に渡って休止と音色を重視。
 Adagioは、vn.とvc(solo)で主題が続くのには、びっくりする。(後のNo.102の第2楽章もvc.のsoloによるオブリガートがあるが、その先駆をなしているのか?)その後、経過部に入って各楽器が登場し音色の変化を伴いながらの変奏曲。主題は2つある。調性は殆ど変化ないが、フィッシャー盤では、hr.の低音がかなり目立つ様に、演奏するのがアクセントとなる。またvc.とbass.の分離が所々あり、楽器の音色の工夫を重視している。Menuetのtorioでもvn.vc.fg.の掛け合いがあるが、fg.のみは珍しい。Finaleはソナタ形式で、流れるように明るい雰囲気になる。第1楽章の休止符が多いのとは対照的。調性がフラット系で、fl.とob.のsoloが殆どなく、vc.やfg.を重視している点から聴き通して見ると落ち着いた印象。
 ドラティ盤は、各楽器の扱いが目立たないが、ゆったりとオーソドックスに聴ける印象。

(2010年1月4日追記 タグとして2010年2月6日とする)
2013年12月17日 デイビス盤を聴取。第1楽章の展開部が、かなり長いと思ってスコアをチェック。提示部65小節に対して、展開部が61小節とほぼ同じ。休止が小美第1楽章だと記載をしたが、再現部の直前などに、微妙な転調が続くなど、じっくりとスコアを見ると、思わぬ仕掛けがある箇所が多い。爽快に流れるフィッシャー盤を勧める。
 2016年4月2日 ホグウッドNo.74を聴取。演奏会でも余り取り上げられないと思う曲の一つ。過去の聴取記録でも「通好みで意外な発見のあるのが特徴」と記載をした。第1楽章は、強弱、休止符、各パートの旋律の受け渡しなど、様々な仕掛けがある。T3からのbass.と分離しvc.が単独で登場する箇所。だいぶ前のhob-No.-42の第1楽章にも同じような仕掛けがある。調はお互いに異なるが、vc.の扱い方などは共通点がある。
No.42の方は、強弱や各パートの旋律の受け渡しなどは、同じ楽器編成でもNo.74に類似をしている部分が多い。しかしNo.72の方が、冒頭主題だけでなく、32音符から全音符までの様々な長さを伴った、細かい旋律がいたるところに登場する。しかもこれらの旋律が、長い展開部で自在に動く。年代を経るに従って、作曲スタイルが変わっていくことが分かる例。
ホグウッドでは、このvc.を含めた弦の各パートの動きがよく分かる。一度聴いただけでは、このvc.を含めた各パートの動きが分かり難い。展開部から再現部の後半部分も忠実に繰り返すことで再度、聴取者には、落ちのないように聞かせてくれる。打楽器群が入っていない曲だが、改めて、通好みの演奏を堪能できると思った。
 2019年4月28日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 74番を聴取。緩叙楽章を中心に録音が全体的に悪い。レンジが狭く、管楽器が強調され過ぎ。スクラッチノイズが一定のリズムで入り(丁度LPの回転数に合わせている周期)、左右の音のふらつきみ時折入る。録音がかなり悪い方の印象が先行し、演奏としての評価は余りない。(ひとつ前のNo.73では管楽器と弦楽器とバランスが比較的良かったのと対照的)
 2019年8月8日 74番 ヘルムート ミュラー=ブリュール ケルン室内管弦楽団 を聴取。井上著 ハイドン 106の交響曲を聴く」の中でこの曲は絶妙なオーケルトレションが伺える傑作と記述がある。ブリュールの演奏で、残りを聴いていく中で、No.40からの続きになる。作曲年代では、かなり間が空くことやfl.が入ることもあり、No.40から通して聴くと、オーケストレーションの絶妙さは、確かにNo.40と比較すると差があるのはわかる。
しかし、この後の交響曲と比較して同じ旋律や雰囲気が続く箇所が多く、自分なりには、少し冗長な点が耳に付く。このため、曲自体のランクも高く上げていなかった。流れを重視し、テンポの変化が余りない。このためさらに、この冗長な点が目立ってくる。ブリュールの場合は、概して少し遅めのテンポ。これも相まって特徴は余り見出せない。
 2019年12月29日 74番 ロイ・グッドマン ハノーヴァー・バンド を聴取。このCDは73.74.75の3曲がセットとなっている。作曲年代も近接しているが、それぞれに個性があるように思える。一つ前のNo.73は、打楽器群は入らないが、弦の特殊奏法を生かした独特な解釈。  No.75はこの後になるとして、No.74の方の特徴は? No.73から引き続くと、No.60番台の頃に少し戻るような雰囲気。打楽器群は入らないのは共通。形式や旋律は比較的保守的。それに対して、楽器を変えることによる音色の変化などを重視している雰囲気。
 第1楽章にも随所で短い旋律や動機をが各パートに受け渡しながら、音色や強弱に微妙な変化を加えている。第2楽章の冒頭も同様。冒頭の弱音器のvn.を生かした微妙な音色。スコアではvc.のsoloしか記載していない。ここでは指揮者自身がcmb.のストップ音?の効果で寄り添っている雰囲気。vn.(第2vn.のみも含む)、低弦、弦楽器、管楽器のsoloなど各パートの受け渡しの箇所が多い。奏者が少ない分、細かいところまで聞ける。
 Finaleはこの後の作曲になるNo.91にも少し似た雰囲気。しかしこちらの方が各パートの受け渡す箇所が多く、室内楽的な雰囲気。もともとこの曲自体が大人数の奏者で想定したいないと思う。グッドマンはこの特徴を生かしていると思った。