音楽聴取記録(交響曲の聴取 各曲の聴取記録 通しNo.17 hob-No.3

2024年11月7日 更新

No 
Hob.
No.
 
通称名   作曲年 調性   楽

 fl  fg trp  cl  timp   cmb ランク    聴きどころ、ポイント
17 3 1761−62頃 4 -  -  - - (1) B 短いながらもカノン風の力強いFinale
       1 G Alleglo
       2 g Andante moderate
       3 G Menuet
4 G Alla Breve
2010年12月7日:

旧番号順の通りに聞いていったら、第2番と第3番の差が歴然とあるのに、びっくりするのに違いない。作曲順に聴いているので、2曲の差があるのは理解済みである。実際、約2−4年の差があるが、楽章数、楽器のsoloの扱い方や音色、展開部の処理などは、驚くほどに進歩が見られる。
 たとえば楽器の扱い方では、第1楽章の第2主題が第2vn.で提示される。Menuetのtrioでは、弦楽器や管のsoloが聴こえる。第1楽章の展開部では、第1主題が擬似再現の様に登場する。これらをとっても、もう中期以降の作品に近いところに来ている。
 圧巻は第4楽章。フィッシャー盤では時間は2分にも満たない。第1主題は モーツァルトの第41番、Finaleのフーガにも似ている。実際カノン風の主題が、息を継ぐ間もないように、一気に終わってしまう。Breveの表示の様に生き生きとしている。 「Finaleがもう少し長ければ」と惜しまれる。もう少し長かったら、第25番を追い抜いていたかもしれないぐらい、立派な作品に聴こえる。
 井上著でも、この交響曲の細かい点まで聴き所が多い点の記述あり。特に展開部で、第1と第2vn.が掛け合いながら、調性が属調、主調、下属調へめまぐるしく変わっていくのは、後年に良く用いられる手法が記載がある。古典派の技法を完璧に身に付けたと表現があるが、ぴったりである。
 実際、中期以降は、展開部の労作が作曲者の真骨頂であると私は思う。特に調性の変化は、この究極であると思うが、早くもこの交響曲で兆しがあった点は見逃せない。冒頭にNo.2とNo.3との差について。soloの扱い一つをとっても、作曲年代がエステルハージ侯爵の時代に明らかに入ったため、soloにも活躍を求めたのではないか。
(2019年12月29日追記 タグとして2010年12月7日とする)。
2010年12月13日 ディビス盤を聴取。第3楽章のMenuetでは、ob.の音がある程度大きく、vn.と同じユニゾンで終始演奏している。ユニゾンの効果が今までの2者の演奏よりもはっきり聴こえる。trioではhr,とob.をvn.以上に目立たせている。このあたりはライブ録音のメリットが現れていると思う。
 Finaleの主題は、第1楽章の主題と明らかに似ている点がある。しかしテンポは大差はないが、カノン風の形式が短いながらも堂々としていて、第1楽章の2番煎じの様な印象は微塵も感じさせない1桁の初期の交響曲としては、やはり聴き応えがある。
2011年3月8日スコアを見ながら再度、3者の演奏を聴取。スコアを見て、意外な発見があったのは、まずは第1楽章。展開部で第1、2vn.が、掛け合いながらの転調を繰り返す。
 次に第3楽章のMenuetのtrioの部分。ob.とhr.にsoliの指示が記載してある。中後期にかけては、tiro、の弦や管での指示は普通になっているが、早くも、Hob-No-3の時点で取り入れてある。フィッシャー盤では、このsoliの指定を重視するためもあるのか、当然の如くこの後に各弦の旋律もsoloで演奏している。
 第4楽章のFinaleは、どの演奏も2分前後ではあるが、単一主題でありながら、各パートが全て、主旋律を受け持っている。Finaleの主題は、第1楽章の主題と大きな変化はない様だ。しかし、ほぼ同じテンポでありながらも、第1楽章とは、がらりと印象は異なる。この原因は、やはりフーガ形式によると思う。楽章の終わりに行くに従って、クレッシェンドなどの強弱の指定はスコアには記載がしていない。曲の終わりに向けて盛り上がる雰囲気の原因は、低弦とhr.の長い持続音の影響か?  3者のどの指揮者も、この短いが凝縮したFinaleを感動的に締めくくるのは、敬服するばかりである。
 ドラティ盤では最初からcmb.が入っているが、第2楽章では装飾的な箇所が多くなる。聴き通してみて、やはり凝縮されたFinaleが一番の聴き所である点は変わらず。3者の中では、やはりフィッシャー盤を推薦したい。小編成でありながらもダイナミックな音量の差が一番、目立つ点からを取るため。
2011年12月31日 追加記載  FinaleのFugaについて。このFugaに偉大さには、過去にも記載をした。当初は、このハイドンがFugaの技法を広めた一人だと私なりに考えていた。
 しかし最近、読んだ  石多著 「交響曲の生涯」によると事情が違うようだ。これによれば、そもそもフランス風の序曲では、Fugaが使われることが原則だった。これにともない、その影響を受けた交響曲も多くあった。音楽様式の主流がホモホニックなっていく18世紀中葉から後半に、その独特な効果を狙ってFugaが用いられた交響曲は多数ある。
 ウイーン前古典派のヴァーゲンザイルは、1746年以前に採用していた記述がある。
 これを参考にすると既にFuga形式は、ハイドンが最初ではないかもしれない。しかし聴き通して行く中、初めてのFuga形式には敬服するばかりである。
2011年12月31日 追加記載  FinaleのFugaについて。このFugaに偉大さには、過去にも記載をした。当初は、このハイドンがFugaの技法を広めた一人だと私なりに考えていた。
 しかし最近、読んだ  石多著 「交響曲の生涯」によると事情が違うようだ。これによれば、そもそもフランス風の序曲では、Fugaが使われることが原則だった。これにともない、その影響を受けた交響曲も多くあった。音楽様式の主流がホモホニックなっていく18世紀中葉から後半に、その独特な効果を狙ってFugaが用いられた交響曲は多数ある。
 ウイーン前古典派のヴァーゲンザイルは、1746年以前に採用していた記述がある。
 これを参考にすると既にFuga形式は、ハイドンが最初ではないかもしれない。しかし聴き通して行く中、初めてのFuga形式には敬服するばかりである。
2013年2月11日 追記。ホグウッド盤を聴取。第1楽章の緩徐楽章では、この頃に見られる弦楽器のみ。ホグウッド盤では、最終楽章のFinaleでは、テンポが速め。
 2015年2月18日  ゴバーマン盤を聴取。緩除楽章では、cmb.が大きめに入っている。呼応する第2vn.の旋律が目だって好みに合う。FinaleのfugaでT115で、第2vn.が主題の上がっていく音程が鮮明に聴こえてくるので、ランクがBであることを改めて認識。
 


2018年2月26日 パトリック・ガロワ(Patrick Gallois)指揮のシンフォニア・フィンランディア No.3を聴取。井上著「ハイドン106の交響曲を聴く」の中で、この第1楽章の展開部の充実について記載がしてあった。短いながらも、提示部で調性やニュアンスの異なる動機が様々に提示され、展開部でもこれが活用されている。冒頭のガロワの第1主題は、第1,2vn.の旋律をあくまでレガート風に引いている。その後、この動機が、T10では歯切れの良いリズムに受け継がれて行くのと対照的。その後、各動機や主題が登場するが、2つのvn.パートを中心に展開されていく。T2では低弦が対旋律の4分音符で連続し引いている。一方T11からは低弦は、4分休符を挟むので、弦のパートで切れるようなリズム感が増しているのが良く分かる

このFinaleはフーガ形式で繰り返しがない。冒頭の第1主題の動機は第2vn.の対旋律を伴う。少し詳しく見てみると、第1楽章の冒頭主題と、第4楽章のFinaleの主題が似通っているようだ。Finaleは僅か132小節で繰り返しはない。ガロワのテンポは中庸で演奏時間は1:57.直ぐに終わってしまうが、弦を中心とした各パートは明瞭に聴き取れる。
 ガロワのこの4曲を聴きとおしてみて、レガートがキーワードになる。レガートでも曲によっては、微妙にことなるようだ。編成はモダンだが奏者もかなり少ない。小編成ではなく、適度な距離感がある。Tuittiでは管楽器は、やや音が少なめな分、右側の第2vn.のパートがわかれていて、弦の各パートが素直に聴こえているのがありがたい。特に第5番 第1楽章のhr を低くしている解釈は独特で、初期の交響曲意外にも聞いてみたいと思った。
  2019年2月25日 エルンスト・メルツェンドルファー ウィーン室内管弦楽団 3番を聴取。作曲順番で聴いていく中では、有名なNo.6〜8の3曲のセットの直前に当たる。エステルハージ楽団の頃になると推定されsoloの箇所が、かなり入ってくる。Finaleのfuga形式は短いが、聴き応えがあるのは他の指揮者でも記載した。この演奏でも同様。奏者の数は中規模だと思うが。繰り返しのない中、終わりの方でT 115からのvc.とbass.の長い持続音もダイナミックレンジが余り広くない録音ではあるが迫力は十分。
 
21019年12月20日 3番 ジョヴァンニ・アントニーニ(Giovani Antonini)指揮のバーゼル室内管弦楽団を聴取。ハイドン音盤倉庫にも好演と記載されている。(下記のブログ)2019年12月の時点で第7集まで発売されている。その内、現在の自分のブログでは、第1〜3集までは聴取済み。音盤倉庫では、この第6集の一つ前の第5集からオケが変わっているとある。

https://haydnrecarchive.blog.fc2.com/blog-entry-1689.html


第1〜3集と比較してオケが変わっているが、私にはその差は分からない。前のオケと同様に、奏者の氏名と使用楽器の履歴が詳細に記載されている。弦の奏者数は下記の通り。
6:5:4:3:2

音盤倉庫のレビューにも記載されているが、 冒頭から古楽器を生かして「キレ」の良い演奏が展開。初期の交響曲だが、No.6〜8の頃の直前に位置する。初期でもかなり年代が経過している曲の一つ。打楽器群は入れないが4楽章形式でバランスが取れている典型。

自分なりにランクを上げている曲で、Finaleのfugaに向けて、書かれている特徴と記載した。T27から f で 音量を上げていき、T27でhr.と低弦を含めて新たな旋律が登場する。ここまでどちらかといえばhr.は余り活躍してこなかった。T27で低弦とともにhr.が入り、あたかも打楽器が入るように音の厚みが加わるのが印象的。

このシリーズは、ライナーノートの写真も興味深い。今回の写真家は、Abbas となっている。下記のmagnum photo のホームページにも記載がある。詳しくは見ていないが、白黒写真が得意で宗教関係の作品が多いようだ。ジャケットの作品にもキリスト関係に由来した作品が多く、関連付けもよいと思った。現在第4.5集はまだ入手していないが。第1から3集を見る限り、ジャケットの表紙はカラーが多い。しかしこの第6集に関しては、著者の近影以外は、すべて白黒写真もうなずける。


 

3番 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ 追記 youtubeより


3番 2020年6月19日 3 ジョヴァンニ・アントニーニ イル・ジャルディーノ・アルモニコ を聴取。2019年12月にCDでのレビューはすでに記載すみ。この時に、youtube のライブ映像があることは知らなかった。No.1 と同様に最近知った。最近、検索をみるとNo.3もライブ映像があった。下記のアドレス。

https://www.youtube.com/watch?v=LrpfpcR0-OI

CDのレビューについては、約半年前にアップすみ(下記のアドレス)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1282.html

この時は、弦を中心としたキレを中心に記載をした。No.1と異なりNo.3はバーゼル室内管弦楽団。オケが異なる。CDにも記載をしたが、オケの違いは私には余り分からない。CDの第6集ライナーノートには、奏者のメンバーと数が記載されている。No.3は、最初の頃の作曲のためではあるが、他の曲(ホーボケン番号順ではNo.26、30,79)も同時に収録されている。No.79は後期に近い曲。このためかNo.3を含めた、1曲ごとの奏者の細かい数は記載していない。一方、Youtubeでは、弦の奏者は下記の通り。CDの奏者も少なくなっている。

5:4:3:2:1

また、fg.は1名となっている。映像での収録年月日の詳細は分からない。1晩に複数の交響曲が演奏されると思う。映像では、bass.の右側奥には、やや高い台があって空席になっている。No.3の演奏順番の詳細は不明だが、作曲年代の曲によっては、bass。の人数を増やしたのかもしれない。fg.は1名だが、soloとは言え、Tuittiでもvc.とbass.埋もれることもなく、映像でもはっきりと聞こえる。
 奏者の服装も面白い。黒を基調とした服装は共通しているが、奏者によっては、柄やデザインが微妙に異なっているのも興味深い。


 2023年1月11日 3番  R グッドマン ハノーヴァバンド Roy Goodman The Hanover band を聴取。J クランプと アントニーニの新盤が随時発売されている。ついつい、最近だとアントニーニの演奏を比較することが多い。No.3 に関しても、Finaleの弦の切れや、強奏でのダイナミックな音量さの対比などについて記載をしてきた。(下記のレビューに譜例あり)

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1282.html

グッドマンの演奏は、古楽器でありながらもアントニーニとはかなり対照的な印象は、今まで記載をしてきた。上記の譜例の部分でも、hr.を含めた低音の強調は余りない。元々のピッチは430となっている。(アントニーニのピッチは、私は分からないが)ピッチ自体が、そもそも異なっているかもしれない。
 奏者に関しては、グッドマンの方は vn.が7名ずつなので多い。しかしアントニーニの方が、やや音量自体が大きく、レンジも広く感じる。録音による差もあるかもしれない。しかしそれ以外に、指揮者のスタンスとして、Articulation, Phrasing, Dynamics, Rhythms などは必要に応じて行うと記述がある。
ごく初期の曲とは言え、1小節の中でも、各パートに思わぬ発見がある鈴木秀美も以前、ライナーノートで記載をしていたが、ハイドンの交響曲には4小節以上、同じような繰り返しがないパターンが多いコメントもあった。全ての箇所がこの様に当てはまるとは限らないかもしれないが。
 No.3は、第1楽章の冒頭の第1主題とFinaleの第1主題が、テンポこそ違うが、類似している。下記のガロワのレビューに譜例あり。
 J クランプ ハイデルブルク交響楽団 Johanees klumpp  Heidelberger sinfoniker 3番 2023年3月15日 聴取。2023年3月15日の時点では最新録音の発売。例によって、収録順に聴取。既に T ファイが、かなりの全集を目指しての録音を終えているので、残りの部分の収録となる。ひとつ前の第26集も初期のシリーズになるが、今回も初期のシリーズを4曲収録。収録の順番も興味深いが、最後のNo.14で記載予定。
  弦の切れやhr.の時折、爆発するようなアクセントなどは T ファイと同様な雰囲気。No.3は、過去のレビューにP ガロワ、 アントニーニ、 グッドマンなどを印象的で、それぞれの特徴がある。 クランプの場合は、過去の録音と同様で低弦を含めた弦の切れが印象的なのは同様。Pガロワなどは、まったく対照的で柔らかさが第1印象。
 第1楽章の冒頭から、主題と4分音符対旋律が印象的。提示部の最後の部分で、低弦が
刻む様に、最初の部分に戻るT47の部分。冒頭に戻るような、雰囲気はNo.40の第1楽章にも類似している箇所。T ファイの場合も、この箇所は、なぜか低弦の切れが印象に残っていた。J クランプも、この切れが印象的。


 

 

202447日 ドラティ盤 No.3を聴取。ホーボーケン順に聴取していくと、No.2No.3との対比が大きい差が出るターニングポイントの最初の部分。No.12にかけては、低弦は、概してユニゾンの箇所が多い。しかし随所に低弦が分かれる箇所あり。 J クランプの譜例の箇所での第1楽章の提示部の最後の部分。レビューでは提示部の最後の部分で、低弦が力強く、切れるように最初の戻る雰囲気が印象的と記載した。

 

http://mistee01.blog118.fc2.com/blog-entry-1556.html

 

 ドラティも同様。奏者数が多いのはもちろんだが、録音のせいか、低弦の厚みが十分。第3楽章のTrioの部分。管楽器の中のhr.が余り目立たない。Finalefugaの動機の掛け合いは、どの奏者も印象的。

 2024年10月28日  シェッパード Andrian shepherd Cantilena 003番を聴取。ホーボーケン番号順に収録されているが、作曲順番はエステルハーザの副楽長時代の曲のひとつとされ、少し時代が下がる。No.1、No.2と比較して、4楽章で管楽器のsoloが少し入っている箇所がある。作風からして前の2曲よりも全体的に、丁寧に書かれている雰囲気の曲のひとつ。第3楽章  Menuetto のTrioの部分。ここでは管楽器のsoloの箇所がある。2名のob.は、2つのパートで分かれているが、この録音では、第2 b.奏者は右側にいるのがよくわかる。hr.は左側だが間接音が多く奏者のとしての定位感が分かり難い。ライナーノートの写真を見ると、hr.はバルブがついているモダン楽器の様だ。この写真を撮影した時が録音された時期とは異なる可能性もあるが(写真にはこの演奏では入らないtrp.の奏者も写っている)
 提示部の繰り返しはあるが、それ以外の箇所は繰り返しがない。アントニーニのように、繰り返しを採用し、要所ではレンジの広いダイナミックな起伏や音量を聞かせてくれる演奏ではない。このため余り印象はない。