6.参考文献の紹介
 5月頃であったが、書店で、右記の写真「ハイドン 106の交響曲を聴く」 を見かけた。 その日は、忙しいこともあり買えず。後日、インターネットにて、オンライン注文をして8月に購入。それから、少しずつ読んでいる。著者の井上太郎氏は、湘南 モーツァルト愛好会の会長で モーツァルトに関連する著書は多いが、ハイドンは初めて。タイトルからして、このホームページに大いに関連する。
 何回か読み返してみたが、印象に残っている点から。「はじめに」に部分で、著者がなぜこの本を書こうと思うようになったのか。その理由は、20年余りの間に、 モーツァルトに関する本を常に、聴衆の立場から書いてきた。その間、ハイドンへの関心を終始持ち続けてきた。それはハイドンが未開の宝庫であるからだ。なぜハイドンの宝庫が閉ざされて、忘れ去られて来たかを、学者からではなく、一人の聴衆として、探ってみたかったからだと書いてある。あくまで、聴衆の立場からのを突いている。また、日本語で読めるハイドンの全交響曲の解説書は過去1冊も出ていない。この様な経緯も後書きに触れてある。
 実際、全ての交響曲の解説が記載されている。演奏もフィッシャーは元より、ドラティ盤やそれ以外の演奏スタイルなどについても必要に応じて、記載がされている。
 一番、参考になったのは、やはり、主題を中心とした楽譜が記載されている点だ。全ての交響曲に掲載はされていなく、また、全部の楽章の主題までは記載されていないが、大いに参考になった。その中のひとつの例として、Hob No. 28(通しNo. 40)の第3楽章の部分。この部分で、Menuetの主題で独特の音色が登場。スコアを持っていない私にとっては、とても、この音色がどの様に鳴るのか、疑問に思っていた。この本の主題や記述内容で、「最初のホの音は、vn.の開放弦と非開放弦を交互に弾く指定になっている」と記載されていた。この記述を見て、納得をするとともに、やはりきちんとした聴取記録を書くには、スコアが必要だとも痛感した。

「ハイドン106の交響曲を聴く」 井上太郎 著 春秋社2009年5月31日 第1刷発行