音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.72 hob-No.69   
2023年7月29日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
72 69 Laudon 1779 C 4 -  -  - - (1) B 親しみやすい旋律と通称名で当時からの人気作品。
       1 C Vivace
       2 F Un poco adagio piu tosto andante
       3 C Menuet
4 C Finale、Presto
Vivaceの第1楽章は中規模のソナタ形式。C調で明快な主題はNo.48の主題に類似。通称名のLaudonは実在の人名で、トルコ軍を撃破したオーストリアの元帥のラウドン男爵を示すらしい。第1楽章の展開部は提示部の動機が扱われ、4つの部分から構成される。短いcodaがあるが曲の構成が明快で分かりやすく、一度聴いただけで覚えられる親しみのある楽章。特に第2主題は民謡風で明快。
 Adagioの第2楽章は、中規模のソナタ形式で演奏時間が比較的長い(フィッシャー盤で9:10)例によって弱音器vn.を主体とした第1主題。提示部は、それほど主だった特徴は余りないと思う。それに対して展開部は第1主題の始まりは同じ雰囲気だが、短調の表現が効果的に生かされていて、2つのvn.の対比が心地よい。再現部は管楽器が主体となり装飾が加わりながら提示部と大きく異なる。
 Menuetのtrioでは随所にsoloあり。Finaleは自由なロンド形式だが、フィッシャーでは随所に弦のsoloがある。明るい雰囲気でも、その底には、ユーモアをこっそりと楽しむ感じ。
 4つの楽章全体を通して聴くと、明快で分かりやすく親しみが沸く。通称名が付いている点からも、当時から人気にあった交響曲と推定される。No.67と比較して当時から人気がある作品と思った。何度も聴くとなると、No.67の方に軍配を上げたい。しかしこちらの方が、この後に続くパリ交響曲シリーズと遜色はないと思う価値あり。後年のモーツァルトやベートーベンなどは、この曲を見本として作曲したのではないかと思った。
 ドラティ盤は第2楽章のテンポがAdagioでなく、Andanteの様な速いテンポ。フィッシャー盤と比べると、さらりと流している。また提示部の繰り返しがないので、かなり演奏時間が短い。(5:03)作曲者の指示を重視すれば、フィッシャー盤のAdagioに近いテンポをとるべきか?各楽章でのsoloの活躍は殆どなし。各solo楽器の音色を楽しむ点からフィッシャー盤の方を取りたい。

(2010年1月3日追記 タグとして2010年2月2日とする)
2013年11月2日 デイビスを聴取。元々デイビス盤はテンポが概して遅いが、この第1楽章は極端に遅めの印象。作曲者の指定はVivaceとなっており、これを遵守したのが、本来のテンポかもしれないが。今まで特にフィッシャー盤では、かなり速いテンポに慣れていたので、戸惑い気味。
 その分、各パートがホグウッド盤並に比較的細かく聴き取れる。T5で早くもVc.が単独で引く。これに引き続き、T15ではvc.に加えてbass.がユニゾンで引くが、この音域の広さにびっくりする。(それまで、低音域でbassが出現しなかったので印象的)デイビス盤はcmb.が入っているが、中期のhob−Np.−42の第1楽章の展開部でも同様だったが、独自の動きがある。概して展開部を中心に、ピアノの箇所で、ユニゾンで持続音をを長く引く箇所で、cmb.の装飾音でアクセントとしている様だが、No.42ほど目立たない。それ対して残りの3つの楽章は、比較的テンポは3者と同じ。各楽章でfg.が活躍するので、デイビス盤ではこの音色がよく聞こえる。
2018年6月13日 69番 ホグウッド The Academy of Ancient Music を聴取。ホッグウッドは繰り返しを忠実に守る。No.34や72から引き続き聴取すると打楽器群が追加となる。弦の奏者もさらに増えているようだ。
 緩叙楽章では、11:10で演奏時間では全体の約半分を占める。弱音器を使用したvn.が中心だをが低弦を含むパートも、bassとの分離が随所にあり引き立てていると思った。しかし全体的に聴き通してみると、ホグウッド自体の特徴は初期の頃と比較して、余り目立たない印象。

2018年9月26日 ベーラ・ドラホシュ  ニコラウス・エステルハージ・シンフォニア No.69を聴取。No.69.89.91の3曲を収録。全曲を通して分かりやすい曲のひとつであるが、パリセットと比較して、概して私には、「大味」の印象が根底にある。Finaleでvn.が中心でありながら中間部の短調を挟んで、流れるように進んでいく。2つのvn.パートとその他のパートとで掛け合い、対比などが様々に繰り返しがなく展開していく。流れを重視している自然な解釈だと思った。なお、No.86で音の歪に関して記載をした。アンプの調子がよくなかったのが原因だった。
2019年4月24日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 24番を聴取。ニックネームが付いた曲のひとつで、当初から自分なりにランクを上げていた。No.66-68の3曲のセットから引き続いて聴取すると、No.69−71は、どちらかといえば、最近は、やや魅力にかけている感じを受ける。分かりやすさを前面に押し出しその分、何度か、指揮者や奏者を変えて、聴いてみても逆に余り曲から見えてくる特徴が分かり難い。平易に書かれている分、背後にある仕掛けなどが余りない方かと最近、感じている曲のひとつ。
 ハイドンの交響曲の面白さのひとつには、冒頭からの主題にインパクトにあると思う。インパクトという表現は、「どかん」や「迫力さ」とは違い、弱奏や強奏は問わず、主題の中の動機がポイントになると思っている。ひとつ前のNo.68 第1楽章の冒頭の8分音符の動機。僅か約1小節単位でしかないが、一度聴いただけで、直ぐに記憶に残る。この短い動機が展開、対比、受け渡されていく面白さ。この面白さが聴取記録に反映されていると思っている。
 一方、こちらの第1楽章の冒頭の動機は、主に2つのvn.とob.で演奏されるが、それとなく印象が余り残らない。


井上著でも、Finalは「冒頭の主題はリズミックで短調を含む転調が多く、管楽器のsol0が入るなど、全曲の中で一番面白い」と記述がある。Finaleの冒頭の動機は確かに、第1楽章の冒頭と異なり、リズミックはうなずける。それに加えて8小節中に、スラーを含む部分や対位法的な部分もある。T30からva.で長い持続音が入ってくる。この音程の開始のタイミングが少しずれながら、その後、ob.などの他の楽器い受け渡される。冒頭の8分音符の動機とは明らかに異なる雰囲気に展開していく。この当たりの起伏を含めた表現などは、何度か、聞き比べてみないと分かり難い。メルツェンドルファー自体での特徴は今回、余り見出せないが何度か聴き通していく中で、新たな点が分かった次第。録音は普通。

2019年6月14日 69番 N マリナー を聴取。マリナー盤を収録順で聴取すると、No.60.63.69と、C調が同じ様に続いている。No.60.63はオペラ時代で、ツギハギの様な雰囲気が多いが、No.69は、作曲年代が下がり70番台のスタイルに近い。マリナーの録音はNo.60.63と同じ頃の1981年3月になっている。同じ指揮者と奏者と思うが、減の奏者がNo.60.63と比較して、やや多いような雰囲気。管楽器と打楽器群も交響曲の様に、随所に登場している。
 メルツェンドルファーの場合、Finaleの冒頭では2つのvn.の対位法的な雰囲気が余り目立たないと記載した。(下記のブログ) マリナーの場合は、2つのvn.パートは対等に演奏。


http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1155.html
 69番 ジョヴァンニ・アントニーニBasel室内管弦楽団 

2022年7月18日 69番 ジョヴァンニ・アントニーニBasel室内管弦楽団を聴取。No.69は自筆楽譜が存在しないようだが、出版は多くされているようだ。冒頭の速度指定はVivace しか記載がしていない。過去の指揮者はこのVivaceの趣旨に沿って、かなり速いテンポで演奏することが多い。しかしアントニーニの場合は、Vivace どころか、かなり遅いテンポで終始、通している。遅いテンポを利用して、逆に音量の変化が目立つように仕掛けている雰囲気。展開部の最初の部分。音量が次第に落としていく中、T84で休止を挟んで、大きな音量となる部分。音量を落としていく箇所でも、ゆったりとしたテンポなので、この違いがよく分かる。
 緩徐楽章で、No.61の第1曲目に触れた、 H C  Robbins Landon が指摘した PERDENDOSI の部分。提示部と再現部の終わりの2か所にある。No.61、No.66よりもこの該当する箇所はNo.69では 8小節にもわたって長い。CDのテーマとして、最後に一番の聴かせ所として、この曲を収録した意図があると思う。
 例によってライナーノートの Mamagunum Photo の表装について。今回は、スペインの女性  Cristina Garcia Rodero となっている。 Voodoo に関連して数回、 Haiti を訪問しているなど、ユニークな経歴のようだ。
  No.69のFinaleの最初の部分。わずかだが左側の少し端の方で、楽器から発生するとは異なる音が少し入っている。中央付近の前の方だと、指揮者の動きが時折、今まで入っているときがあった。しかしこの音は左寄りの方で、指揮者とは異なる位置のようだ。録音会場についても調べてみた。 Don Bosco Basel=バーゼル大聖堂 となっていた。Basel市内では有名な教会のひとつ。高い塔が2つあり、塔の位置から市内が一望に見渡せる。観光スポットでも有名で、ホールはステンドグラスが多くある。 
Youtubeの映像でも気になった録音会場だった。ホールの内部も訪問者のブログなどにアップされている。観客の椅子は固い座席になっている。(youtube でも観客の様子は映像で時折映るが、空席の状態は分からなかった) 残響はあると思うが、観客のいるとき、収録のときの無観客での音の差があるのか? Youtubeの映像では、ライヴで観客の入っている音になっている。過去のNo.67などの映像をみても、CDとはそれほど差がないように私には聞こえる。アイゼンシュタットのエステルハージ宮殿 ハイドンザール は、観客の有無で残響時間が異なることが記載されていた。一方、この教会では、観客の有無で、それほど差がないのかもと思った。