14.ハイドンの晩年の記憶と作曲順番 
(その1) 一連の聴取記録を執筆してきて、ハイドンの作曲年代が特定できないのは、列挙してきた。中野著「ハイドン 交響曲」の最初の部分で、作曲年代の設定の問題の中でも言及されている。膨大な交響曲を作曲して来た中、当時は、印刷技術はあったにしても、出版という高価な手段が中心で、簡単には作曲家自身でさえ、整理がされていないらしい。この著書の中でも、晩年の1805年、18歳から73歳までに作曲してきたことを、折にふれて思い出すのが、わが全作品の目録との表記の元、「ハイドン目録」が作成された。
(その2)この目録は、エルスラーの子ヨーハンが作成したとされている。しかしこの目録でさえも、作曲年代順に配列されていないと記述があった。 実際、この目録は、どの様な順番で、あったのかが、、以前から興味があった。最近、入手した「ハイドン&モーツァルト弦楽四重奏曲を聴く」 井上太郎著に、この、目録の写しが記載されていた。(p188)
 それによると、元々の目録の実際のサイズは私には分からないが、No.1から23まで、2列12段に渡って、エルスラーと思われる人物により、主題が記載されている。各主題は、第1楽章?と思われる冒頭部分のみが記載されて、調性、テンポ、(Alleglo等)の単旋律が中心で、わずか2〜4小節程度しか記載がされていない。
(その3) しかし、この短い部分ではあるが、晩年の記憶の不確かさは、私にも十分に読み取れる。まず、中野著にも記載をしてあった、作曲順番について。最初期の交響曲は、無論特定は現在でも中々難しいであるかもしれない。この目録では、No.6〜8の3作が順番に最初に掲載されている。このNo.6〜8よりも前に記載をされた交響曲もあると思うが、目録には記載がされていない。
 その後の交響曲の順番はどうなっているかと、自分なりにチェックをしてみた。全てのチェックが終わってはいないが(8月15日現在)、No.4はhob-No.-9、No.5は、hob-No.-11、続くno6は、hob-No.20となっている。少なくとも、作曲順番に関してもバラバラになっている。No6〜8の3曲がセットで一番に掲載されていることから、「晩年になっても、この3曲は、ハイドンにとって、生涯、最初期から、気に入って、印象に残っていたものではないか?」とも推定できる。実際、この3曲は、初期の頃ではあるが、自筆楽譜は現存している。

以下、暫時、更新予定。
表1 ハイドン目録の冒頭の部分の一覧
目録
No. 
hob
No. 
調
性 
 目録テンポ指示 実際のテンポ   俗称他  
 1  6  D  Adagio Adagio  朝  
 2  7  C  Largetto  Adagio  昼  
 3  8  G  不鮮明で不明  Alleglo molto  晩  
 4  9  C  Molto Vivace  Alleglo con brio    
 5  11  Es  Andante  Adagio    
 6  20  C  Spiritoso  Alleglo molto    
 7    B?  Alleglo  現時点で特定できず    
 8  14  A  不鮮明で不明  Alleglreto    
 9  5  C  Adagio  Adagio    
 10  1  D  不鮮明で不明  Presto    
 11  12  Alleglreto  Alleglo    
 12  A  C  Alleglo  Alleglo    
 13    F?  Moderato  現時点で特定できず    
 14  13  Spiritoso  Alleglo molto    
 15  40  F  Vivace  Alleglo    
 16  21  A  Andante  Adagio    
 17  34  d  Andante  Adagio    
 18  23  G  不鮮明で不明  Alleglo    
 19  24  D  Alleglo  Alleglo?    
 20  22  Es  poco Adagio Adagio  哲学者  
 21  30  C  Spiritoso  Alleglo アレルヤ  
 22  29  E   Alleglreto  Alleglo di molto    
 23  39  g   Vivace  Alleglo    
 24  28  A  Alleglo  Alleglo molto    
             

(その4)晩年の記憶が「あいまい」であったのは、作曲順番だけではなく、テンポの指示にも現れる。目録でのテンポの指示と実際に現在、出版されているテンポとは、大きく異なっている。24曲の中で、2曲はまだ、私なりに特定できない。
 残る22曲でも、上記の表1の中でも、黄色の文字の様に14曲が異なっている。(実に半分以上は異なっている)
 また、 Spiritosoの指示も、従来の出版されいるものは、表記されていない。テンポの指示の一つをとってみても、記憶があいまいな点はあったと思われる。