歌曲 吟遊詩人他+表装
2022年3月26日「歌曲 吟遊詩人他+表装」このCDには最初に、No.53 第2楽章の編曲により歌曲以外に、ウエールズ民謡集からの編曲がトラックNo.9とNo.14(CDの最後)に収録されている。No.9の「吟遊詩人の絶望」では最初に紹介したブログに記載されているが、harp、ダルシマーとソプラノの3名の奏者しかいない。No.60の多い奏者から一転して、最初の曲のように奏者が一気に減り、短調の調性ということもあり、曲の雰囲気が大きく変わる。この曲ではリュートが入っていないが、ダスシマーとharpの組み合わせが、リュートのような音色になって聞こえている。
 一方、最後のトラックNo.14「吟遊詩人の感動」では、ソプラノの奏者を含む全ての奏者が登場する。2:21の短い演奏だが、繰り返しがこの曲はある。曲調も明るくなり、速いテンポも相まって、アンコールで楽しませてくれる雰囲気。
 表装についても、ハイドンのファンならとても興味のある箇所が多い。表紙の表側やCDの表側にはNo.60第1楽章の序奏の旋律が印刷されている。写譜屋で弟子でもあった Elsler あてに1803年 ウィーンから当てた手紙の引用。 最後にハイドンのサインが入っているが Jos Haydn mppria と英訳には記載されている。Mppriaについて。18世紀から19世紀頃、西洋の手紙や文字関係の分野についてはよくわからないが。ラテン語で mppria はサインの象徴を示している単語か? 日本の花押にも相当するかも。
 P9にあるNo.60に関する 記述も興味深い。Weekly Theatre paper for Salzburg from January 1776 の文献の一部。ハイドンがロンドンに立つ前で、まだこの交響曲の作曲から数年後に新聞になる。この交響曲の自筆楽譜はないが、すでに居住地からかなり離れたオーストリアのザルツブルグでも、人気があったことが分かる。
 ただし、2番目のブログにも記載されているが、CDの収録方法は不満。CDの収納サイズがギリギリで取り出しが難しい。破損の心配もあるため別にポリ袋で収納を変更した。プラスチックケースの表装までする必要はないと思うが。英訳を含む各言語の(日本語はないが)訳文や写真、イラスト豊富なのでどのページを見るのも楽しみが多い。CD1枚のために、ここまでの文献調査などを含めた、ライナーノートが入っているのはハイドンファンとしても、よくできたものだと感心した1枚。

 ディヴェルティメント ト長調 Hob. II:1(リュート、fl.vn、va、vc) 編曲版
2022年3月25日 ディヴェルティメント ト長調 Hob. II:1(リュート、fl.、vn、va、vc) 編曲版 を聴取。この曲は初めて聴取するので原曲はまだ分からない。ブログによると1755年頃の若い作品とのこと。最初期の交響曲よりも前の作品になる。第1楽章の一部は交響曲 No.6のFinaleに似たような箇所もある雰囲気。第2楽章 Andante Moderato は後半ではカデンツアのような箇所もある。第3楽章の短いMenuet もNo.93交響曲のMenuetに似たような旋律。

 編曲の影響かもしれないが。FantasiaのFinaleの変奏曲は、丁寧に作曲されていると思う。リュート、fl.vn.va.vc.の5名の奏者しかいない。初期のNo.31や中期の交響曲 No.55のFinaleのような旋律と雰囲気。装飾的な変奏曲だが強弱、音色の変化など、楽器の受け渡しなども、初期から中期の交響曲のFinaleの変奏曲に聴こえる。
第5?変奏あたりで、弦楽器のva.とvc.のみが演奏する箇所がある。後年、変奏曲でbass.のsoloの箇所があった。これを先取りしている雰囲気。(低弦を中心とした音色から急に明るいfl.が入ることで音色の対比も印象的)原曲のディヴェルティメントも機会があれば聞いてみたい。