音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.22 hob-No33

2023年12月29日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
22 33 1762 C 4 -  -  - - (1) D No.38との対比。5年の開き。
       1 C Vivace
       2 Andante
       3 C Menuet&trio
4 C Finale、Alleglo
第1.3,4楽章はtrp.とtimp.が入っているのに対して、第2楽章Andanteは弦のみで演奏は対照的。この主題の持続音が長く、同じ調性のNo.38の第2楽章の主題にも類似。(作曲年代は1767とあり、約5年の開きがある。それに対してNo.38はすばらしい) しかし、ここでは全楽章でob.のsoloはなし。祝典的な調で楽器編成はtimp.とtrp.とが加わるものの、主題の特徴、展開の仕方などは注目する点は少ないと思った。
(2019年12月30日追記 タグとして2010年12月13日とする)
2010年3月12日 スコアを見ながら3者の演奏を聴取。Vivaceは丁度50小節あるが、第1主題こそ明白であるものの、その後の経過部、第2主題などが余り特徴がない。それに対して展開部は53小節と長いが一部の動機をつなぎ合わせたような感じで、こちらも特徴が少ない。
 Andanteは、この頃の特徴でもある弦のみの編成で、soloはない。最初の感想の中でNo.38の第2楽章と主題が類似していると記載をしたが、雰囲気はあっていると思う。
 スコアで見て一番面白いのはFinale。楽章を通して、1小節単位で「pp」 〜「f」までの強弱の指定が細かくある。スタッカートが続いたと思うと、スラーの記号がその後も続いたりの記述がある。提示部の終わりは、「pp」で終わる。それに対してFinaleの最後では、「f」 で終わるなど作曲者の遊び心が見え隠れしている。
 聴き所のポイントでNo.38と比較をした。こちらは、調、編成、楽章数は同じ。各楽章のしっかりした構成、楽章間の対比、楽器の扱い方などが優れている。これと比較すると、やはり約5年の開きがあると思った。
010年12月20日 ディビス盤を聴取.
第1楽章のVivaceは、展開部では擬似再現を含めて、かなり長い。第2楽章は管楽器は休み。短調の調性とも相まって他の3楽章と対比あり。
2013年2月24日 追記。ホグウッド盤を聴取。聴き通してみると、やはり面白いのはFinale。強弱のの対比、弦の奏法の細かい違いなどがホグウッド盤ではより楽しめる。井上著ではFinale提示部の終わりで、hr.の弱音で「ちらり」聴かせる面白さが記載してあった。それまでは、hr.は殆ど活躍をしていないがここでは僅かな箇所とは言え、光る。通してのひとつ前No.36と同様に、このFinaleは、この後に続く楽しさ意外な面白さの前兆を感じさせる。
2019年3月2日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 33番を聴取。調性こそ違うがNo.36と似た様な雰囲気の曲。打楽器群が入るが元々、この曲のランクを比較的低く評価していたこともあり、第1楽章は祝典的な雰囲気とはいえ特徴が少ないと思う曲。
 強弱と音色の対比が面白いFinale。展開部のはじめT51で調整を変えて登場する主題が登場。 弦のパートのみで P を挟んでT55からvn.が16分音符でトレモロで緊張感を高めていく部分。2つのvn.はもちろん目立つが低弦も比較的強調される。従来、obが目立ちすぎていた箇所が多いが、この曲に関しては、ob.はあくまで旋律の補強的な雰囲気。しかし全般的に録音のダイナミックレンジが狭く歪が目立つ。
2023年3月15日 J クランプ ハイデルブルク交響楽団 Johanees klumpp  Heidelberger sinfoniker 33番を聴取。このブログを書き始めた当初は、ドラティ、フィッシャー、  D R デイビス盤の3種の比較をしながら、まとめての聴取が多かった。その頃は、この曲を含めて初期の交響曲を余り聴取していなかったこと。このためか、私自身、この曲の聴き所のランクをDと評価し、Finale以外は、余り聴き所のない曲の一つと記載した。
 確かに、この当時は、この評価でよかったと思う。しかしその後、この曲を含めて初期の他の演奏家を含めたレビューが追加。初期以外に中期から後期の多くのレビューを書いて行くにつれて曲の評価についても、見直しが多くなってきたような気がする。作曲年代がNo.33よりも後になるNo.22は、その典型の一つ。レビューを開始した当初は、ハイドンで唯一、EH が入る曲でありながらも4楽章とも同じ調性に終始。曲自体が散漫な印象と評価をしていた。しかしhr.とEHの溶け合うような音色が印象的はことが加わり、評価を考え直した経緯がある。
 改めて、J クランプの演奏を聞いてみると、やはり 曲のランクをDではなく上げる必要があると感じてきた。第1楽章は初期の交響曲では珍しく、提示部と展開の長さがほぼ等しく、疑似再現もある。長い提示部も比較的長い。51小節の長さだけではなく、冒頭から様々な動機が登場しながら、隠し味のように散りばめられ、速いテンポの中で締めくくっている。様々な動機は、展開部でもふんだんに動機として生かされている。またT21のシンコペーションの動機は、この曲だけでなくしばしば登場する。No.33の Menuetto  Trio の部分でも登場する。
 No.3から聴取をすると打楽器群が入る。調性こそ違うが、打楽器群がはいると、tuittiの音量の差なども気になるところではある。Tuittiでの大きな音量の違いはもちろん、この演奏でもわかるが、やはり2つのvn.の対向配置を生かした効果が大きい。提示部の中で冒頭と小結尾の間の中で、vn.パートが同じ旋律を引く部分はT15とT25の2か所しかない。しかしわずか2か所でも、大きな音量の箇所で左右からvn.のtuittiの箇所の特徴をうまく生かしている。
2つのvn.のパートの掛け合いで同じ旋律が掛け合うのはもちろん対向配置を生かして聴き所になる(展開部T73など)しかしそれ以外に提示部のT27〜T30の休符をはさんで、少しずれて登場する扱いなど、よく使用される方法。スコアをみると、細かい手法が初期の交響曲でありながら、既に採用されている。初期の交響曲は、それぞれ特徴があると思う。たとえば、No.1は「小さな宝石箱」のたとえの様に、コンパクトにまとまってはいる。各主題の特徴、展開の仕方などは、このNo.33と比較すると、どうしても魅力が低いと感じてしまう。作曲年代はそれほど大差がない時期でも、No.33の魅力を堪能させてくれる印象。

 2023年9月25日 33番 ジュヴァンニ・アントニーニ Basel室内管弦楽団を聴取。No.54から引き続く。No.33は 最近、J クランプ ハイデルベルク交響楽団を聴取した。下記にレビューあり
 
http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1478.html

クランプの演奏で、No.32の魅力を知った。アントニーニの演奏も基本的には、クランプと同様に感じる。しかし弦の切れと強弱の差については、アントニーニがさらに増している雰囲気。特に第3楽章  Menuetto とTrioの対比が印象的。 Menuetto の冒頭は、静かな緩徐楽章から一転して、打楽器群が入る音量の大きいtuitti。それに対してTrioの部分は弦楽器のみで 弱奏になる。この音量の対比が印象的。
 No.53、No.54に引き続いて3曲目の収録。奏者は多少入れ替わるが、録音会場などは同じ。弦楽器の奏者の数は、No.53、No.54と同じ。音量はNo.53、No.54と大差がない。この曲は初期の交響曲の一つ。打楽器群が入るとは言え、奏者の数を減らした方が、曲の雰囲気に合うと感じる。 クランプの場合は、初期の交響曲のセットなので、音量はtuittiでもやや小さめなのとは差がある印象。

 ジャケットの写真の Peter Marlow 氏。残念ながら2016年の病没されていた。表紙の写真についてはNo.53にも記載をしたが王冠を被った少年。アントニーニの解説の中で、きまぐれ、機敏、短いなどのCAPRICCIOのたとえに通じていると思う。そのほかの写真も帝国などをキーワードとしている雰囲気。同氏の写真のデータが余り見当たらないので、引用元がよく分からない。しかし一つ前のNo.31のhr.の牛の角、狩などのキーワードなどと同様に、CDのタイトルを象徴している企画は納得がいく。最新版を入手していく楽しみは継続。ファイからスピルナーを経て、クランプ指揮によるハイデルベルクのハイドンの交響曲は、既に、録音を終了したようだ。となると、今後の新譜の私のメインはアントニーニが中心となりそうだ。