音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.38 hob-No39

2023年7月29日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
38 39 1765 g 4 -  -  - - (1) C
       1 Alleglo assai
       2 Es Andante
       3 g Menuet
4 g Alleglo di molto
gの調性にも共通するが モーツァルトのkv190 小ト短調の交響曲の雰囲気に類似。(特に第1楽章) 編成は4本のhr.であるが、soloとしての活躍は殆ど見られないのは 物足りない。
 井上著で悲劇的で「たたみかける」第1楽章の要因として、第1楽章の譜面が例示されている。それによると14小節の第1主題の中で休止符が入っている。これによって、たたみかける印象が効果的になっているとのこと。実際、休止効果は十分にある。
 管楽器はhr.以外は、fl.だがob.のやや冷たい印象がMenuetの主部では弦のユニゾンで生かされている。trioの音色と対照的。フィッシャー盤では、Menuetではob.とともにvn.のsoloとして僅かに聴かれる。数年先で第2期の短調シリーズと比べると迫力、構成などはまだ及ばない雰囲気。
 ドラティ盤は全般的にテンポがゆっくり。cmb.の音が大きすぎて耳障り。音のつくりがやや平面的に思った。
(2019年12月30日追記 タグとして2010年12月27日とする)

「追記」 10月3日、「名曲の楽しみ 吉田秀和」の番組にて、トレバー・ピノック指揮イングリッシュコンサートの演奏を聴取。フィッシャー盤と比較してテンポは比較的ゆっくり。cmb.を使用しているがドラティ盤と比較して控えめ。第2vnは右側に位置。(対向配置)弦楽器の編成がドラティほどではないが比較的多い様だ。第1楽章で、たたみかける情熱的な演奏とは大きく異なるし物足りない。第3楽章のMenuet提示部でもob.のユニゾンが余り目立たない。Finaleも第1楽章と同様な、たたみかける厳しい雰囲気は伝わっていない。あらためてフィッシャー盤の良さが引き立った感想。
2010年12月29日 ディビス盤を聴取。第1楽章のたたみかける印象はあるが、フィッシャー盤には及ばない。井上著では、4本のhr.が効果的になっている理由として、G管とB管が2本づつ効果的に広がって演奏していると記載がしてあった。hr. の広がりはフィッシャー盤と比較して余り効果的でない。やはりフィッシャー盤を取りたい。
2011年4月1日 スコアを見ながら3者の演奏を聴取。g−molの調性とfl.を含まない編成が効果的に現れている例。4小節の主題の後に休止があると前記した。休止の間は1小節近くにも渡る。休止は最初は全ての楽器が休止をとる。しかしその後は、旋律を受け持つ第1、2vn.は休止があるものの、低弦は休止しない。その分、逆に曲の流れが途切れることもなく緊張が増してくるのが効果的。第1楽章は弦が中心ではあるが、ob.がユニゾンでない箇所も多い。それに対して4本のhr.(調性が異なる2本づつ)は和音で支える箇所が多い。しかし4本を同時に演奏する箇所は殆どない。第2楽章は管楽器は休み。しかし第3楽章になると、Menuetの主部とtrioではob.の独壇場になる。また4本のhr.の内、B管2本のhr.のsoliもある。
 Finaleの構成は提示部32小節、展開部38小節、再現部25小節。長い提示部では転調が激しい。一方再現部は極度に圧縮されている。繰り返しがあっても、なくても駆け抜けるように厳しく終わる。
 Menuetの主部では、ob.のsoliの指定はスコアではないものの、フィッシャー盤では第1、2vn.は、soloの様に音量を落としてob.を引き立てている。ob.の音色は第1楽章とともに冷たい印象が際立っている。
 フィッシャー盤が一番の、お勧めポイントとしているのはテンポである。第1楽章は、Alleglo asssai の指定であるが、かなり速い。またFinaleもAllegloの指定であるがPrestoに近い。このテンポの速さが、きびきびと引き締まった効果を上げている。もしHob-No-の順番通りに聴き通していたら、一つ前の38番は、C調で第3-4楽章は、ob.が大活躍。同じ楽器のob.が、この曲ではそれほど目立たないが、短調の音色と対象的に聴こえると思う。ランクは当初はCとしたがフィッシャー盤に限っては、ランクはBに上げても良いかもしれない。
 ドラティ盤は第1楽章のテンポは指定通り。後半の繰り返しはなし。FinaleのテンポもAllegloを守る。
 ディビス盤は、テンポに関してはドラティ盤とほぼ同じ。Menuetの主部では、ob.と弦の音量が如何にも「ユニゾン」と言う感じ。バランスが取れている。
2016年6月25日 ブリュッヘンOrchestra of The Age of Enlightenment  No39を聴取。第1楽章のテンポは比較的速め。pとfの微妙なニュアンスを強調するためか、1小節内にも p と f の強弱をつけている。第2楽章は管楽器は一切登場なし。第3楽章でob.がユニゾンで登場する冒頭は、どの指揮者も、ob.を目立たせているがブリュッヘンも同様。Finaleでも展開部 f と f に挟まれた部分の p の表現など(T57当たり)など独自の解釈。
2016年12月24日 T ピノック No.39を聴取  全集のCDは2枚目で、ホーボーケン番号の若い順番から収録されている。作曲順番から聞き始めているのでNo.39が最初となる。(以下、備忘録的になるが今回の収録されている一連の曲で作曲順番に並べると下記の通りとなる。
39、38、26、35、41、42、43、58、59、65、44,46、47,45、48、51、50、49
Hob No.64が収録されていないが、この曲はもう少し後でされた可能性もあるので、1765−頃〜1773年当たりの一連の曲は、大体網羅されている。

 異なる調が2本ずつの4本のhr.が特徴の一つ。この録音では左右に分けられて収録されているようだ。No.6-8と違って転調が多く各パートのsoloが少ない。その分ユニゾンやTuituiの迫力などがポイントの一つになっている。
T7の部分は第1vn.の高い音域の旋律が得てして目立ちがち。残りの第2vn.のパートは冒頭の8分音符の刻むリズムを引き継ぎ、大切なポイントと思う。他の演奏と違ってピノックの場合は、第2vn.が右側に位置していて第1vn.のパートに負けないように演奏。Tuittiやユニゾンの効果がいたるところで生かされる。No.6-8と違って弦楽器を中心とした各パートが鋭く対立し効果的。
 この効果はfinaleも同様。冒頭の第1主題で、第1vn.の下降旋律が目だってしまう。ピノックの演奏は第2vn.とva.のトレモロの旋律も鋭く対立。第1楽章と同様に、楽章全体を通して8分音符を中心とした一定のリズムを終始、通すことが聴き所のひとつ。ピノック盤では、この特徴を良く捉えている。以前FM放送で、この演奏を聴いてきたが一度で終わっており、ラジカセによる聴取だった。あらためてCDでじっくりと聴いて見ると、この演奏は良いと思った
2017年2月17日 T.ファイ No.39を聴取。第3楽章Menuetの再現してくる部分。最初と異なり微妙な装飾を加えている。これまで3曲を聴いてきた中では、このスタイルはない。(後期の交響曲ではラトルがこのスタイルをとっていたのが印象的)
  Finaleの冒頭の主題。第1vn.が主となるT2の上行する2分音符。ユニゾンではなく第2vn.以下は対照的な刻むような鋭い旋律。これとは対照的に第1vn.は跳躍するようにクレッシェンドで演奏する。1小節単位で微妙に強弱を変えている典型的な例。ファイのシリーズの第1曲目 No.40の冒頭でも記載したが同じような特徴。調性、テンポ、作曲者の意図など様々な解釈で指揮者は演奏する。概して音程が上がっていく場合、クレッシェンドの方が多いと思う。
  これまでの4曲を聴き通してきた中では、私には長調の明るい元気のある雰囲気が一番あっている。No.40が最初のインパクトが強すぎて、余り細かいところまでは書かなかった。No.40にはテンポ強弱の微妙な面白さが譜例2箇所以外にも至る所に聴き所がある。全てを記載するには難しい。4曲の中ではNo.40を一番の推薦としたい。
 2019年3月17日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 39番を聴取。作曲順番に聴いていくとNo.31に引き続く。4人hr.奏者が入るのは、ある意味、関連していることが良く分かる。No.31と異なり各パートのsoloの箇所は殆どない分、Tuittiの箇所が多い。管楽器とのバランスがその分、気になるところである。メルツェンドルファーの一連の録音では、この管楽器とのバランスが悪い印象が多かった。 
  しかしこの曲に関しては、管楽器とのバランスがとても良好。弦楽器の各パートのTuittiの箇所では、2つのvn.パートばかりが目立たず、va.以下の低弦もvn.と旨くバランスが取れている。第3楽章 Menuetでもob.は控えめ。Trioでも主旋律を受け持つhr.を引き立て良好。
 しかし使用しているオリジナル音源が各楽章で異なるのか、Finaleでは極端に録音が悪くなる。録音レベルが少し下がりダイナミックレンジも狭くなる。各楽章の録音の差が著しい。Finaleで、短調の切れ味のある締めくくりを期待したかった。しかし録音の差が大きいこともあり印象が低くなる。
 

2019年8月7日 39番 ヘルムート ミュラー=ブリュール ケルン室内管弦楽団 を聴取。つい最近、アントニーニの古楽器に演奏でレビュー済み。(下記のアドレス)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1205.html

こちらの方は、No.37からの同様に、全て最初から緩叙楽章を除いてcmb.が入っている。ブリュールの方は恐らくモダン楽器。音色の対比、アクセント、躍動感に関して既にアントニーニのほうで、最近刷り込まれてしまったのか。こちらの方は印象が少ない。

 
2019年7月14日 39番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ を聴取。第1集の収録順番で1番目に位置。第1vn.から聞き始めると、作曲年代が下がり作曲スタイルも少し変わる。管楽器のユニゾンの箇所が少し増える。この曲は4本のhr.が入るが、録音では左右に2本ずつ、少し離れているようだ。刻む様なリズムとアクセントは、No.1と同様。 元々が短調が基本にあり、前打音を含む、たたみかけるような勢いと休止が効果的な曲。CDのタイトルテーマが  LA Passione に関して。英語のライナーノートではPASSIONN になっているので、「情熱」などの意味合いであろう。
少し前の記述にもどるが、 アントニーニ自身、10歳のときにゴバーマンのLPを聞いて、ハイドンが気に入った記述がある。まだ、ドラティ盤が発売される前のことになるが興味深い。
 情熱のテーマということもあり、冒頭から古楽器を生かしたリズム感と音色は、特徴的。No.1にも記載したが、曲の間が全て、同じ様なリズムや雰囲気ではない。時には、スラーなどを挟む、柔らかい動機や音色が入ることで、アントニーニ対比が効果的。たとえば、第4楽章の展開部T48の部分。提示部から大半が落差のある音程と刻む様な激しいトレモロ旋律が閉めている。T48では、第2vn.が16分音符のトレモロで刻む様な緊張感を維持。その直後T49では一瞬ではあるが、第1vn.のみが8部音符でスラーで柔らかく下降していく部分。P とf の対比はもちろんだが、古楽器を生かして音色のコントラストが印象的。T48はhr.が2本。T50ではhr.がさらに2本加わり4本になる。第1vn.では余りhr.が目立たなかったが。この部分ではT50で2本がさらに追加となった4本のhr.も効果的。
 39番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ 追記 yotubeより

2020年5月3日 39番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ を聴取。このシリーズは当初なNo.1とNo.39のみだと思っていた。No.49も3曲目に収録されているようだ。2番めのNo.39を聴取。


https://www.youtube.com/watch?v=MkNMv9AND1k


元々、弦楽器のキレが特徴の一つ。No.1以上に強弱の対比が目立つ曲。第2楽章のT8でvn.が弱音から高い音域へ一気にf でジャンプするような部分などは、弓の動きがよく分かる。なお、4人の奏者のhr.は、2名ずつ左側に位置。Menuet  Trioの場面でもhr.奏者の画像のアップがないのが残念。
   39番 Derek Solomons, L'Estro Armonico  デレック・ソロモンス レストロ・アルモニコ

2021年12月3日 39番 Derek Solomons, L'Estro Armonico を聴取。この指揮者と奏者は初めての聴取。疾風怒濤期の頃の6曲が2枚で収録。ライナーノートの執筆は中野博詩 氏(現在は故人)の解説があり、疾風怒濤期の交響曲の位置づけなどが記載されている。紙面の都合のためか、あるいは、レーベルの監修に関して不明だが、 H.C.Robbins Lamdon の監修に関する記述はこの部分にはない。(ライナーノートの3ページ目に、Acknowlegements の中で We wish to thank:Professor H.C.Robbins Lamdon と記載されている。今回は2枚組のもので1982年の発売。2枚組の6曲は作曲順に収録されている。第1曲目からの聴取。ライナーノート 中ほど 2人目の美山良夫氏 「新時代のハイドン・ルネサンス」の中で録音セッションの写真を見ると、弦の奏者は下記の通りと記載がある。

3:3:1:1:1

ライナーノートには、奏者の数や氏名の記載はされていないので詳細は不明。ライナーノートの日本語 曲目紹介の最後の部分で「オリジナル楽器を使用した作曲当時のオーケストラ編成による世界発のハイドン交響曲の体系的なレコーディングです」と記載されている。発売が1982年なので、当時としては、初めてのことになると思う。
 第1楽章から小編成の古楽器の音色であるのがよくわかるvn.は通常配置。va.を含む低弦は各1名ずつで計3名。その分、vn.は6名なので、第2vn.は中央よりも右側まで入っている雰囲気。Tuittiでもvaを含む低弦は、vn.の音量に負けないように厚みがある。Va.を含む低弦が各1名ずつ。特にva.の音色に特徴がある。va.を含む低弦でのユニゾンは余り目立たないのは一般的。しかしユニゾンから離れているパートは、明白に聞こえる。第1楽章 展開部 T61からの部分。ここではva.は低弦から離れ、独自の動きになる。右端にva.は位置していないようだが、solo の旋律のように聞こえるのは、特徴的。2名ずつ計4名のhr.は、左側に並んでいる。Cmb.はこの曲は入っているようだ。
 同じ調性なのに、Finaleになるとなぜか、音量が小さくなり、響きが悪い。第1楽章はtuittiではかなりの迫力ある音量を随所に聞かせていた。Finaleになると終始、tuittiでも音量が余り大きくなく、響きが余りない。楽器のせいなのか。録音のせいなのか。繰り返しは忠実に守る。曲の終わり方がやや、不消化気味の雰囲気。

 2022年1月1日 39番 SWF交響楽団 ハンス=マルティン・シュナイト(Hanns-Martin Schneidt)を聴取。下記のブログにもレビューが掲載されている。1枚 3曲のCDで、同じオケが、異なる指揮者で収録。収録順に聴取する。

https://haydnrecarchive.blog.fc2.com/blog-entry-310.html

1994年 2月の録音。残響は比較的多い。モダン楽器で奏者の数は多いようだ。上記のレビューでこの曲に関して「楽章間の対比を付けるというよりは、キビキビした感じを通している」と記述がある。たしかに調性の同じ、第1と3楽章に関しては、速いテンポで奏者の多いメリットをいかした、「きびきび」した印象はうなずける。第2楽章は弦楽器のみなので、テンポも遅くなり、明るく、落ち着いた対比はあるようだ。
 その中で、第3楽章 Menuetは、第1,3楽章とは異なる雰囲気だと思う。調性は第1、3楽章と同じ。音量を全体的に落としユニゾンで演奏する管楽器のob.の音色を前面に出している。合わせて、両端楽章で余り目立たなかった fg.もよくわかる。Menuetに関しては短調ながらも、やや明るい音色を目指している雰囲気。Trioになると調性も変わりさらに変化が大きい。
繰り返しをすべて採用していない。同じオケで収録し指揮者を変えているCDなので、以前、購入したウィーンフィルのオリジナル仕様に類似した考えかもしれない。しかしこちらの方は1枚のみ。選曲に関して、あえてハイドンのみに絞った経緯は不明。一連の指揮者がハイドンの全集、あるいは、それに近い考えで選曲したとは考えにくい。ウィーンフィルのレビューでも記載したが、収録する曲もハイドン以外に、一連のコンサートプログラムが、たまたま間に入ったのかも。もしメインの交響曲の最初として位置付けられるのなら、この曲も繰り返しがないのは、ある意味うなずける。