音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.57 hob-No.50   
2023年8月27日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
57 50 1773 C 4 -  -  - - (1) C Finaleが調を変えた単一の主題による形式。
       1 C Adagio e maestosoーAlleglo di molto
       2 G 2 Andante moderate
       3 C Menuetto & trio
4 C Finale、Presto
第1楽章は比較的長い序奏がある。中後期の目安として、この数年先からで区切りを付けた場合、序奏はしばしば登場する。その先駆として考えたとき、序奏のみが後で追加でされた雰囲気ではない。最初からあったような感じである。この序奏はC調で繰り返しがある雰囲気は、 モーツァルトのリンツ交響曲にも類似。主部は比較的テンポが早く、序奏やこの頃の第1楽章の長さと比較して規模が小さい。オペラなどの序曲を転用してきたものか?(提示部と展開部の繰り返しがないのもその要因のひとつ)
 Andanteはvc.のオブリガートが第vn.の旋律と一緒で常に付く。弦が中心で演奏されvc.のsoloが音色の変化として冴える。Menuetのtrioはob.がvn.ともに活躍するが、不思議な雰囲気。Finaleの形式は異色。一度聴くと主部が単一主題によるロンド形式と思い提示部の繰り返しがないと思う。単一主題のロンド形式なら、出だしが提示部同じの提示部でその後、展開部に入ると思う。しかし実際には、提示部が繰り返される。良く提示部を聴くと、同じ主題でしかも全く同じ旋律で属調により第2主題として示される。ソナタ形式を堅持しているが全く同じ旋律なのは珍しい。 全体的に実験的な試みが多い。
 ドラティ盤は、元々soloが目立たないが、Andanteのvc.もオブリガートに徹する。
 井上著では、1773年の作曲でマリアテレジア候がエステルハーザ宮殿へ来場の際に上演された曲とのこと。また、Hob−No.-48は、通称名はついているが、実際はそれよりも前の作曲だった。

(2020年1月1日追記 タグとして2011年1月17日とする)
2011年1月19日 ディビス盤を聴取。通しNo.では、Hob−No.-64の次に収録。私の通しNo.よりは、次のシリーズ(時期)の録音になる。今回はスコアを見ながら聴取。
 第1楽章の序奏は、長いと思ったら31小節もあり。全体が152小節であるから、繰り返しを考慮しないで考えると、序奏は約2割にも相当するのは、かなり当時としてはかなり珍しいと思った。
  Andanteのvc.のオブリガートは、常に第1vn.と同じ旋律でしかも1オクターブ下を引いている、スコアでは、vc.は独自の段でオブリガートと明記されている。Andanteでは、管楽器は、提示部までは全く登場しないが、展開部から次第に入り込んでいく手法は、この頃から登場。楽器使い方についても、工夫がある良い例。
 Menuetのtrioは不思議な雰囲気と記載をした。もう少しチェックをしてみると、trioの出だしは、Menuetの最初と同じ主調で登場。その後、短調にこの主題が転じる。聴衆は一旦、Menuetがないものと不安に思う。さらに調性が変わって、どうなるのか困った雰囲気であろう。その後、通常のtrioが入ってきてようやく安心したと思う。作曲者が味付けを楽しんでいる様な雰囲気が汲み取れる。井上著の本では、バロック的な要素が多いと言うか、No.48と比較をすれば当てはまると思う。ディビス盤でもランクはCで良い。
2013年8月15日 追記。ホグウッド盤を聴取.。このあたりの作曲順番は、完全には確定できないが、通しNo.55 hob-No.48 通称 Maria Theresiaよりも、数年前に作曲、演奏されたらしい。既に、ホグウッド盤では、それより前に、No.48を聴いてしまったので、作曲順番で聴き通しているた多少、違和感がある。
  ホグウッド盤では聴き通しを初めて、trp.とtimp.が初登場。(それより前にも登場しかかもしれないが)従来までは、第1楽章は第2楽章に繰り返しの箇所があったが、この曲では採用されず。ホグウッド盤ではテンポは、比較的早めに終始し、trp,とtimp.の効果は控えめ。第2楽章のvc.のオブリガートも控えめ。Menuettoのtrioの出だしも特徴的なので、繰り返しの記号は省略。Finaleが長くて、テンポ、強弱の変化が大きく休止の多用。timp.はこの楽章で初めて、その存在を初めて誇示するような雰囲気。この曲に関して、作曲者が味付けを楽しんでいると記載をしたが。この頃の作曲の交響曲を他にも聴いていないと、この味付けの意味合いは分かりにくい。(一度、聴いただけでは分かりにくい)ランクはCでよいと思うが、余り知られていないのも頷ける点がある。
2013年9月23日 追記。 ヴァイル指揮のターフェルムジークの演奏。hob-No.-64に引き続いて聴取。trp.とtimpが今回追加となる。テンポはフィッシャーと双璧になるほど、全体的に速め。Tuittiで、vn.が左右に分かれているのが、バランスが良い雰囲気。第1楽章のような、強弱の対比が大きい部分は、迫力が十分。
 一方、第2楽章のオブリガートのvc.は、殆ど目立たない。古楽器を採用しているが、弦楽器の奏者数が多いためか?hob-No.65と比較して、緩徐楽章のダイナミックレンジの広さや、管楽器などの音色の対比や掛け合いが、その分、分かりにくい。Trioの第1vn.とob.のユニゾンの部分などは、現代の楽器のバランスに近い。これまで2曲しか聞いていないが。フィッシャーの気持ちの良いテンポを尊重し、弦楽器のフレージング十分に生かし、古楽器で演奏した雰囲気。
2016年7月10日 ブリュッヘンOrchestra of The Age of Enlightenment  No50を聴取。No.59から引き続くとさらに作曲年代が後になり楽器編成もtrp.とtimp.が加わるが、後期の様なsoloに近い扱いは殆どなし。第1楽章で12小節の序奏の後、T13から第1vn.で第1主題が登場。ついつい、この第1vn.に耳が行ってしまうが、第2vn.以下の8分音符の対旋律も重要。8分音符の旋律は、ほぼ、全ての楽章にわたって登場し、せわしく動き回る。ホグウッドグウッドほど弦の細かい分離感はないが、逆にTuttiで、せわしく動き回る雰囲気が主題に負けることなく演奏されるのがブリュッヘンの特徴。第2楽章 trioでは、弦の各パートが珍しくsoloで演奏。

2017年1月18日 T. ピノック No.50を聴取。順番からすると、No.39のところでは、No.48になる。しかし、各著書から、No.48よりも数年前に作曲されている。No.48を後の方にもってくるために最初にNo.50を視聴。ピノック盤を聴き通して、初めて打楽器群が入るが余り目立たず。それに対してヴァイル盤を再度、その後に聴取。
 C調という明るい調性。打楽器群が加わることもあり、大きな奏者で聴きたい曲の一つ。ヴァイル盤では奏者が多い。第1楽章は、8分音符あるいは時には16分音符のめまぐるしく動く動機が特徴の一つ。ピノック盤はやや遅めのテンポで、この動機が今ひとつ。それに対しヴァイル盤は速めのテンポに加えて、動機を「きびきび」と展開させる。打楽器もアクセントあり。
弦楽器の中でハイドンはVa.のパートを余り重視をせず、低弦と同じユニゾンの旋律個所が多い。しかしT39からの部分で16分音符のトレモロでva.が和音を刻む。この部分は、ピノック盤では余り聴き取りにくい。一方、ヴァイル盤は、低弦と異なりvn.パートに負けず、響きを高めている。各パートの分離感も聴き所だが、この個所一つをとっても印象的。聴き通してきた中と同様、あらためてヴァイル盤の良さを再認識。
 
2017年2月15日 T.ファイ No.50を聴取。3曲目から打楽器群が入る。第1楽章のピノック盤 T39からの個所でも少し触れた個所。ピノックではva.16分音符が目立つことを取り上げた。ファイ盤ではこの部分は余り目立たず。もう少し後の、T39からの経過部の動機。第2主題に向けての属調を確保して行く部分。Vn.パートは、切れのある「きびきび」とした雰囲気が多い。ファイの演奏は、この部分からスラーで演奏をする。T52からのスラーを伴う第2主題へつなげるための、橋渡しの解釈かもしれない。

  No.48と同じC調であるが、こちらはやや古風なスタイル、それでもところどころで面白い解釈がある。井上著にも書いてあったが、第3楽章 Menuetのtrioの開始部分。Manuetの最初の旋律が同じ様に登場し、聴衆はTrioがないと一瞬思う部分。T59まではMenuetと同じテンポを忠実に守る。ファイではT63から開始するTrioの旋律の前の部分。僅か2小節であるが、2つのvn.パートは音量を次第に落とし、しかもテンポも次第に遅くしている。Trioの主題開始に向けて、何か謎がありそうな微妙な雰囲気が伝わってくる。
 2018年5月31日 ベーラ・ドラホシュ/スウェーデン室内管50番 を聴取。ハイドン音盤倉庫の下記のブログにも、No.50.51.52について記述あり。

http://haydnrecarchive.blog130.fc2.com/blog-entry-709.html

モダン楽器のようで第2vn.は右側に位置。2000年の録音で定位感、分離感等の録音状況も良好。No.50は、どちらかといえばNo.48などと比較して、比較的古風な雰囲気でsoloの箇所も殆どない。第3楽章Menuet TrioのT61-62導入の部分。ファイの演奏では、T62で明らかに異なるTrioの旋律のつなぎの部分として、この箇所は少しテンポを落とす。この演奏では通常通りのテンポ。
 4楽章のうち、もっとも面白いのはFinaleだと思う。Tuittの箇所もあるが、弦を中心とした各パートと対旋律が随所に登場。休止と転調など意外な仕掛けがある。ドラホシュは、繰り返しは忠実に採用。テンポの変化などは余りなく流れを重視。しかしその分、強弱と休止の対比は自然な雰囲気。
 2019年4月6日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 50番を聴取。CDの再生不調のため聴取できず。3曲目にあたる。最初の1曲目のNo.48は問題なし。
 
2019年4月14日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 50番を聴取。4月5日に聴取したが、このときは、CDプレーやの再生不良だった。その後、CDプレーヤー自体が不調になり再生できなくなった。このため別なプレーヤで再生を開始。過去に再生できなかったNo.50を再度、再生してみたら良好。同じC調のNo.48で打楽器群が入るのは共通。こちらの方は様々な旋律は余り登場せず、どちらかといえば、古風なスタイルな雰囲気。序奏の後T132つのvn.が登場する。その後、経過部のT31-32にかけて、第2vn.でスコアとは違う音が僅かに入っている。提示部の繰り返しの部分でも同様なので手持ちのスコアの版の違いかもしれない。
 第3楽章 Menuetでtrio は、少し独特。T57からT62にかけて、調を変えてMenuetの冒頭部分が一瞬、登場する。その後のTrioも繰り返しの記号がない。管楽器はob.のみだが、弦楽器とのバランスも良好。Trioの最後は、ob.のみで消えるように柔らかく終わる。その後再度、TuittiのMenuetとも旨く対比。
Finaleの冒頭は、弦楽器のみで2声で登場するのは第1楽章と共通。最初は柔らかく登場し、しばらくは柔らかく演奏しているのも理にかなっている。展開部の冒頭T68からp で開始。しかしその後、T70で低弦が2分音符遅れてさらに休符がある。冒頭の柔らかい雰囲気から旨く対比させている。他の曲だとFinaleの後半で歪が目立つケースがある。しかしこの曲に関しては、歪も少なく録音も良好。
 50番 ロイ・グッドマン ハノーヴァー・バンド

2021年10月19日 50番 ロイ・グッドマン ハノーヴァー・バンド を聴取。3曲セットが収録されていて最後の3曲目。この曲のみ打楽器群が入っている。Timp.とtrp.はセットになっていて右側に位置。左側のhr.と対比させているようだ。グッドマンの過去のCDでも4人のhr.の曲の一部では、左右に分かれて演奏していた曲もある。打楽器群とhr.とをうまく分けているのは効果的。
 過去のグッドマンのレビューでも、古楽器を使用している記載した。しかし余り古楽器の音色は私には聞こえない。むしろモダン楽器に近いような音色の雰囲気。録音のレンジが広く弦の奏者も多いようだ。 演奏スタイルが、N マリナーのように、透明感が高いようだと思う。ザロモンセットなどの後期の交響曲では、少し物足りないようなレビューを書いたこともある。それに対して中期より前の交響曲は、各パートのくっきりしながらも、弦の厚みのある音色が印象的。N マリナーの場合は、vn.は対向配置でない。モダン楽器を使用し、大半の曲はcmb.は使用しない。しかし演奏の解釈は、N マリナーの雰囲気に近いと感じる。
 Finaleの展開部のT98からの部分。提示部からこれまでの部分は、対旋律を伴いながらも各パートは大体、同じ出だしで終始をしていた。T98で管楽器と弦楽器が分かれて、休止符を挟みながら掛け合う箇所。突如、短いながらも緊張感が増している箇所。単に聞き流してしまうと一挙に終わってしまい違いも余り分かり難い。しかし様々な奏者でスコアを見ながら聞いてみると、意外なところで仕掛けが楽しめる。この演奏でも弦と菅とが分かれていて興味深い。50番 ロイ・グッドマン ハノーヴァー・バンド