ハイドン交響曲通しNo. 1-10

音楽聴取記録（交響曲の聴取　各曲の聴取記録　通しNo.49　hob-No66）
2022年1月1日　更新

通
No

Hob.
Nｏ.

通称名

作曲年

調性

楽
章
数

ｆｌ

ｆｇ

trp

cl

timp

cmb

ランク

聴きどころ、ポイント

49

66

1769

A

4

-

1

-

-

-

(1)

D

Menuettoで、3拍子と4拍子が混同されてせわしい。

1

A

Vivace　e　con　spritio

2

D

Andante

3

A

Menuetto　e　trio

4

A

Finale；Presto

Vivaceは中規模のソナタ形式。第1主題の後、比較的長い経過部があって第2主題に続く。展開部は長く第2主題が僅かに出現しながら、第1主題との対比を行なう。２つの主題が旋律的に余り特徴がない。
　Andanteは管が入っているが演奏時間は第1楽章と同じぐらいだが、特徴のない雰囲気が続く。Menuettoでは、3拍子と4拍子が混同されていて、せわしい。スコアでもう一度、拍子について確認をしてみた。もともとの3/４拍子は終始変わらず。装飾音で低弦とともに強調された箇所が、1拍目から次第に2拍目、3拍目に移動している。このため楽譜の上では、拍子は同じであっても、聴いてみると拍子が混同している様に聴こえる。実験的に作曲してみたのであろう。trioでは管が休み弦のみで終始する点なども、オーソドックスな以前のスタイル。
　Finaleは、ｈｒ.のファンファーレから始まる。聴き通してみて中期でも少し前の様な雰囲気で特徴が少ない。
（2019年12月31日追記　タグとして2011年1月9日とする）

2011年1月9日ディビス盤を聴取。Vivaceの第1楽章は後半の繰り返しあり。Finaleはファンファーレ風に2本のhr.が活躍する。曲そのもののランクが低いこともあって、ディビス盤で薦める点も特になし。

2011年6月28日スコアを見ながら3者の演奏を聴取。全体的に、こじんまりとした印象は、前記した通り。４つの楽章で一番面白いのは、Finale。後のNo.73「狩」のhr.の構成を予見させる。展開部のエネルギッシュな雰囲気も類似。
　デイビス盤では、Finaleの終わりに近い部分で各弦は、「p｣の指定を敢えて採用しない。元々音量の大きいhr．の音色に負けない弦の音を保って、力強く終わっているのは、特徴の一つと思った。

2013年5月28日　追記。ホグウッド盤を聴取
作曲時期は、1769年頃と記載をしているが、ひとつ前のhob－-No.-58と同様に、少しこじんまりとした雰囲気が似通っている。このためか、井上著でもNo.58と対比させている記述がある。A調ということもあり、明るい雰囲気。緩徐楽章は、管楽器が入る。finaleまでは、hr.の活躍がなかった。しかし、finaleで活躍。ただしNo.73と違って大きな華やかさではない。

2013年9月22日 Daisys 氏（ハイドン音盤倉庫）ブログの中で、評価の高い演奏の一つのCDを購入。ブルーノ・ヴァイル指揮のターフェルムジークの演奏の７枚組。今回は、作曲順番に聴き通すため今回は、No６５からスタートで最初の１曲目となる。初めて聞くこともあり、楽器編成や配置などが最初に気になる所。古楽器使用であるが、ホグウッドよりも奏者がかなり大きい。第２vn.が右側に位置しているので、このパートの細かい音色が聞き取りやすい。第１楽章の後半の繰り返しはなし。
　第２楽章は、管楽器と弦楽器の音色の対比が、今までの４人（ドラティ、　フィッシャー、デイビス、ホグウッド）の中で、一番目立つ。これは録音の状況にもよるかもしれない。冒頭のブログで、オケの生気がこれだけ素晴らしいと記載がしてあった。ライブ録音のような、歯切れの良い雰囲気、かけ抜けるようなこ気味の良いテンポは、４人よりも抜けていると認識。４人の指揮者の演奏なら、当初のランクはDにしていたが。古楽器で弦の明るいA調の音色を堪能できる。

2015年4月5日　ゴバーマン盤を聴取。この後に同じA調のNo.６５とセットで聴くと、対比がされて面白い。しかしゴバーマン盤は録音がないので、単独で聴くことになる。 Finaleのhr.やユニゾン効果が少ないことあって、音の溶け合いが今ひとつ。

2017年1月8日　T.　ピノック　No.65を聴取。第4楽章のFinaleはNo.73の予兆の雰囲気であるのは、前に聴取記録にも記載したとおり。一番面白いのがfinaleと思う。ピノックは他の指揮者にも共通した点もあるが、微妙な強弱を加えている。Finaleの冒頭からhrが活躍するが、微妙な強弱を醸しだす。最後の方のT79は、最後のfに向けて、2本のhr.がpのsoli。その後T81では、さらにpよりも音量を落として、弦のパートの呼応。最後のfに向かって進む。
　No59から作曲順にで聞き通すとNo.65が次に来る。同じA調だが、No.59と比較すると、こじんまりとして雰囲気はぬぐえない。

2017年5月20日　T　ファイ　No.65　を聴取。第2楽章は、繰り返しの後半でsoloや装飾を含めた旋律がファイの特徴。この部分も典型的な曲。T15からの部分は、この楽章自体があたかも、コンチェルトグロッソの雰囲気。T15の第1vn.は繰り返し前の前半は通常とおり。繰り返しの後半は旋律を変えての装飾。T16からは、第1vn.はsoloになる。
　　もともとハイドンは、短い動機から主題を構成することが多い。緩序楽章でも当てはまるが、特にこの楽章については、冒頭のわずか１小節とそれに続く２-3小節が中心となる。特に冒頭の第1小節は、いたるところで楽器を変えながら繰り返される。（モーツァルトやロマン派などの長い小節からなる主題とは対照的）
　緩叙楽章でvn.のsoloの箇所があるセレナード、デベルティメントなども同様に見受けられるが、概して主題の旋律自体が長い。それに対して、この楽章はとても短い部分から構成されている。短い主題のために逆に楽章のいたるところに飽きさせない工夫をする。工夫のひとつには、装飾やsolo、弦のピチカートの変えるなどの手法がある。ファイの演奏では、この解釈を通している。交響曲の後期に近くなると、この手法は減ってくる。
　作曲順番と通し番号では、No.５９に引き続きいている。同じA調の調性が続く。通して聴くと、「こじんまり」とした雰囲気にこちらの方はある。このためか、自分なりのランクはDとしていた。ファイのこの録音でもNo.59の後にもって来ている。しかしこのファイの演奏を聴いてみると、再度ランクを上げるとともに意外な発見もあり。私なりに思うに、３曲のカップリングを選定した中で、再度にこの曲を持ってきたのは、一つ前のNo.59と対比させるためではないか。同じ調性でfinaleもhr.を中心としたファンファーレがある共通点。しかしあえて、「こじんまり」とした雰囲気の中にも、ファイによる聴かせ所があることを示すためだと思った。

2018年４月30日　ハンス・ロスバウト指揮のバーデン＝バーデン南西ドイツ放送交響楽団のNo.６５を聴取。過去の2曲（No.19、12)では、緩叙楽章を中心に記載をした。この第2楽章では、過去の２曲とも共通している部分がある。テンポはやや遅め。ファイなどの演奏では、強弱となどの随所で工夫をしている聴き所がある。(下記の過去のブログを参照)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-719.html

一方　ロスバウトの方では、モノ音源ということもあり分離感が乏しい。No.12、19の第2楽章では、弦楽器のみであったが、この曲では管楽器が入る。管楽器の奥行き感が余りなく音量も不足気味。Finaleのhr.のsoloも余り目立たず。

2018年6月30日　パトリック・ガロワ（Patrick Gallois）指揮のシンフォニア・フィンランディア　 65番を聴取。もともと最初の頃は自分なりにランクを低くしていた曲。ファイの第2楽章で、繰り返しの後半の装飾など小味が効いたような特徴があり、ランクをもう少し上げても良いと思うようになった。Vn.が対向配置でない場合、２つのvn.パートの違いが分かり難い。ファイ盤などは、分かれているので、この点は有利。
　一方、ガロワ盤でも分かれているが、ファイ盤以上に弦5部の分離感が優れていて、パート間での分離とTuittiの差が興味深い。ハイドンも多くは２つのvn.パートが同じ音程で引く箇所が多い。しかしこの曲に限っては、オクターブでない音程で、第2vn.が音域は低くても対等で掛け合っているのが印象深い。たとえば、T37からの第2主題の提示部分、ここでも２つのvn.パートが対等に聴こえる。低弦は、８分音符で常に同じ音程で支えているので、第2主題でありながらも、冒頭からの刻む様な印象が根底にある雰囲気。展開部と再現部の繰り返しの後半では、vn.　Soloによる即興の箇所もある。
　第2楽章は、井上著では「さして特徴はない」と記載されている。しかし冒頭に少し記載したように、緩叙楽章でありながらも短い複数の動機から様々に展開されていく醍醐味がある。

　第3楽章も井上著では「月並み」と記載されている。確かにリズムの点で、少し面白みがあるが。Menuetの主部で、最初は３拍子の通常通りになっても、アクセントに位置が変わって４拍子の様に聴こえる箇所がある。ガロワの演奏は、テンポがかなりゆっくり。出だしからしてノリントンとは少し違うが、ノンレガートの扱いが、やはり独特。(T1の４分音符)

Finaleは今まで余り活躍しなかったhr.が登場。狩を思わせる旋律で、No.75のFinaleにも主題が似ている。また展開部の中ほどで、短い動機がT50から第1vn.で提示していく部分。この動機は既に提示部でも登場はしているが、No.75のFinale展開部でも盛り上がりを想像させている雰囲気。第1楽章にも記載したが、２つのvn.パートはTuittiのユニゾンで同じ音程もあるが、変えている箇所も多い。この違いがいたる所で堪能できる。
この楽章は、様々な主題が、強弱や調を変えながら登場する。演奏自体は、繰り返しを全て採用してもガロワ盤で5：06しかない。しかし井上著にも「この曲で一番面白いのはFinale」と記載されて記述には納得する。他の曲と比較をしても、じっくりと効かないとこの曲の面白みは判らない。モーツァルトの様に、平均的なオケでも引けている曲とは大きく異なる。なぜハイドンは演奏家によって聞きどころが違うのか？　モーツァルトは違う魅力を改めて認識することをこのガロワ盤を通じて思った。

2019年3月29日　エルンスト・メルツェンドルファー　ウィーン室内管弦楽団　29番を聴取。この曲で一番、面白いのはFinale。狩のようなファンファーレから始まり、様々な動機が、展開していく。以前　P　ガロワで、特にFinaleに関して、vn.を中心としたTuittiでの迫力がある点を記載した。

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-942.html

T50からの第1vn.の鋭い切れのある旋律が、跳ね回るように聞かせてくれる部分。残念ながが、ここでもob.の和声の音が表に出てしまう。

2020年4月14日　65番　ジョヴァンニ・アントニーニ　カンマ―オーケストラバーゼルを聴取。No.67から引き続く。一つ前のNo.67と比較して、作曲年代がさかのぼること。疾風怒濤期の頃で、音色の変化などは少なくsoloの箇所が少ないため、No.67とは対照的。曲自体の音色の変化の楽しみはその分、減ってくる。
　冒頭の第1楽章から弦のキレはNo.67と同様。私は弦楽器の奏法について詳しくは分からないが。Tuittiの冒頭の４分音符。Youtubeの映像(下記のアドレス)でみると興味深い。vn.の奏者は冒頭から　下げ弓から開始していくこと。映像ではよく分かる。

https://www.youtube.com/watch?v=BvL4u4U4v2k

CDの方は、奏者の数はNo.67と同様に６：５：４：３：２
一方映像の方は、一人少ない５：４：２：２：２
Fg.も１名になっている。作曲年代やfg.のsoloがあるかどうかで奏者の数をライブでは変えているのかもしれない。映像の方の詳しいデータは不明だが、この曲の後に、no67が続いて演奏をされた様に思う。No.65とNo.67は同じ会場。No.65が終わった直後、舞台の中央寄り、やや左側から一人の男性が舞台の登場してこの映像は終わる。
　No.67でこの男性のことは書かなかった。No.67では第1、２、３楽章が終わって、楽章の合間に朗読が入る。担当しているのはこの男性の様だ。本を持って曲に関することを語っているようだが。ドイツ語でしゃべっているので私にはこの意味が分からない。No.67の映像は、冒頭は、この男性が登場しない。しかし第23楽章ご終わってからは登場している。　第1楽章の冒頭の登場したかもしれないが、映像ではカットされたかもしれない。