15.名曲の楽しみが終わって 
(その1) この項目のNo.5で FM放送の「名曲の楽しみ ハイドンその生涯と音楽」が終了した件は記した。の最初の部分で、平成24年 2012年 5月12日に逝去された件は、記載をした。 作曲家シリーズは、ハイドンから、既に、シベリウスへ移っていての中途の逝去であった。このホームページでも、ハイドンの交響曲で、かなり触れていた。吉田氏に関しては、昔から(1970年代)から名曲の楽しみ FM放送は、機会があるたびに聴取をして来た。
 特に、「モーツァルト その生涯と音楽」では、2回シリーズがあったと思うが、第1回シリーズを中心に、カセットテープで録音をして来た長い歴史がある。氏が逝去されて、誠に残念であるが、このたび、最終回の放送(平成24年 2012年12月30日 日曜 ) 12:15〜17:00までの特集番組を聴いて、とても、再度、懐かしく思った。
(その2)番組の中で、何点か印象に残ったことについて、思いつきであるが、記載をしてみたい。「ハイドン その生涯と音楽」でも、何度が、この放送にも触れていたが、録音場所について。周囲に、鳥の鳴き声が聴こえていたので、スタジオ録音でないとは思っていた。やはり司会者で当時のプロデューサーのコメントの通り、この頃になると、自宅(鎌倉市?)の録音であるとのこと。
 放送では、ハイドンのシリーズではなかったが、鳥の声が顕著に入っている部分が放送された。晩年ではNHKスタッフが、機材を持参して自宅へ訪問、1度に4回から、多いときは、7回ぐらいまで、録音をしたとのこと。救急車などが通過して、録音が中断したこともあったらしい。しかし、スタジオ録音とは、違って、当時の臨場感が入っていて、それなりによかったと私は思っている。
(その3)名曲の楽しみは、従来から 「1人の作曲家を時系列に紹介して行くシリーズ:無論 ハイドンも含まれる」と「私の聴取室」とで、構成されている。後段の「私の聴取室」が、今回のメインであった。当時は、好きな作曲家が私なりに決まっていて、後段の「聴取室」に関しては、余り聴いていなかった。演奏時間の関係もあって、この最終回では後段の「聴取室」の部分が多かった。しかし、それでも、ハイドンの弦楽四重奏がリクエストで紹介されていて、満足。
(その4)モーツァルト その 生涯と音楽も 昔から聴いていた。最後の方で、最終回の放送の中から、そのひとつ、デベルティメント KV287  B-Dur adagio のカラヤン 指揮の部分が放送された。カラヤンは、何度か、この曲を録音したと思うが、1970年前半の放送の当時、音源は、もちろんあった。しかし、それに対して、この放送とは限らないかもしれないが、当時の番組の録音が全て、大元であるNHKにないのは意外であった。
 もともと、この曲を知ったのは、当時のこの番組であったと思う。数ある演奏家の中から、K ベームではなく、カラヤンの演奏を、抜群に推薦された。実際、私も他の演奏を聴取したこともあるが、当時のこのカラヤンの演奏は、白眉としか形容ができない。この演奏というか、雰囲気を元に、逆にハイドンの交響曲の比較をすることも多い。年末から年始に向けて、FM、テレビともに、余り注目に値する番組が少ないと思っていたが、約半日、懐かしい思いで、充実した時間が送れた。
(その5) 名曲の楽しみの続きで、「吉田秀和が語った世界のピアニスト」についてを聴取。 ハイドンのピアノソナタに関連しての追記 2013年 8月30日執筆(放送日は 8月27日)
 名曲の楽しみの続きで、ハイドンを含めたピアノに関しての、記述を今回書いてみる。2012年 12月に一応終了はしたが、今回の8月はピアニストの私の聴取室を中心に特集番組が放送。今回は2日目にグールド他の演奏があり、その中でハイドンの作品が登場。 このときの最初の放送は1982年。番組の中の作品の紹介に関して、ハイドンはピアノの名人ではなかったなどを言及。グレン・グールドの最後のピアノソナタ 1794〜1795の作曲の3曲の中から ES調 他のソナタについて。今回の演奏の.C-dur No.60 についてを中心について。最高音の音域や楽器の構造についての言及。音域の広さ(当時としては高い音までの音域)などについて。Menuetなどの小節数が、8小節数単位ではないこと。グールドは、この曲に関しては、比較的、おとなしいかもしれないがなどを中心に紹介。
 私自身、この曲は前から知っているが、グールドらしいテンポやフレージングなど、最初に聴いてみて、直ぐに、彼らしい特徴だと思った。微妙なテンポの揺らぎ、低音域までも大切にしている、旋律などは、如何にもグールドらしい。各部分での繰り返しはもちろん省略。演奏者のうなり声(あるいは、感情の表現かもしれないが)も第2楽章を中心に聴き取れる。

(その6) ハイドンの室内楽のシリーズがある中で、ピアノソナタの曲の中でブレンデルの演奏についての紹介。曲の紹介は、前回(その5)と同様に、学習用としてのピアノに思われていることに昨今は、余り注目がされていない点などの言及。放送日は1987年5月27日。
 ブレンデルは、日本の来日のときにも、演奏された曲であり、造詣が深いこと。明快で論理的であるが、情緒とユーモアとの掛け合いが、彼の演奏にはうまくいっている。今日(当時)の録音としては最上の曲であったこと。最初の紹介の曲はhob-17-9 Adajio からスタート。
 続いては、重苦しい雰囲気は根底にない点で別な曲の紹介。hob-16-4と17-4についての紹介。それぞれ短調の曲であるが。ピアノの表現の広さがブレンデルは、咀嚼して、これを表現している点を言及。余談ではあるかもしれないが、まだ、声が若々しい。

(その7) 「ハイドンその交響曲と生涯」で2009年6月6日の放送が最後にある。最晩年になるので、やはり声は違う。2012年12月の放送では、じっくりと、長い時間に渡って、吉田氏の声を様々なジャンルで聴くことができた。今回は、1日、1時間の短い時間ではあるが、1982年から2009年までの約30年近い放送の時間の間で聴くことは、とても良かった。


(その8) クラッシックの迷宮ー吉田秀和生誕100年 2013年9月16日 (再放送) 備忘録的に記載。
 前から、この番組は、少し気になっていたが。今回は、吉田氏の生誕100年の紹介だったため、聴取。名曲のたのしみの後継の様な雰囲気。 
 最初に、吉田氏の経歴の紹介。1910年代生まれで、同じ年齢の森重久弥との対比。主題と変奏の書き出しより始まる。その前に出版された小林秀雄のモーツァルトの書籍の書き出しを意識した上で、自著の「主題と変奏の書き出し」について。ここでは、シューマンとバッハの演奏を聴いたことから。時代が異なる2人の作曲家の演奏を受けての共通点から始まる。シューマンのピアノソナタ No.1とブランデンブルク協奏曲 第3番の冒頭からの引用。生い立ちから学歴を含む、語学と歌曲の関係。(6歳上の中原中也からフランス語を学ぶなど。) 
 ピアニストで当時は、まだ若きG.グールドのをデビューから賞賛。当時は、アメリカでは、注目されていたが、それに対して、日本では、批判的であった。先見の目があった点の言及。これと同様に、武光徹について吉田氏の言及からストラビンスキーにも波及。