ハイドン交響曲通しNo. 1-10

CDソフトの調子が悪いのか、フィッシャー盤が再生できず。ドラティ盤のみ聴取。No.53と同じ様に序奏があるが、こちらはAdagio　maesutoso。序奏は後から加筆されたのかもしれない。主部との対比は十分。Prestoの第1主題は、hr.で提示されるが直ぐに弦に受け継がれる。一瞬、No.72の主題と間違いそう。主部はテンポが早いこともあり、中規模のソナタ形式。
　第2楽章は、この頃に定番になっている弱音器を使用。謡う様なゆったりとした長い旋律は、古典派というよりもロマン派の音楽に近い雰囲気。第2楽章の再現部の終わり方で、カデンツアに入るような経過部分がある。ドラティでは弦の合奏になっているが、フィッシャーでは弦のsoloかも。第2楽章は中規模のソナタ形式であるが演奏時間もかなり長い。(11：03）
　Menuetのtrioは、各楽器で聴かせるところであるが、今回はfg.のsolo。Prestoのトータル時間で見ると、ドラティ盤はフィッシャー盤と比較して、かなりゆったりめのテンポか。後期の交響曲の様にときおりユーモアのある、さらりとした雰囲気が漂う。
　楽器編成はかなり大きな2管編成でtrioでfg.のsoloはある。しかし、期と共通するのか、全般的にｓｏｌｏの活躍が少なくなっている。特にｆｌ.は2本使用は、今回のシリーズで初めてであるがsoloの使用は目立たない。逆にfgはtrio以外に、Finaleでも時々聴かれる。No.53ほど派手な演出はないが、こちらの方はじっくり聴かせるタイプ。
（2020年1月1日追記　タグとして2011年1月21日とする）

　2009年12月2日、フィッシャー盤を聴取。たまたまCDソフトの再生がうまくできなかったかが原因かもしれない。第1楽章は序奏の価値が大いに発揮、やはりNo. 72の主題と間違いそうな雰囲気。第2楽章は楽器の細かい音色が、ドラティ盤以上に聴き取れる。特に再現部の終わりの方で2つのsoloのvn.が細かく聴き取れる。第2楽章は第1楽章以上に、弱音器の音色を十分に生かした効果や不協和音の面白さ。第3楽章でのMenuetのtrioのfg.の効果など楽器の音色を堪能するには、この頃でイチオシの交響曲だと改めて、痛感する。
「2009年12月3日　追記　井上太郎著　ハイドン106の交響曲を聴くからの考察」楽器編成に関しては、trp.とtimp.が後から追加となっている版があると記述されている。ドラティ盤とフィッシャーは共に、両者が追加となっている。これに関しては合点がいく。ただし、第1楽章で第1主題がtrp.により提示されると記述がある。しかし2つの録音は、全て、hr.による提示。この当時は、各種の版が出回っていたようだ。個人的には、trp.よりhr.で良いと思う。スコアを見ながら3者の演奏を聴取。聴き通している中で、聴衆向けの理解を意識した典型の交響曲のひとつ。

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2012年12月23日　デイビス盤を聴取。デイビス盤では、同じCDに入っていて、Hob　No.では、ひとつ後のNo.55に続いている。デイビス盤では　trpとtimp．が入っている。第1楽章はhr．のみで提示。
　第2楽章の終わりの方で、フェルマーターが入り、カデンツア風の部分に突入。スコアではsoloの指定はないようだが、雰囲気的には２つのvn．パートによるカデンツアに位置する。かなり時間に長い緩徐楽章であるが、やや短めな展開部でバランスが取れている。この後にに記載するNo.55　hob-No.-62　の緩徐楽章とは対照的で飽きさせない。
　Finaleで管楽器が随所で5-6小節にも渡って、ずっと持続音がある部分など楽器の音色も楽しめる。(提示部ではob．だったが再現部はfg．と対比的）
　ついつい先ほど聴いたhob-No.55と対比しがち。しかしこちらの方は、楽器編成が大きくなっていること。また明るい調性のこともあって印象が深い。演奏時間もNo.54は約20分に対して、こちらは約27分。規模が大きくなっている。名前の付いている曲は、ランクが高いことが多い。しかし、この2曲のみを比較してみた場合、こちらの方はランクはBとするのでOK。もう少し注目がされても良いと思う曲のひとつのは前記したとおり。改めて同じ印象を持った。

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2013年9月15日　追記。　ホグウッド盤.は、2つの版での演奏を収録。以下は、最初の版について、記載

1st.　vertion　　　　
No.　楽章　テンポ　等　　　　　　　　　　　　　　　　　　
5　　Ⅰ　　Presto　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
6　　Ⅱ　　Adagio　assai　　　　　　　　　　　　　　　　　
7　　Ⅲ　　Menueｔ:AllegrettoーTrio　　　　　　　　　　　　
8　　Ⅳ　　Finale　Presto　　　　　　　　　　　　　　　　　
9　　Menueｔ　and　Trio　in　C　major：allegretto(1773-1774)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
10 　Finale　in　C　major　puretissimo　(1773-1774)　　　

こちらは序奏がなくいきなり始まる。第1楽章は、Prestoのテンポを守り、今までの３者の演奏の中で一番速い。楽器編成も、tip.　timp.　fl.　が入らず。この主部は冒頭の第1主題の管楽器と、弦の対旋律の動機のとの掛け合いが面白い。ホグウッドでは各パートがよく聞こえるので、T90のsolo　と記されている　Fg.と　va.　Vc.　+　bass．の微妙な掛け合いが、じっくりと聴ける。
　 No.56から引き続いて聴取すると、このNo.57の緩徐楽章の構成の共通点と対比が分かりやすい。管楽器の役割がより多くなり、弦楽器と管楽器の微妙なバランスが旨い。石田著の交響曲の生涯でもこの楽章は、「変奏曲と他の形式との融合」の部分で引用がある。1780年代では管弦楽法(ob.とhr.を弦と対比させ、vn.に弱音器をつけて演奏させる）、減7の和音の効果的な使い方。展開部後半の半音階を巧みに利用した緊張感、曲尾で、vn.２声に与えられたカデンツなど様々な工夫がなされており、すばらしい楽章であると記述。
　MenuetのTrioの部分は、fg.のsoloがある。どの演奏家もvn.は本来Fg.より1オクターブ高い。しかしながらvn.よりも、１オクターブ低いfg.の音を引き立てる。Finaleはホグウッドにしては、やや遅めの点であるが違和感はない。No.56は駆け抜けるようなテンポであるが、こちらはfinaleでも管楽器が活躍し、弦の速い技巧をみせるのとは対照的。
　　追加で入っているMenuetはtrp.とtimp．が入っている。両者は同じ調性で旋律も全く違う。1st．version　では、他の楽章楽器編成が全く違うので、この追加のMenuetがはいると明らかに場違い。2nd．　version　の代わりなら違和感は全くなし。
　もうひとつの追加のFinaleは、テンポはより速くなる。楽器編成も先ほどのMenuetと同様に大きくなる。旋律も全く異なるもの。しかしこちらは楽器間の細かい音のやり取りは少なく、音の強弱を中心とした構成が勝る。仮に楽器編成が他の３楽章と同じでも、こちらの方は聴き応えが少ないと思った。異なるversionでのFinaleの比較は、No.53もあるが、こちらは今後に残しておく。

引き続いて、新たに、作曲された第2版を聴取。
2nd.　vertion　　　　
No.　楽章　テンポ　等　　　　　　　　　　　　　　　　
5　　Ⅰ　　Adagio　maestoso　-Presto　　　　　　　　　
6　　Ⅱ　　Adagio　assai　　　　　　　　　　　　　　　　
7　　Ⅲ　　Menueｔ:AllegrettoーTrio　　　　　　　　
8　　Ⅳ　　Finale　Presto　　　　　　　　　　　　

　楽器でTrp.　timp．　fl．2本が加わり編成が大きくなる。新たに追加された序奏から始まる。同じ指揮者が演奏しているので、基本的な解釈の差はない。後で追加となったfl．は独自の旋律が殆どなく管楽器の補強で入った感じ。初めてこの曲を序奏付で接すると序奏がない分、物足りなさがある雰囲気。これは、hob－No.ー53でも同様。(No.53も後から序奏が追加となった）
　第2楽章では全くfl．は使用されない。少し前の交響曲なら、ob.がfl．と持ち替えるケースがある。後から、追加でこれらの楽器が入ったためなのか、fl．の役割が少ない雰囲気。基本的には同じ演奏なのに演奏時間が5分以上も長いが、違いが分からない。繰り返しの採用は同じなので単に、こちらの版のテンポを全体に落としている違いのみかもしれない。
　それに対してFinaleは少しテンポが速めになるのと対照的。ホグウッドvn.では各パートの細かい動きがポイントと思う。このため第1版の方がベター。ただし、こちらの序奏がないので、できれば序奏のみを付け加えたものがあればさらに良い。

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2018年7月15日　ヘルムート　ミュラー＝ブリュール　ケルン室内管弦楽団No.54を聴取。このCDは54.55.56の３曲が収録されている。ミュラー＝ブリュールでは3枚目の聴取。奥行き感がやや不足気味。第2vn.は左側に位置しvn.パートの掛け合いが余り楽しめない。Finaleで第2vn.等でシンコペーションの対旋律が随所に登場する。掛け合いが余り楽しめないのが残念。